第2話 授かった力
『召喚の儀』を行った部屋から一階の大部屋に移動し、シャルロは男に事情を話し始める。
「私はここエアリカル王国国王シャルロ・オルアイと申します。失礼ですがあなたのお名前は?」
「国王?!あ、えっと俺は須藤浩也と言います…。」
「スドウコウヤさんですか。えぇとスドウが名前でよろしいですか?」
「あ、いや浩也が名前です。」
「これは失礼しました。ではコウヤさん今から貴方を召喚した理由をお話しします。」
シャルロは浩也に魔物の増加により国が危機的なこと、それを解決するために召喚したことを説明した。
(どうやらマジで別の世界に転生したっぽいな…。しかも俺に絶大な力があるって本当かよ。)
「事情は分かりましたが、自分にそんな力があるとは到底思えないんですけど…。」
「いや、私には貴方のうちに秘めた力をひしひしと感じておりますよ。とは言ってもコウヤさん自身は分かっておられないようですから実際に魔法を使ってみれば分かると思います。」
そう言うとシャルロは兵士に魔導書を持って来させ、浩也に渡した。
「その魔導書にはほとんどの魔法が書かれています。コウヤさんなら問題なく書かれている魔法を使うことができると思います。」
「はぁ。」
「城の少し北側にある山に行きそこでコウヤさんの実力を見てみましょう。」
山に着くとシャルロは早速浩也に魔法を使うよう促す。
「本当に魔法なんて使えんのか?まぁやってみるしかないか。えっと下級魔法、上級魔法、最上級魔法って分けられてんのか。とりあえず下級魔法からだな。」
浩也は下級魔法の一覧からたまたま目に止まった火属性魔法を使うことにした。手を前に出し
「火炎」
と呟いた。その瞬間手から火が勢いよく出て前の木々を跡形もなく消し去った。周りにいたシャルロと護衛部隊の人達は驚きを隠せずにいた。
「すごい…。下級魔法でこんな威力を出せるとは。やはりコウヤさんの力は本物だと確信しました。」
周りの反応を見た浩也は快感を覚えた。
(もしかして俺って本当に絶大な力があるのか?)
そんなことを思っているとそこに体長2メートルほどの魔物が二匹現れた。
「アレはアイアンウルフか!厄介な魔物が来てしまったな。コウヤさんアイツらを倒せますかな?」
「え?わ、分かりませんけど、とりあえず戦ってみます。」
浩也はアイアンウルフの前に行くと上級魔法を唱えてみる。
「獄火炎」
爆炎がアイアンウルフ目掛けて飛び出し、広範囲を焼き尽くす。アイアンウルフどころか山の一部を焼失させた。一瞬の沈黙の後自然と拍手が沸き起こった。
「すごい!まさに救世主様だ!」
「この方なら本当にこの国を救ってくれる!」
あちこちから称賛の声が聞こえた。その状況に浩也は酔いしれていた。
(ハッハッハ。少し力を使っただけなのにこんなに称賛されるなんて。これはマジで俺最強なんだな。これなら俺が思い描いていた理想を実現できるんじゃないか?)
浩也はニヤリと笑うと、シャルロ達の方を向いた。