a-5_先輩-2
お知らせ。
前々回の話を投稿し忘れていたので、前回の話は少し話が飛んでいました。
間に挟んで投稿はしたので、よろしければそちらも確認していただければと思います。
「8部:先輩-1」→「8部:門出」
「9部:先輩-1」
「ここは広いだろう?だから毎年、何人か新入生が迷子になるんだ」
「はい、本当に広いです。この世のものとは思えないくらい」
リノバに当たり障りのない返答をしつつ、ナギは辺りを見渡した。
神授堂をつなぐ廊下は、廊下ですら見渡すのにさえ苦労するほどの広さを持っていた。
この広さならば人でごった返すこともないだろう。
おまけに煌びやかな装飾や照明が散りばめられたこの空間は、気持ちを明るくさせてくれるような気がした。
「だからこうして毎年、生徒の代表が案内役を兼ねて受付に配属されるんだ。とはいえ、大体が口頭の案内なんだけどね」
「迷子の人ってどうなるんですか?」
「大抵の場合、巡回担当の生徒に見つけられて目的地に送られるよ。………実を言うと、僕も新入生の時に巡回の先輩に案内してもらったことがあってね。少し、憧れてたんだ」
話しやすいように気を使って話してくれたのだろうが、それ以上に、その話はこの先輩の人柄を示していた。
なんと言うか、「無邪気」だ。悪くいえば、「子供っぽい」。
「ところで、私は『迷子』としては合格ですか?」
「成績で言えば歴代二位くらいかな?」
「二位?」
「一位は、リンなのさ。君は厳密に言えば迷子じゃないしね。あ、秘密だよ」