表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
105/155

第28話「冒険者の反乱」

 酒宴の場に駆け付けて来た騎士達を一掃した後____


 マルールと共にダンジョン街を疾駆する私。


 地下の街並みは喧騒に包まれ、混乱は頂点に達していた。


 私達の後ろには物々しい冒険者の群れが続いている。


 土煙を巻き上げながら、連なる足音を響かせながら、私達は混沌の街並みを進んでいた。


 そして、この大軍の行く先は____


「見えた! 騎士団支部だ!」


 マルールが目前の建物を指差し、背後の仲間達に向けて叫ぶ。


 リリウミア騎士団ダンジョン支部____ダンジョン内における騎士団の本丸だ。


 暴徒と化した私達は反乱軍を名乗り、今からここを襲撃する。


 そして、騎士達を駆逐し、ダンジョンを手中に収めるのだ。


「お、おい! 何だ、お前達!? と、止ま____」


「邪魔だッ!!」


 建物の玄関口で佇む見張りの騎士達がこちらに制止を呼び掛けるが、マルールは問答無用で剣を振るい、彼女達をなぎ倒していく。


「おら! 行くぞ、お前ら!!」


 マルールが勢いのままに扉を破壊し、騎士団支部に血気盛んな冒険者達が雪崩れ込んだ。


 冒険者達はいくつかのグループに分れ、建物内部を侵食し、突然の出来事に呆然としている騎士達を蹂躙していく。


「お前ら! 全員は殺すなよ! 何人かは人質として確保しておけ!」


 マルールの命令が飛ぶ。


 しかし、酒の酔いによるものか、熱気に当てられているのか、それとも私のオルドーノの効果か、冒険者達はそれを無視するように騎士達をただ虐殺していった。


「おい! 俺の話を聞け! 何人かは生け捕りにしろ! おい、聞いてんのか! ……くそっ」


 どうやら、マルールの制止は冒険者達に届かないらしい。


 皆血走った目で、騎士達に襲い掛かっていく。


 まるで理性を持たない獣だ。


 そんな彼らの様子に制止を諦めた反乱軍のリーダーは、


「まあ良い。俺達で支部長のミリーだけでも確保するぞ。良いな、お嬢様」


 どうやら私とタッグを組む事にしたマルール。


 冒険者の集団とは離別し、二人で支部長のミリーとやらの元まで行く事に。


「支部長は恐らく最上階にいる。どんどん進むぞ!」


 途中、騎士達が現れて私達の進路を塞ぐが、赤子の手をひねるように退けていく。


 やがて、『支部長室』のルームプレートが掲げられた部屋に到着し、


「おらあ!! 大人しくしやがれ、ミリーさんよお!!」


「な!? き、貴様! マルール! そうか、貴様が____」


 中にいた騎士に出合い頭の膝蹴りを食らわすマルール。


 騎士は呆気なく、意識を失った。


「よし、支部長確保だ!」


 気絶したミリーの首根っこを掴み、マルールは歓喜の声を上げる。


 私は耳を澄まし、階下の様子に意識を向けた。


 騎士達の悲鳴と冒険者達の狂喜の叫びが聞こえてくる。


 どうやら、冒険者達は騎士達を圧倒しているようだ。


 ほどなく、ダンジョンは冒険者達の手に落ちる事だろう。


「楽勝じゃないですか……ローズ連邦共和国の支援なんて必要ないですよ、これ」


 思った以上に騎士達は弱く、思った以上に冒険者達は強かった。


 マルールは反乱を起こす事に慎重な姿勢を見せていたが、それは要らぬ心配だったようだ。


「お前、何にも分かってねえな」


 と、呆れた口調のマルール。


「こいつらは聖星騎士団。俺達が本気を出せば、敵じゃねえってことぐらい分かってんだよ。重要なのはここからだ。直にリリウミアから援軍が送られてくる。質も量も、ここにいる奴らとは段違いだ。そいつらとやり合うのにはローズの支援が不可欠だ」


 マルールの説明に確かにその通りだと納得する私。


 彼はしっかりと先を見据えているようだった。


 伊達に反乱軍のリーダーをやっていない。


「取り敢えず、こいつを無力化するぞ」


 そう言ってマルールは懐から首輪を取り出し、それをミリーに装着する。


 私が「それは?」と尋ねると、


「コイツは”スキル封じ”だ。名前の通り、スキルの力を封じる効果がある」


 説明するマルール。


 ”スキル封じ”。そんな物があるのか。


 でも、そんな物がなくても____


「ん? 何してんだ、お前?」


 私はミリーの身体に触れ、”吸精”の能力を発動させる。


 それと同時に【スキルドレイン】のスキルでミリーから彼女の保有スキルを奪った。


 そんな私の行動に、マルールは訝し気な表情を作る。


「私、他人のスキルを奪う事が出来るんですよ」


「は? スキルを奪うだと?」


「はい。たった今、彼女からスキルを奪いました」


 説明すると、マルールがポカンと口を開ける。


 説明した後になって、私は余計な事を口にしたかもと思ったが……まあ、良いだろう。


「……なあ、お前マジで何者なんだよ。マジで意味不明な奴だな」


 若干の距離を取りつつ、マルールが尋ねて来る。


 誤魔化すように頭を掻く私。


 どう答えるべきか?


 ……正直に本当の事を言わない方が良いだろう。


「クローバー・ハウスの奴らはサキュバスなんじゃないかって話がある。つーか、俺も薄々そうなんじゃないかと思ってる。だけど、お前は……少なくとも、ただのサキュバスじゃない。そうなんだろ? もっと、複雑で……何つーか……」


 マルールは言い淀んだ後、


「きっと、ヒト族でもなくて、魔族でもなくて____半魔(ハーフ)ですらない。更に別次元の存在」


「いや、別次元の存在って」


 思わず「何を言っているですか」とツッコんでしまう。


 途中まで良い線をいっていたのに、最後の最後でとんでもない方向に推測が飛んで行ってしまったようだ。


 マルールも自分で言っておいて、俺は何を言っているんだと言うような顔をしていた。


 微妙な空気になった後____


「……さて、支部長を人質に出来た訳だし、残りの騎士共の掃討と、それから、リリウミアからの援軍に対抗するための準備を進めねえと」


 マルールは咳払いをして、ミリーを拘束した後、部屋を飛び出していく。


 私も加勢しようとしたが、拘束しているとは言え人質を見張っていた方が良いと思い、その場で待機する事にした。


 私が力を貸さなくとも、冒険者達が騎士達に負ける事はないだろうし。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ