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#13 誓約締結/エンゲージ

スタジアム。

クロノブの手をとって、プラチナは起き上がる。


『誓約決闘、決闘フェーズを終了します。お疲れ様でした。』

互いの体に付着した黄金と漆黒のエフェクトが、防護膜と共に消えていく。


「まさか、私が負けるなんて......いや、私が負けたんじゃなくて。


あなたが勝った。そう言うのが、相応しい。」


「ありがとうでござる。拙者、プラチナ・ブロディエール殿と本気でぶつかれて、本当に本当に......嬉しかったでござる!!!


プラチナ・ブロディエール殿相手だったから、本気を出し切って戦えたでござ......」


そう言いかけて、青ざめる。


「......プラチナ・ブロディエール殿は本気だったでござるよね!?」


「あら、バレちゃった?手加減してたに決まってるじゃない」


「そ、そんなあああ!!」


「......ふふっ。心配性なのね。

安心して、本気の本気だったわ。こんなに自分をさらけ出したのは初めてよ。」


「なんだ、それはよかったでござ......あっ!?えっと......」

さらけけ出す、と言う言葉であの時のことを思い出した。


「......?


それに、"プラチナ"。」

彼女は何故か、自分自身の名前を言った。


「えっ?」


「プラチナって呼んで。

プラチナ・ブロディエール殿とか、プラチナ・ブロディエール生徒会長殿とか、いちいち長いのよ。


私も、クロノブって呼ぶから。」


「それはすまなんだ。承知したでござる、プラチナ殿。」


「ドノ......?」


プラチナ殿は圧をかけてきた。


「え、えっと、プラ、プラチ、プラチナ」


にこっとされた。


「............殿」

目をそらして、付け足す。


むっとした顔をされた。


「プラチナ!プラチナ、プラチナ!!!」


「......どうしたの?そんなに私の名前を呼んで。」


「いえ、なんでもないでござるよ。」

プラチナ、まじで怖いでござるううう!!!!!!


「はいはいはいはーーーい!!そこのお二人さーーーん!!!」

突然、スタジアムにトラックが突撃してきた。


「なんでござるか!?」


トラックから降りてきたのは、頭を丸々隠すほどの潜水兜を被った、奇妙な女子生徒だった。

この色髪学園の制服のスカートを履いているから、少なくともこの学園の生徒ではござった。


「面倒な子が来たわね。」


「そんな、面倒だなんてひどい!私とプラチナちゃんの仲なのに」

彼女は拡声器マイクを持って話していた。


「このお方は、どなたでござるか?」


「おお、そうでした!初めましてですね!

私、色髪学園3年<新聞部部長>のスリップ・レイニーベルトと申します!以後お見知り置きを!」

そう言って、彼女は名刺を差し出してきた。


「スリップ殿、よろしくでござる。

拙者、黒田くろだ簡太郎かんたろう秀吉ひできち座右左衛門ざうざえもん海信うみのぶと申す者で候。」


「おおさすが、長い長い!!でもでも、ちゃんとメモしましたよー!」


「気軽にクロノブとでも呼んでくれでござるよ。」


「だそうです!!クロノブさんに盛大な拍手を!!!」

彼女が観客席に向かってそう言うと、拍手や口笛が鳴った。


「ところでクロノブさん、今のお気持ちはー?」


「そうでござるね。

拙者、この学園に転入してきたばかりでござる。


最初に見たのが校内最強決定戦の、彼女とヴィオレオット殿の試合で。

お二人と一戦交えたいと、その時強く思ったでござるよ。


だからプラチナど-」

彼女に袖を引っ張られた。


「......ごほん、彼女と決闘ができて、今本当に嬉しい気持ちでいっぱいでござる。」


拍手や口笛が上がった。


「ではでは〜今度は逆にプラチナ殿にお聞きしますゾ〜」

スリップ殿はふざけた口調言った。


「は?」


「プラチナ殿は入学してから、いや生まれて初めて負けちゃったわけですが、今のお気持ち、どんな気持ち〜?」


すると彼女は怒らずに答えた。

「......そうね、清々しい気分だわ。

でも、私はこれでは諦めない。またそのうちに、彼に再戦を申し込むわ。


強さって鍛錬すればするほどたえず変わっていくもので、決してずっと同じ序列......なんてことはないわ。

だからその時は、必ず私が勝つ。私が最強の座を取り返す。」


「おおおおおおお!!!!」っという歓声と、拍手が上がる。


「そしてもう1つ。


もしも、『ぽっと出の転入生に負けるくらいだし、プラチナ生徒会長くらいなら俺でも勝てるかも、笑』なんて思ってる奴がこの中にいるとしたら、遠慮せず挑みに来なさい。


私、負けたからかな......。今、何故だか結構イライラしてるの。

だから、いくらでも叩きのめしてあげる。」


「おおおおおおお!!!!」っという歓声?と、拍手と口笛が上がる。


「や〜怖い怖い。

ではインタビューはここまでにいたしまして。


誓約決闘(プレッジデュエル)>で勝利したわけですから、クロノブきゅんはプラチナちゃんに誓約を申し込めるわけですね。」


「ああ、そうだったでござる。」


「ん〜どうする〜?クロノブきゅん〜?えっちな誓約結んじゃう〜?

ほら〜、脱ぎたてのパンティーおくれ〜!とかさあ」


「この人のことは無視していいから。」


「そんな〜プラチナちゃんのいけず〜」


しかしその間も、ずっと拙者が考え込む動作をしているので、プラチナは見兼ねて言った。

「なんでもいいのよ。ご飯お腹いっぱいになるまで奢ってとか。金銭には余裕があるから。」


「決めた。......いや、事前に決めていた。

それを言う決心が、やっとやっと今になってついたでござる。」


「えっ、なんだ!?どんなすごい誓約内容が飛び出すんだ〜〜!?」


「プラチナ」

拙者は真剣な眼差しでプラチナをみた。

「っ、何。」


「えっ、嘘、そういうことなの!?二チャチャチャチャチャチャ!!!」


「拙者、プラチナに謝らなければいけないことがあるでござる。」


「えっ?」


「......。」

レイニーベルト殿は、一瞬だけ空気を察して黙った。


「間違ってプラチナが入浴しているお風呂に入って、裸を見てしまったでござる。」

「えええっ!?本当に!?大スクープ大スクープ!!!」


ざわざわとざわめく観客席。


「ちょ、ちょっと!」


「申し訳なかったでござる!!」

拙者は頭を地面に擦り付け、本気で謝罪をした。


「い、いや、それは別に......!わ、私だってその、結構見てたし......」


「ええええっ!?!?マジで!?やばすぎるよ!!帰ったら私、記事作成で忙しくなっちゃう!!」


「......で?何?それが......なんだっていうの?


まさかっ、そんなことを言うためだけに決闘したんじゃないでしょうね!?」

顔を真っ赤にして拙者を睨むプラチナ。


「もちろんでござる。誓約は決めているから、最後まで聞いてほしいでござるよ。」


「わ、わかった。」


「拙者、申し訳ないなどという謝罪の言葉などでは、到底贖罪できない行為をしてしまったでござる。

それで拙者決めたでござる。」


「何を、決めたの......?」


その場が、静かになる。


「プラチナ。拙者責任をとって、君を嫁にもらい受けたいでござる。」


「............えっ?」


「端的に言えば......この学園卒業したら、拙者と結婚してください!......ということでござる!!!」


「......へっ!?」


また、観客たちはざわざわとざわめく。


「あ、あの〜クロノブきゅん?」

スリップ殿は耳打ちした。


「厳しいこというけどさ、こういう公開プロポーズって、ロマンチック〜だとか思ってるかもしれないけどさあ、むしろ嫌がられるものなんだよ。

周りの祝福ムードで逃げ場なくす感じがさ。私だったら嫌だな〜。

もっとお互いのことを知ってから2人きりの時にさ。

だから、断られてもあんま落ち込まないでね、私が慰めてあげるから-」


「......いい。」

小さな声で聴こえた。


「......ふぇっ?」

スリップ殿があっけにとられて変な声を出した。


「プラ、チナちゃん......?」


「いい......って言ったの!

卒業したら結婚してあげる、あなたと一緒にいてあげるって言ったの!!」


怒ったように顔が真っ赤なプラチナは、『誓約の締結を承諾しますか』という電子書類に触れた。

『はい』の欄にチェックを入れて、名前を記入した。


「ほら、クロノブ、あなたも早く書いてよ!」


「......もちろんでござる」


「えっ、嘘、本当にしちゃうの!?」


拙者も『はい』にチェックを入れて、黒田簡太郎秀吉座右左衛門海信と名前を記入。

最後に指を押し付ける。


『誓約が締結されました。これによりガイドアナウンスを終了いたします。』


「ま、マジ......」

記者は呆気に取られた声を出した。


「はああー、ふうううー」

プラチナは腕を広げて、大きく深呼吸した。


「......よし。


......それじゃあ、ね。」

スンっといつものクールな声色に戻った......いや、ちょっと戻りきっていないけれど、そんなプラチナは足早に去っていった。


それは少しだけ、弾みが軽かったように見えた。


「.........」


「.........はああああーーー!!!よかったでござるうううううう!!!」

拙者は安堵して、地面に倒れ込んだ。


「ちょ、えっと......号外!!号外書かなきゃ〜〜〜!!!!」

スリップ殿がトラックに乗り込み、去っていく音が聞こえた。


それから少しして。


「おい、クロノブ、お前大胆すぎるだろ!」

オクタ殿が観客席から会場へ降りて、拙者のところまできていた。


「おお、オクタ殿」


拙者はオクタ殿の手を借りて、起き上がった。


「ウチも流石にびっくりしたよ。会長に勝っちゃうし、しかもプロポーズなんて......

ドラマチックすぎ!」


「ぼ、僕が先に好きだったのに......」


「パピルス殿もプラチナのことが......!?

でも残念。拙者彼女を他の誰かに渡す気など、到底ない故。」


「ヒュ〜、クロっちのろける〜!」


「いや、僕が好きなのはそっちじゃなくて......ブツブツ」


「でもパピルス殿のような賢くて優しい人なら、きっといい人と巡り合えるでござるよ!」


「あ、クロっち、優しいってのはパピルスには禁句で......!

こいつ、優しいなんてのは取り柄とは呼べない〜って、いつも言って......」

ミカ殿がそう言う。


「そ、そうだったでござるか。

パピルス殿、悪気はなかったのでござる!今の言葉は忘れて-」


しかし......


「......だよね!!うおおおおおお!!」

パピルス殿はメラメラと燃えた。


「え、ええ......?」

ミカ殿は困惑した。


「クロノブ、お前が次にプラチナ生徒会長と戦うのは、今度の校内最強決定戦本戦だな。」


「ええ!そのためには、まずは敗者復活戦を勝ち抜くでござるよ!」


拙者はそう宣言した。

スタジアムの天井は大きな吹き抜けになっていて、上空は綺麗な青空だったでござる!


「おお、自信満々!まあ、生徒会長に勝ったんだしね」


「いや、相性などもあるでしょうし、環境次第で勝負はどう転ぶかわからないものでござる。

厳しい挑戦に変わりはないでござる。」


「でも、やるんだろ?」


「もちろん!困難に挑戦するのは楽しいでござるからな!

拙者の戦いはこれからでござる!!」


「あ、そうだ。」

ミカ殿がスマホの画面を見せてきた。


「今からみんなで、ステタ(喫茶店)に期間限定のみかんフラッペ飲みにいかん?気になってて」


「いや、ぼ、僕はそういう陽キャが行くところは......」

パピルス殿が小声で言いかけた。


「いいでござるね!みんなで行こうでござる!」


「ええ......」


「まあいいじゃねえか、行こうぜ。そういうのも挑せ-」

「-挑戦だよ!」

「-挑戦でござるよ!」


「そ、そうかな......?そうかも......」

パピルス殿は言った。


「みかん......懐かしい響きでござる。」

拙者はふと、しみじみした。


「みかん、みかん、みかんふらつぺ〜」

なので、つい歌い出した。


「な、なんだ!?」


「お、クロっちその歌最高じゃん!!ウチもやろ〜

みかん、みかん、みかんふらつぺ〜」


「「みかん、みかん、みかんふらつぺ〜」」


「「「みかん、みかん、みかんふらつぺ〜」」」


「お、オクタ殿も歌ってくださるでござるか!」


「当たり前だろ!」


「「「みかん、みかん、みかんふらつぺ〜」」」


「ぼ、僕は絶対歌わないから.....!」

There story to be continues, but whether or not we can ever know it is another matter.

(続きの構想はありますが、コンセプトを達成した都合上それを書き記す意義に対して懐疑的なためこのお話はここまでです。強い要望や筆者の気が向くことがあった場合のみ更新されます。)

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