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#8 違反処罰/パニッシュメント

「どういう状況か、説明できるものはいるかしら?」

生徒会長プラチナ・ブロディエール殿は訊いた。


するとスケバンが言った。

「せ、生徒会長!そいつが、私を殴ったんです!しかも、2回も......!

校内での暴力は、校則で禁止されていることは生徒会長は当然ご存知のはず!

そいつには、しかるべき罰が必要です!」


「見ればわかるわ。」


すると彼女は首を横に向けた。

「そこのあなた」

教室の集団にいた、赤毛の少女を呼びつけた。


「は、はい!?」


「彼女の応急処置をお願い」


「えっ、ええと......何故私が保健委員だと-」

「止血だけでいいわ、早くしてあげて。」


「は、はい!」


「僕は他の先生を呼んでく-」

もじゃもじゃ頭の教師が言いかけるが「教室から出ないで!」


生徒会長が声を通すと、教師はビクッとして立ち止まった。


「他の先生なんか呼んだら、むしろ面倒くさくなる。」


そして彼女は拙者を見て言った。

「あなたが彼女を殴った。それで?」


ソフラ師匠が先に答えた。

「その前に、私が彼女に決闘を申し込んだんです。」


「そう、だった......!絶対にギタギタにしてやる!覚悟しておきなさいよ!!」


「それはできないわ。だって頬骨が折れてるもの。」

生徒会長は淡々と言った。


「へっ......?」

スケバンは弱々しい声をあげた。


「だから応急処置と言ったの。

でも幸い、顔は髪の毛に近い部位。能力の練度次第だけど、すぐに回復するわ。


でもまあ、<誓約決闘(プレッジデュエル)>の履行期限である3日間には間に合わないでしょうけどね。」


「そ、それじゃあ......」

スケバンは青ざめる。


「不戦勝判定で、貴女の勝ちになるわね。」

生徒会長はソフラ師匠に言った。


教室の中にいた生徒が言った。

「それってつまり......もうそいつの下僕にならなくていいってこと?」


歓喜の声が上がった。


「そ、そんな......!」

狼狽るスケバン。


「でも、校則違反はなくならないわ。」

生徒会長プラチナ・ブロディエール殿はそう言うと、拙者を鋭い目つきで刺した。


「......そう、ですよね!

そいつが私を怪我させて、無理矢理決闘に出られなくした!

そいつが全部悪いんです!!だから決闘は無効!!そしてその極悪人に罰をお与えくだ-」


「"校内では基本、授業及び誓約決闘(プレッジデュエル)以外の場面での<色髪能力>の行使を禁止する。"

生徒手帳には目を通したかしら?」


「え......えっと......?」

ポイドリーヌ・ヘドリアヌスは目を泳がせ、汗をだくだくと流した。


誓約決闘(プレッジデュエル)中は特殊な保護結界(リペルバリア)で守られているから、本来危険なはずの能力で傷ついても平気なようになっているだけ。


生徒手帳の内容が憶えられなくたって、少し考えればわかるはずのことなんだけれどね。」


「な、なんのことを仰っているのでしょうか......?」


「残り香でわかるわ。毒属性ね。」


「ど、毒!?」

拙者はつい手で口をおさえた。


「息は止めなくていいわ。臭いだけだもの。」


拙者が手を口から離すのを見ると、生徒会長殿はまた口を開いた。


「なぜ使ったのか、説明してもらえるかしら。」


「そ、それは......」


「例えば特別な許可を得ていたとなれば、話は別だけれど。」


「そ、そうなのです!特別な許可を」


「まあ、そのような申請は今日は届いていないのだけれど。」


「あ......へっ......そ......じゃなくて、間違えました、そいつが殴ってきて、殺されると思って......だから対抗するためにやったんです!これは正当防衛です!」


「ふーん。なるほどね。

なら今度は、貴方の方の言い分を聞かせてもらおうかしら?」

生徒会長プラチナ・ブロディエール殿は、拙者の方を見た。


変に怖気付いて包み隠したりせずに、正直に話した。


「拙者はソフラ・ホワイト殿を訪ねて、この教室にやってきたでござる。

するとそのポイドリーヌ・ヘドリアヌス殿が、ソフラ殿に金銭を要求していたでござる。」


彼女が「本当なの?」と訊くと、教室中の生徒たちが頷いた。


「そう。それはなぜかしら?」


ポイドリーヌ・ヘドリアヌスが言う。

「過去の決闘で、彼女は私の好きな時に金銭を差し出すという誓約を結んだからです。」


「それで?」


「それなのに、そこのソフラ・ホワイトは、その制約を破ったんです!最低ですよね!?」


「それは本当なの?」


「はい、本当です。私はもうお金なんかあげない。あなたにあげるお金なんかないって、彼女に言いました。」


「そう言ったソフラ殿を、ポイドリーヌ殿が殴ったでござる。

それを見た拙者が、たまらずポイドリーヌ殿の頬を殴り飛ばしたでござる。」


「なるほど、それが1回目の殴打ね。それから?

私がちょうど入ってきた時に目撃した、2回目の殴打はどうやって起こったの?」


「ポイドリーヌ殿と拙者が口論になったでござるよ。」


「それで?」


「途中で私が彼女に......ポイドリーヌ・ヘドリアヌスに決闘を申し込んだんです。

私が勝ったら、彼女がここにいる全員との結んでいる誓約を......クラスのみんなを下僕にするって誓約を破棄してって。

そういう誓約で申し込みました。」


そこで言ったのは彼女のクラスメイトだった。

「ポイドリーヌはそんなソフラに激昂して、お前は負けるだとか絶対死ぬだとか言ったんです。」


「ちょ、ちょっとあんた!!」


「そんな彼女にそこのクロノブ......?さんって人が、『ソフラ殿は貴様には負けない、勝つでござる。』って。

そしたらポイドリーヌが彼に武器を......」


「ふーん......」


「でもその人がポイドリーヌを先に殴ったから武器が消えて、教室が毒液塗れにならなかったんだ。

確かに<無彩色者>かもしれないけど......俺たちその人には感謝してる。だから、罰とかはしないであげてください!」


「あんたたち......揃いも揃って裏切るというの!?この私を!?」


「......なるほどね。」

生徒会長殿はまた拙者に、鋭い視線を向けた。

やっぱり、昨日の事を怒っているのでござろうか......。


「わかっているの!?

まだ3日経っていない!誓約は消えていないのよ!!私の一存で、あなたたち全員の彩度クロマを奪うことも......」

そう言うと彼女はスマートフォンを取り出すと、慌ただしく指を上下させた。


しかし......

「え?あれ?なんで!なんで出ないのよ!誓約の書が......!」


「校則違反者の結んだ誓約は、生徒会が一時的に凍結することになっている。

もちろん直接凍結を行う権限を持っているのは、生徒会長である私よ。」


彼女はスマートフォンの画面を彼女に見せた。


"1年 ポイドリーヌ・ヘドリアヌス / 全ての誓約を凍結中"


「す......ちゅ......?」


「ちなみに校則違反を取り消すには、7日間の出席停止と反省文の提出。

それとももう一つ、凍結を行った生徒会役員と<誓約決闘(プレッジデュエル)>を行い、勝利するという方法もあるわ。


その場合、負ければ出席停止は2倍になるけど。

勝てば校則違反を帳消しにするだけでなく、生徒会役員に自身の要求する誓約を結ばせることすらできる。


まったく、つくづく違反者にメリットしかない内容ね。


......それで、どうする?私と決闘してみるかしら?」

生徒会長殿はちょっと楽しみそうに微笑んだ。


「せ......は......は............」

最初の頃は自信満々だったポイドリーヌ・ヘドリアヌス殿は、一連の流れですっかり放心状態になってしまった。


「保健委員、そして先生」


「「は、ひゃい!!」」


「彼女を保健室に連れて行ってあげて。」


彼女らを見送ると、教室では歓声が上がった。


「ふう。なんとかなったでござるな。

感謝するでござる。プラチナ・ブロディエール生徒会ちょ-」


そう言いかけると、プラチナ・ブロディエール生徒会長殿は振り返った。


「あなたの処分は話していないけれど。」


「!!......確かに、そうでござったな。」


「おとなしく7日間お休みして反省文を書くか、私と決」

「そんなの決闘に決まっているでござるよ!!!!!!」

拙者はつい食い気味で言った。


「......!!」


「拙者、生徒会長殿と生徒会副会長殿の試合を見て、いつかお二人と立ち会いたいと思っていたでござるよ!!

それに生徒会長殿には、今日のこと以外にも貸しがあるでござる。

そのことに、蹴りをつけたいでござるよ。」


「......そうね。わかったわ。なら明日の放課後、スタジアムでね。」

生徒会長殿はそう言うと最後に、にっと微笑んだ。


これは......この瞳は......強き勝負師の目でござる!

拙者はそう確信して、沸き立った。


「ええ!約束でござる!」

拙者は小指を出した。


「......ふ、そうね。じゃあ、約束。」

彼女は小指を拙者の小指に掛けて、指切りした。

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