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レガシークエスト  作者: 鯣烏賊
第2の人生の序曲
29/47

試験っ! その2

試験会場は最寄りの空港から特急を使って30分くらいの何もない駅にあった。

人気のない無人駅。

端的に言うと、乾燥した場所だ。

駅に降り立つと一面、砂。

駅のホームにも砂が飛んできていて、歩くとジョリジョリした音が鳴る。

ミクロさんから受け取った電子切符を機械にかざすと、俺は駅から出ることを許された。


「はぁぁぁぁ......座り疲れたぁ」


駅のホームから出て、俺は思いっきり背伸びをする。

凝り固まっていた血液が全身に回っていく、気持ちの良い感覚をじっくり味わう。

関節の滑液にも気体が混ざっているのか、少し関節の動きが良くない気がする。

肩や腰、指、手首、首をポキポキならすと、ようやくいつもの感覚に戻った。

普段はこんな長時間座らないから、また別の疲労を感じる。

肉体的疲労、というより.........

精神的疲労、なのかな?

まあ深く考える事でもないよね。


俺は会場へ向けて歩みを進める。

とはいえ、少し遠くに、ミクロさんに見せて貰った写真に似通った建物が見える。

多分、いや絶対あれが会場だろう、という確信を持って、俺は歩き始めた。

まあ、あまり遠くないから、そこまで時間はかからないだろう............多分。


3分後。

俺は試験会場の入口へ到着した。

会場は、俺の想像とは違う印象を持つ場所だった。


「え、何コレ牢獄????」


まず、鉄格子が周りを囲っている。

鉄格子の上には金属製の糸が張り巡らされているのだが、あれは恐らく電線だろう。

駐車場などがあるのかと思ってたけど、そんなものはなかった。

本当に、試験の関係者しか中に入れるつもりがないんだろう。

きっと。

建物は鉄筋コンクリートだ。

無機質で簡素だが.........

まあ、耐久性を重視するのならこれ一択だよね、という作りだ。

そう。

俺がついこの間まで住処としていた刑務所に似通ったデザインだ。

なんか思い出しちゃうんだよなぁ.........。

隣部屋の名前も知らない強盗殺人犯は今頃どうなったんだろ.........

反省の「は」の字すら知らないような外道だったから、まあ死刑だろうな...。


さーて、中に入ろっと。


「あのー、すみません」


「.........ハイ」


随分と無愛想な看守.........

じゃなくて受付だ。

えーっと、普通に挨拶するだけじゃ入れてくれないから、確か...。

背負っていたカバンを下ろし、中に入れている電子端末を取り出す。

この電子端末は我が事務所のメンバー全員に配布されるもので、サーバを共有している。

資料などをここで管理することが目的...だが、そもそもうちの事務所は依頼がほとんど来ない。

こんな依頼数でどうやって経営してるんだ、と疑問に思うほど依頼がない。

その上、我が事務所に来る依頼は、何故か紙での依頼が多いので、俺はこれをあまり使ったことがない。

強いて言うなら、戦闘中に使う通話アプリはこの端末のサーバで使用している......

用途はそのくらいだね。


電源を入れて.........ええと、パスワードは確か「396396」だったな。

そして俺はメールアプリを開き、「micro」のメールボックスを開く。

そしてそこに貼り付けられた画像を受付に見せ.........ミクロさんに言え、と言われた通りの言葉を喋る。


「レスパさんからの推薦で受験しに来ました。ベロキです」


「ハイ.........確認します」


受付はパソコンを何やらカタカタやった後、俺に1枚の樹脂製の札を渡してきた。

受験票だ。


「確認が取れました。受験番号:-00004番のベロキ様ですね。寮のお部屋は最上階に登った1番右の部屋になります」


「わかりました。ありがとうございます」


俺はその札を受け取り、部屋の場所を確認するために受付においてあったマップを見る。

どうやらこの施設は4つの建物に分かれているらしい。

寮の建物が2つ、講堂がある建物が1つ、試験会場として使う建物が1つ。

そしてだだっ広いグラウンドだ。

パッと見ていちばん大きいのは2つある寮の建物だ。

それぞれが隣合っていて、集合団地みたく佇んでいる。

試験会場として使う建物はそこまで大きくない。小さくは無いけれど、特別大きいかと言われればそうではない。

俺が行くのは、向かって右側の寮の建物の最上階だ。

行くべき場所が分かったので俺はその場所に向かうため足を進めようとする。

しかし、再び受付の人に呼び止められた。


「不正行為防止のために、電子端末や武装の類を全て回収させて頂きます」


「あ、はーい」


かくして、俺は事務所で使っている電子端末と通信機、固有武装たちを受付に置き去りにして寮へと向かった。















「.........手、離してくださいよ。

離さないと殺しますよ?」


「名乗れ」


いや、なんで?

部屋に入ったらものすごい体つきをした男の人がいて、その人ににこやかに挨拶をしようとしたらいきなり俺の首根っこを掴んできた。

身長は.........185cmくらい。

体重はいくらだろう。

服が厚着なせいで測れない。


多分、この人は俺のことを侵入者だと思ってるんだろうな。

なんの前触れもなく部屋に知らない人が入ってきたらそりゃ驚くだろう.........。

まあ俺は受験者な訳なんだけど。

というわけで、俺はポケットに突っ込んでいたさっきの受験票を見せた。

彼なその受験票を俺から奪い取ると、確認をした。


「俺.........受験者なんですけど」


「.........本当らしいな」


彼は俺の首を離すと、頭を下げて謝罪をしてきた。

首根っこを離された俺は床に膝をつき、首に手を当てる。

おれは痛くも痒くもないけれど、触ってしまうのはは人間としての癖なんだろうか。


改めて見上げると、まあ、大きい。

背丈も、肩幅も、ウエストも、目の前にある太ももも、見下ろすと目にできる靴のサイズも。

ミクロさんも175cmくらいあるけれど、あれよりも数段大きい。

背丈だけならもっと大きい人を探せるだろうけど、こうも筋肉質だとなかなかいない。


「すまない。ろくな確認もせずに」


「いや、当然ですよ。こんな肌も髪も白い人間がいきなり入ってきたら怪しみますよね」


「敬語はいらん。ディランだ。よろしく」


「ああ、ベロキ・ルキです。こちらこそ」


ディラン君が手を差し出してきたので、俺は快く握手に応じた。

............握力が強い。

薬漬けの俺とはまた違った、天然のパワー。

恐らくものすごい鍛え方をしているんだろう。

多分、鉄のパイプくらいなら軽々と曲げれられるんじゃないかな。


「今日の朝、布団がひとつ増えたからな。何でかと思ったんだが、お前が原因か......ん、ルキだと?」


「ああそうだね。俺は途中参加だから。

どうかした?」


「お前、殺し屋のルキ家か?」


「エ............あ!」


しまった。

つい癖で、略なしの「ベロキ・ルキ」で名乗ってしまった。

相手がどんな人かわからないから隠し通そうとしたのに!


「道理でな」


「?」


道理で?

道理で、ということは何か思い当たることがあるということだよね。

何でだ。

ディラン君は俺の何に納得したんだ。


「知らないのか。これは特別推薦試験だぞ?」


「.........トクベツスイセンシケン?」


「受験番号がマイナス表記なことに違和感を持たなかったのか?」


「受験番号.........マイナス.........確かに」


「お前、何者だ?」


「しがない田舎の個人事務所の者だけど.........」


「なら、なぜ..................この受験票にはレスパさんのサインがあるんだ?」


「誰それ」


「知らないのか?レスパさんは公営討伐隊の長官だぞ?」


え?

俺、なんでそんな凄い人から推薦貰ってるの?

既にディランを登場させるフェーズまで物語が進んでいることに驚きを隠せない鯣烏賊です

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