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幽明の番人  作者: 寺島という概念
『信仰』の御化
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「それとこれとになんの関係があるって?」

 シンは薄々とそれらに共通する項目に勘づいてはいたが、あえて気づかないふりをした。

「何って、『神』が我々を救いなさったんだから、その恩に報いるのは当然の話だろう。そして今がちょうど、入学試験の時期だ」

 父はあたかも『神』の代弁者でも気取っているかのような態度だった。

 まるで、そうすることで、そうすることこそが、『神』の恩に報いる唯一の方法とでも言わんばかりである。

「………そもそもさ。いっつも『神』、『神』いうけど、本当に母さんを治したのは『神』だったの?」

「当たり前だろ」

「どうしてそれが分かるの?」

「『神』以外にそんなことができるか?」

 父は強情だった。

 あるいは強情なのは自分の方か。シンはそう思った。

 なにせ、シンは『神』以外に母に救いを授けることができる存在を見つけられなかったからだ。

 災いをもたらす存在であれば『御化』という存在があるが、それはここ何年もこの区画、この都市の中で出現したという知らせはなかった。

 だから現状、母を救ったのは『神』以外には考えられない。

「………」

「お前は妙に『神』を疑ってかかる節があるな。それともなんだ、そんなに学校には行きたくないか?」

 シンが反論できずに黙り込んだのを降参とみなしたか、父は畳み掛けるように言った。

 シンはそれに対して、否定も肯定もできず、ただ黙り込んだままでいた。

「そんなことはないはずよね?あなたは、あんなに本を読むのだもの」

 母がシンの代わりに、いや、彼が次の言葉を紡ぎやすいように、話の順路を作る。

 母の気遣いはありがた迷惑なようにも感じたが、そこまでされて答えない訳にもいかず、彼は父の質問に正直に答えた。

「学校には行きたい。それに別に『神』を信じていない訳でもない」

(ただ、父さんたちが食した『神の木の実』。

 あんなものが『神』の奇跡とはとても思えないだけだ)

 シンは後の水掛け論を飲み込んで、席に腰を下ろした。

 なんにせよ、学校に行きたいのは事実だ。

 今は、それがもしかしたら・・・・・・『御化』のものなのではないか、などという懸念は棄ておけば良いのだ。

「………それで、どうやったら学校に行けるの?」

 シンは、久方ぶりに両親にはにかんで見せた。

 これから入るであろう『神衛隊学校』。

 その場では、どのような振る舞いをしなけらばならないのかを考えながら。

 そして、その様子を見た両親の嬉しそうな顔が何故か、シンの目にこびり付いて離れなかった。

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