第1話 『召喚の儀』
久しぶりに小説書きました。
エアリカル城の会議室で緊急会議が始まった。近年魔物の増加が顕著になってきており、王国の軍や冒険者だけでは対処が困難になっていることが会議の議題だ。
「現在、魔物による被害が多くなっている。噂ではエルフ族や獣人族でも魔物による被害が多発していると聞く。魔物の増加の原因の特定と現状の打開策を持っている者はいないか?」
現エアリカル王国国王シャルロ・オルアイが話を進める。円卓のテーブルには10人ほどの出席者が座っており、それぞれが意見を述べ合っている。
「シャルロ様、エルフ族や獣人族と共闘することはできないのでしょうか。」
「難しいな。お前も知っているだろう。遥か昔から人間とエルフ族、そして獣人族は争いあってきた。魔王が討伐された後に我々人間とエルフ族と獣人族とで不戦の契りと今後お互いに干渉しないことを誓い合ったのだ、ここで我々が共闘を持ちかけても断られるだろう。」
もう一人の男が進言してきた。
「やはり、私は『召喚の儀』を試してみるべきだと思います。」
「『召喚の儀』か…」
約300年前に一度だけ行われたという『召喚の儀』は10人の生贄を差し出すかわりに絶大な力を持つ者を召喚することができる、と言われている儀式だ。300年前魔王を討伐するため行われた『召喚の儀』では強大な魔力を持った者が現れ、その人物が魔王を討伐したと伝えられている。
「うぅむ。『召喚の儀』が本当に成功するだろうか?正直、信憑性は低いと思うのだが。それに生贄についてはどうする?」
「現状を考えるとやってみる価値はあると思います。生贄については死刑囚を考えております。」
「死刑囚か…。それならまだ問題はないか。よし、早速準備に取り掛かれ。今回の会議はこれで終わりとする。ご苦労だった。」
緊急会議から3日後、『召喚の儀』が行われることになった。城の地下にかつて『召喚の儀』が行われたと言われている大部屋があり、そこに儀式に必要な人達が集められた。
大部屋の真ん中には魔法陣が描かれており、そこに生贄となる死刑囚達を立たせる。そして複数の魔道士が詠唱を行う。
「果たして本当に上手くいくのか。」
シャルロはぽつりと呟いた。するとその時魔法陣から眩い光が発した。
「な、なんだ?!」
周りにいる人達は驚きながら手で目を覆った。
光が弱まり一斉に魔法陣の方を見ると、そこに死刑囚達の姿は無く、代わりに身長170cmほどで短髪、黒髪の男が一人立っていた。
「な、なんだここ…?どうなってんだよ。俺は死んだはずじゃ…。周りにいる人達は何者なんだ?見慣れない格好をしているが。」
男が困惑していると、そこにシャルロが近づいていった。
「本当に成功するとは。突然のことで混乱しておられるようですね。ここでは少し話しにくいのでついてきてもらえますか?」
「あ、あなたは誰なんですか?ここは一体…?」
「とりあえずついてきてください。詳しい話はその後しっかりしますので。」
男は不安そうな顔をしていたが、大人しくシャルロの後についていった。