とある屍術師の独白
死んだものは返ってこない。泣き喚こうが叫ぼうがなにも変わらない。戻らないものは戻らない。
ある者は諦めた。戻らないものはどうしようもないと。
ある者は受け入れなかった。来る日もくる日も墓の前で声をかけ続け、そして耐えきれずに後を追った。
ある者は祈り続けた。死んだ者は天国で救われるはずだと。
そしてある者は_________
そんなものは糞喰らえだと言い放った。
諦めた?何も試さずに匙を投げ、向き合おうともしていない。
受け入れられなかった?寂しさに耐えられず墓の前でめそめそと泣き、ついにそれすらも放棄した。
祈り続けた?神に祈って幸せになれるのなら、そいつはそもそも死ななかっただろう。
その男は諦めなかった。受け入れた。そして祈らなかった。死んだものは返ってこない。泣き喚こうが叫ぼうがなにも変わらない。戻らないものは戻らない。
それが神が決めたことならば。そんなものはぶち壊せばいい。
それが禁忌だと言うならば。それを喜んで受け入れよう。
屍は動かない。いずれ腐り落ちていくのを待つだけだろう。それでも______もう一度笑いかけてもらいたいと思うのはいけないことなのだろうか?