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星に唄う  作者: 井ノ上雪恵
天璇進行編〜群青の調毒士〜
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噂の人物とご対面

「ここが七海透さんのお家ですね〜」


 結局奏楽が起きたのは、透の家に着く五秒前だった。散々奏楽の耳元で怒鳴りながら起こしていた蛍は、既に疲労困憊の様子である。


「はぁ……本当に入るのか?ソラ」


 息を一つ吐き呼吸を整えると、蛍が奏楽に視線を送る。その目には、「絶対に面倒事が増えるだけだから帰ろうぜ」と書かれてある。

 扉の向こうから感じられる星力反応は全部で十九個。その内一つを除いて、十八個全てが死にかけのように弱々しく、小さな反応だった。そこから考えられることは然程多くない。どう転んでも、面倒事でしかないだろう。

 当然、奏楽もそのことに気付いている筈だが、好奇心が勝つのか放って置けないお節介な部分が出るのか、奏楽は「勿論です〜」とニッコリ微笑んだ。


「どういう事情があるかは知りませんけど、そもそも死にそうな人が居るのに、放って帰るなんてできませんよ〜」

「……だよな……」


 どんな応えが返ってくるかはわかっていたらしい。蛍は驚くことなく、ガックリと肩を落とした。その隣では莉一が「奏楽殿らしいですねぇ」と苦笑している。


「それじゃあ、行きますか〜」


 掛け声も程々に、奏楽がインターホンを鳴らした。ピンポーンという控えめな音が短く響く。


「「「…………」」」


 三分経過。扉は閉ざされたまま、開く気配が微塵もない。

 もう一度奏楽がインターホンを鳴らす。

 しかし結果は同じだった。


「……留守なんですかね〜」

「こんなに星力反応あって、そんなわけねぇだろ!」

「普通に考えれば、居留守でしょうなぁ。何やら碌でもないことしている雰囲気ですしぃ」


 奏楽の発言にそれぞれツッコみが入る。

 莉一の言う通り、確定で居留守だろう。仮に本当に七海透が居なかったとしても、十八人の死にかけの人達が扉を開けられない程弱っているとしても、確実に一人、元気な誰かが家の中に居るのだから。

 奏楽は「困りましたね〜」とあまり困った様子もなく呟くと、大きく息を吸った。蛍と莉一が揃って首を傾げるが、二人が何か尋ねる前に、奏楽が口を大きく開ける。


「もっしも〜し!七海透さ〜ん!聞こえてますか〜!?ボクら〜、七海透さんに用があるんですけど〜!今から十秒以内に扉開けないと〜!このドア蹴破っちゃいますよ〜!居るなら出てきてくださ〜い!!十〜!……九〜!……」


 大きな声で突然叫んだかと思えば、宣言通りカウントダウンを始める奏楽。紛うことなき脅しである。


「息するように脅してますねぇ」

「ソラって、自分で思ってるよりひとのこと言えねぇよな」


 それぞれ感想を漏らしながらも、蛍も莉一も奏楽のことを止めることはしない。


「……三〜!……二〜!……い〜……」


 奏楽が「一」と言い終わる前に、ガチャと鍵が開けられ、扉が数センチ開かれた。

 その数センチの間から覗くのは、思いきり不機嫌そうな歪んだ顔。

 紺色の真っ直ぐな髪は肩にかかる手前まであり、片目は前髪で覆われている。隠れていない左目から、その虹彩が美しい金色であることがわかった。切れ長の瞳にスッと通った鼻筋。怒りで表情が歪んでいてもわかる程の整った顔立ちをした美青年だった。

 この美青年こそ、奏楽達のお目当ての人物……七海透その人である。

 ようやく会えた透に、奏楽は先程堂々と脅しをかけたことを忘れたかのような柔らかい笑みを向けて一言。


「貴方が七海透さんですか?初めまして〜。ボクは春桜奏楽です〜」


 呑気な自己紹介をするのであった。

読んで頂きありがとうございました!!


一週間一話投稿できずにすみません!!


実は透編の内容、全然アイデアが煮詰まってないんでストーリーが書けないんですよね〜(あっさり言うことじゃねぇだろ!!)

透編終わった後の話ばっかり思い浮かんでいる状態なので、透編が終わるまではしばらく亀更新になりそうです。

楽しみに待ってくださっている方々、誠に申し訳ございません!!!

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