試験っ! その3
ええーと.........。
つまり、俺を試験に推薦してくれたレスパさんというのは、公営怪獣討伐隊の長官っていうものすごい偉い人ということか。
公営の討伐隊って確か、国連が組織している税金で運営されているやつだよね。
それで、俺は地域の人に認知されている程度の事務所の下っ端。
つまり、レスパさんは、しがない私営怪獣討伐事務所の俺なんかとは比較にならないほどに立場が高い人、ということで........。
いや、俺がそんなスゴい人のことを知っているわけないよね。
そもそも俺は世間と隔絶されながら生きてきて、そのまま刑務所で半年過ごして、その後に決して都会とは言えない場所にある事務所に転がり込んで.............今に至る。
一般常識は知っているつもりだけど.........周りにいる人に積極的にニュースの類を見る習慣がないので、俺に世間の情報が回ってくることはなかった。
信じられないが、本当に何も知らない。
そもそもの話、俺は刑務所の外に出てからあまり人と関わっていない。
食料や日用品の買い物はほとんどリンさんたちが済ませてくれるから店員さんとも話さないし、毎日のように行っている銭湯は券売機から券を買ったら人と会話せずに中に入れるし、依頼人の応対や後始末はミクロさんがほとんどやってくれるし、この間の遠征から帰る時の手続きや挨拶のことはアロくんが全部やってくれたし.........。
こんなにも人間と関わらずに生活してきた俺が、怪獣討伐隊の.........しかも公営の怪獣討伐隊の長官との面識なんてあるわけがない。
「はぁ....................君は本当に何も知らないんだな」
「じゃあいちから説明してやる」と、ディラン君は話しはじめた。
「まず、この試験は受験本番よりも、受験資格が与えられるまでの方が大変なんだ。
まず、この試験を受けるのには「推薦状」が要る。」
「スイセンジョー?」
「スイセンジョーではなく、推薦状だ。
お前の名前と、推薦者の名前と、現在の監督者の名前が書かれた証明書だ」
ここで俺は、受付で見せたあの画面を思い出してみる。
俺も詳しく見てないけれど、書いてあったのは、
俺の名前と、
ミクロさんの名前と、
レスパさんの名前と、
あとは小難しい内容の文章だ。
ディラン君の話を聞く限り、あれが「推薦状」なんだろう。
「ああ、あれか」
「心当たりがあるようだな。
ともかく、その推薦状は単なる「この人を推薦します」というものではない。
特殊な受験証としての役割も兼ねているんだ。
その推薦状と一緒に自分の名前、推薦者の名前を受付に伝えることで、受付の方で確認がされる。
それが許可されると「マイナス表記」の受験番号が与えられ、特殊な試験を受けることができる。
俺の場合は-00001番だな。」
「俺は-00004番って言われたよ。」
.................................ミクロさんってそんなにすごい実績があるのかな。
別にミクロさんのことをばかにしている訳でない。
単純に俺がミクロさんのことを知らないだけだろう。たぶん。
あの人ってよく分からない人だし。
「まあ、特別試験についての説明はこんなところだな。」
「うん。ありがとう」
「ちなみに、日程や試験内容は把握できているのか?」
「...........................」
「わかった。説明しよう。
仮にもチームメイトだからな」
「チームメイト?」
「わかった。そのことも後で説明しよう。
まず日程のことだが、今日から3週間、俺たちはこの敷地内に缶詰だ。」
「うん。それは聞いてるよ」
「さて、この後のことだが、
まず2週間後の昼11時から15時の間で筆記試験か行われる。
そしてその1週間後、今から3週間後の日に一日をかけて実技試験が行われる。
ここまではいいな?」
3週間の間をこの敷地で過ごすけれど........................一発目の試験は2週間後。
日に直すと14日間、時間にして実に336時間.........................。
流石に336時間フルで使うようなことは無いとして、
ここまでの時間を用意されている、ということは............。
「ちゃんと準備しとけよ、と言うことなのかな?」
「ああ。試験当日の2日間を除いたとしても19日間。
その間でふたつの試験の準備をしておけ、ということだ。」
「なるほど」
「じゃあ、試験内容の説明に入る。
筆記試験だが、これは公営の討伐隊が制定している「討伐理論基礎」と「討伐理論」が試験範囲として出題される。
試験時間は4時間で、一問一答、思考力問題、論述問題が出題される。」
「じゃあ、これからの2週間でしっかり勉強しないといけないんだね。」
「まあ、そういうことになるな。
ここの図書館には一般にはなかなか出回らない珍しい蔵書もあったりするから、それを調べる時間を含めての2週間だ。」
「ふーん」
「それで、実技試験だが、これはランダムで2部屋がチームとして組まれる。
それでその2部屋...............計4人1組で試験を行う訳だが、
俺たち推薦受験者は推薦受験者4人でチームだから、このことは忘れていい。」
「へえー」
「肝心の内容だが、これもまあ千差万別だ。
俺が聞いたことのある中だと、
1.与えられたマップの調査
2.明らかに勝てない相手からの撤退
3.人命救助
4.サポート
5.怪獣の討伐
この辺りだ。
まあ、この試験内容は始まるときにアナウンスされるらしいから、それを聞けばいいな。」
「ちなみに、この中で1番難しいのは?」
「難易度か.................................一概に言えるものでもないが、人命救助か討伐のどちらかだろうな。」
試験名長すぎて作者がうろ覚えな件




