落ち葉
ある日、橋から落ち葉が川へゆっくり落ちた。あの人は落ちゆく小さな僕を何気なく見ていた。可愛い犬でも猫でもない、人間でもない僕を助けるわけなんてなかった。川の静かな揺らぎで海へ段々と流れる。僕がいるこの川はとても綺麗で太陽で照らされて輝いていた。その中には生物もたくさんいた。生きているものを感じながらやがて海へついた。
海をぐんぐんと突き進んだ。川とは違うスピードでぐんぐんだ。人々が船の上で魚を釣ろうと必死になって釣竿や網を下げている、僕はそれを避けるように通り抜けてその船が保管されている港へついた。新しい国は僕が想像してたような綺麗な国ではなかった。人々は酷く貧しい生活をしていた。あの船には大量の魚が乗っていたがあれを食って生活をしているのではないのだろうか?いや、違う、あれは違う。きっと。
あの船に大量に乗っていたのは確かに魚だ、でも死んだ魚だ。わざわざ見渡さなくともわかった。この海は汚染されているのだ。恐らくこの国はそのゴミ問題で苦しんでるのだろう、そうでなければ周りにプカプカと浮かんでいる魚の死骸にも説明はつかないだろう。この国は魚を主食にしているのだろうから海にゴミを撒くような意味のないようなことはしないのではないか?まるでそれは死んだ生き物に餌を撒くような意味のないことだ。少し考えればわかる。ならばこのゴミはどこから来たのだろうか?それは他国である。僕があの川からこの国の海へ来たようにゴミだっていつか流れつく。それを魚が食べて魚をダメにしているのだ。僕はその瞬間人間がとても憎くなった。この思いを表現することはできない、むしろ流されるまま、また新しい国へゴミと共に向かうことしか僕にはできないのである。