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幽明の番人  作者: 寺島という概念
『信仰』の御化
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「おお、シン」

 夕飯時、食堂へと向かう廊下を歩いている時に、野太く低い声で呼びかけられ、シンは正面から歩いてくる男に視線を向けた。

 同級生のリアだ。

 おそらく裕福な家庭で生まれ育ったのであろう彼は、同じ年代の割には上背があり、筋肉も脂肪もついて、はっきり言って太い。

 そして彼は信神深く、将来は本気で『神』のために働くのだと語るような男だった。

「おはようリア。今日も元気そうだね」

「ははっ、これも『神』のご加護あってこそだ」

 リアはそう言って豪胆に短く笑う。

 シンはそれを聞いて密かに、それはお前の身体が丈夫だからじゃないか?

 なんてことを思ったりもするが、その身体は『神』から授かったものだと考えるならば、別に間違ったことは言っていない。

「ああ、そうだね。『神』のご加護のおかげだ」

「これから食事か?」

「ああ。しっかり食べないと」

「は、確かに、お前はもう少し食べたほうがいい」

「そりゃ、リアに比べたらほとんどの人がそうだろ」

 リアの体格から見たらシンのそれは細枝のようなものだろうが、少し周りを見渡せば、別にシンが特別細いわけでもなかった。

「でかいってのは、いいことだ。それだけで強さにつながるからな」

 リアはシンの言葉を受け、かすかに誇らしげな雰囲気ではにかんだ。

 そして二人はしばらくなんでもないような軽い雑談を交えたあと、別れた。彼はすでに食事を終えていた。


 シンは彼自身が考えていた以上に、神衛隊学校に馴染むことができていた。

 初日に犯した大失態は、殊の他自然に受け入れられていたのだ。

 同室のマルカトルとはあまり気は合わないが、それは単に彼があまり人と話すことを好かないからで、むしろ彼自身の問題と言えた。

 そしてそのマルカトルにさえ、たまに共通の趣味の読書話のなどはする。

 シンはそれなりに学校生活を楽しんでいた。

 それはあの家にいた時には感じなかった、満たされるような感覚を伴った。

 しかし同時に彼は、それとは矛盾するように、何か息苦しさのようなものも感じていた。

 昔から胸中に巣食ういつもの感覚。

 それがいつ、どこから来たものなのかは分からないが、胸の奥にわだかまり、徐々に深く深くと心の奥底に根を伸ばしている。

 その根は未だ表層を這うように彼の心を取り囲むだけであったが、いずれは心奥にまでその触手を伸ばしていくのだという直感があった。

 彼はそれを無意識のうちに押さえ込んでいた。

 浮かびかけるたび、重しを投げ入れ、浮かび上がらないように慎重に心の奥底に沈める。

 そうすることで心の平穏を保っていた。

 だが、その平穏は思いもよらぬ崩れ方をする。

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