#1 色髪学園/カラフルシャンプースクール
「ただ今より、第23回・色髪学園校内最強決定戦を開始します!」
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
熱狂する会場。
「第一試合の対戦カードはこちら!
黄金のツインテールをたなびかせ、優雅にッ!しかし力強く歩いてくる彼女は!
みなさんご存知、我らが学園の生徒会長!
<黄金の女帝>プラチナ・ブロディエール!!!!!!」
「うおおおおおおおおおーーーーー!!!!」
「プラチナ会長ーーーー!!!既に頭に黄金の王冠が見えますわーーーっ!!!!」
「そして対するのは、学園の成績は常に二位をキープ!
今日こそ下克上を果たすのか!?
同じく生徒会副会長!
<紫紺の貴公子>、ヴィオレオット・パープロン!!!!!!
「うおおおおおおおーーーー!!!!」
「ヴィオレオットーーーー!!!!今日こそ優勝だああああああ!!!!!」
「さあ、会場は大盛り上がりです!
いきなり優勝候補同士の対戦、私も今とても興奮しています!
勝利のエフェクトを振り撒くのは果たしてどちらになるのでしょうか!!!!
それでは、カウントダウンです!!!」
広いスタジアムの真ん中に、巨大なプロジェクションマッピングが表示される。
それに合わせて観客は皆、カウントダウンする。
「3!!!!!!!!」
鮮やかな紫色の少年ヴィオレオットは、構える動作をする。
一方で、金髪の少女は微動だにせずたたずんでいた。
「2!!!!!!!!」
歓声の熱量はカウントとともに上がっていき......
「1!!!!!!!!」
爆発する。
「FIFHT!!!!!!!!」
それとともに、彼の手元から紫色の液体がぶわっと噴出。
液体は次の瞬間には、流線的な造形の鋭い剣-レイピアとなっていた。
ヴィオレオットは、物凄い勢いで金髪の生徒会長:プラチナ・ブロディエールへと突進する。
しかし生徒会長の方は、いまだ武器を構えない。
すぐ目の前まで迫り、あっさりと紫紺のレイピアの一撃が決まる......と思われたところで、プラチナは手を前にかざす。
黄金色の液体がぶわッと噴出し、一瞬にも満たない速度で彼女の手を包んだのが見えた。
「やったか!?」
歓声や悲鳴が上がる。
しかし...
ヴィオレットの紫のレイピアは、プラチナの黄金のグローブが掴んでいた。
再び悲鳴みたいな歓声。
彼女はそのままレイピアごと彼を投げ飛ばす。
投げ飛ばされた空中で、ヴィオレオットは体勢を整えて、遠くで華麗に着地した。
「うおおおおおおおおおおおお!!!!!!!」
「きゃあああああああああああ!!!!!!!」
プラチナの右手のグローブから、さらに液体が噴出する。
これでもかというくらい大量の液体が溢れ出し、ついに出来上がったのは......大剣だった。
それこそ彼女の体よりも一回り大きな......大きな大きな......大剣。
待ってましたと言わんばかりに、また歓声が上がる。
まるで、舞台を熱く盛り上げる曲が流れだしたかのように感じる。
ヴィオレオットは構え、大剣を持つプラチナへと再び一直線の鋭い突撃。
プラチナは彼の攻撃に備えて大剣を構え......と思いきや、なんと大剣を地面に突き刺した。
そして大剣の後ろに隠れて、前方をちらりと覗く。
大剣を盾にしたのか。
確かにこのまま彼とレイピアが、あの物凄い勢いで大剣の盾に激突したら......
流石の反動で、彼に大きな隙ができるだろう。
その目論見通り紫紺のレイピアは、そのまま大剣に激突してしま......わなかった。
突如として、ヴィオレオットの姿は大剣の前から消えた。
観客席から驚きの声が上がる。
次の瞬間、紫色の残像を描くほどの速度で、彼はプラチナの背後に現れていた。
彼女が後ろに目を向けるほどの暇すらも与えず、レイピアが即座に突き出される。
が、彼女は後ろを見ることなく、最低限の動きでさらりとその一撃を避けた。
レイピアは裏側から、大剣の盾に激突。
レイピアの振動がヴィオレオットの腕を伝い、体ごと跳ね返る。
ブオオンッと音が響く。
その一瞬の出来事。
プラチナはその隙に大剣を地面から造作もなく抜き、そして跳ね上がった彼の体へと。
豪快に斜めに斬り上げた。
斬撃をなぞるように黄金色のエフェクトが飛び散って、風圧で彼女のツインテールがたなびいた。
『FINISH!!!!』という巨大な文字が表示され、大歓声が上がる。
「第一試合の勝者は、プラチナ・ブロディエールッッッ!!!!!」
「うおおおおおおおおおおおおおおおおッッ!!!!!!!!!!」
「く......そおおおおおおおおお!!!」
ヴィオレオットは叫んだ。
「-ヴィオレオット」
プラチナ・ブロディエールは彼に手を差し伸べた。
しかしヴィオレオット・パープロンは、その手をパシっと払う。
自分で立ち上がり彼女に言った。
「敗者復活戦で勝ち上がって......次だ。
生徒会長、今度こそ絶対に、あんたに勝ってみせる。
首を洗って待っていろ!」
そう言って去っていった。
「次の試合の準備を開始します。しばらくお待ちください。」
アナウンスが入る。
「いやあ...第一試合とは思えないものが見れたなぁ...!」
歓声の中で、一人の生徒が詠嘆した。
「す、すごい......」
「だよな、最高だった!」
生徒は、見知らぬ者に返事をした。
「......凄すぎるでござるうううううううう!!!!!!!!!!!!」
「なっ、何だお前っ?!!急にとんでもない大声出すなよ!」
周りの生徒たちは驚いて、大声を出した侍に注目した。
「できることならぜひあの御仁たちと、拙者も一戦交え.........はっ!?」
大声を出した侍。
つまりそれが某......自身のことを指している事に拙者はやっと気がついて、うなじを右手で掻いた。
「拙者としたことがつい大声を...失礼した。責任をとり、腹を切ってお詫びを-」
「おいおいおいおい、やめなさいって」
心優しい生徒は、自前の短刀を抜こうとする拙者を止めた。
「ってか......あんた誰だ?見かけない顔だけど......。つーか、つかぬことお訊きするけど、男......だよな?」
「ええ、男児にござる。確認するでござるか?」
「いやいやいやいやいらねえよ」
「そうでござるか!
だけどもいやあ、某は名乗るほどのものではござらんよ。
だけどもまあ、どうしてもというのなら、名乗ってあげてもいいでござるよ」
「お、おう......じゃあ、お願いします」
「拙者、野を越え山を超え海を越え、鳥の島の信晴国という地より参上した。
黒田簡太郎秀吉座右左衛門海信と申す者で候。」
「そ、そうか......。な、長い......いい名前......だな。」
「そうでござるか!?ええ、それはもう、それはもう!拙者もそう思うでござるよ!
拙者に名を下さったみんなにまじで感謝、まじに感謝でござる!」
「どれが家名で......どれが名前なんだ......?」
「まあ......最初と最後をとってクロノブとでも呼んでくれでござるよ!」
「お、おう......そうか。よろしくな、クロノブ。
俺はオクタビオ。オクタビオ・グリーンズだ。オクタでいい。」
「よろしくでござる、オクタ殿!」
「おいおいドノは余計だぞ。
それよりクロノブ、気になってたんだが......」
「はい、何でござるか?」
「最初にこの学園に来たばかりって言ってたよな?
それってつまり、転校生......ってことか?」
「ええ、その通りでござるよ!拙者、来週からこの学園に通うことになったので候。
本日は先生から『まだ入学前だけど、この大会を観戦してきていいよ』と、ご好意をいただけたのでござる。」
「そうか、転校生なのか。なるほど。よろしくな、クロノブ。」
「ええ!よろしくでござる!」
拙者は満面の笑みで返事した。
「でもお前......」
「何でござるか?」
「髪、黒いよな.......?」
付近の生徒たちの奇異の目は、黒髪の侍に集まっていた。
INFOMATION
色髪能力に覚醒した学生を育てるこの学園は<カラフル至上主義>。
彩度を全く持たない黒髪・白髪・灰髪の生徒は、しょうもない能力しか使えない無能の烙印を押される。




