第7話 決別
王国に戻ったギアトは一旦家に帰り、体を癒した。ある程度体力が戻り、エアリカル城へ向かい出す。城に到着し、中に入ろうとすると門番の兵士に止められた。
「ちょっと、君!何勝手に入ろうとしてるの。ん?あ、君もしかしてライア・エスフィ君かい?他の兵士達はどうしたんだい?」
門番の兵士は今回の裏の目的については知らないような態度だった。
「すみません、至急国王にお会いしたいので通してください。」
「え?わ、わかったよ。」
門番の兵士は困惑しながらも通してくれた。
城の中に入り、急ぎ足で王宮の間に向かう。重厚な扉を勢いよく開き中に入る。中にいた人が一斉にギアトの方をむき、信じられないという表情を浮かべた。
「シャルロ様お話しがあります、お時間よろしいでしょうか?」
「なぜお前が生きて…。い、いやなんだ話とは?」
シャルロは冷静さを保とうと必死だった。
「まず、黒竜の討伐に成功したことをご報告させていただきます。部隊の協力があったおかげです。」
「そ、そうか。」
「そしてもう一つご報告が。黒竜を討伐した直後、部隊の仲間から襲撃されました。襲撃してきた人は一人を除いて全て殺しました。そして残りの一人からなぜこんなことをしたのかを問いただしたところシャルロ様や国の中枢にいる者達からの命令だと言われました。これは事実ですか?」
「………。」
シャルロは黙ったまま俯いていた。
「黙っているということは認めるということですね。さらに聞きたいのですが、私のことを邪魔な存在だと思って命令したのですか?…俯いてないでいい加減答えたらどうです?」
ギアトが詰め寄ると、シャルロは観念した様子で話し始めた。
「さっきお前が言っていたことは全て事実だ。私がお前の排除を命令した…。本当に申し訳ない!」
シャルロは頭を下げ謝った。
「本当にショックでした。私はこの国が大好きで、この国のために今まで活動してきました。それなのに自分は全く信頼されていなかったのだと…。あなた方には本当に失望しました。」
シャルロは何も言い返すこともせずにただ頭を下げていた。
「ただ私は変わらずこの国が大好きです。なので復讐をしようとかそんなことは考えていません。」
「ほ、本当か?」
「はい。ただし、私は今後一切あなた方とは関わりません。そして当初のあなた方の計画通り、ライア・エスフィは死んだことにしてください。今日から私は別人として生きていきます。」
突拍子もないことにシャルロは驚いた。
「そ、それは一体どういうことなんだ?」
「言った通りです。今後一切あなた方との関係を断ち切るため、ライア・エスフィではなく全くの別人として生きていきます。ここで約束してください、今後私とは関わることはないと。」
シャルロは少しの間混乱していたが、その後約束をした。
ギアトは約束をした後城を出て、金髪だった髪を茶髪に変え、長さも肩あたりまであったところをばっさりと切り、ギアト・マーシャルという名前として生きていくことにした。そして翌日に悲劇の英雄としてライア・エスフィの死が発表され、ライア・エスフィの存在は消えた。
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