1000文字短編「主張」
前回に続いてピッタリ1000文字の短編です!
ぜひ読んでください
「もう大人だろ。自分の責任くらい自分で取れ」
親がよく使うセリフだ。私は今、進路について悩んでいる。やりたいことはある。先生になりたいのだ。しかし、親に何度言っても「お前には無理だ」の一点張りだ。
自分の将来くらい自分で決めろ。そう言ってくれたら楽なのに…
いつもは「大人だ。自分で決めろ」と言ってくるのに都合のいい時は「親に従え」と…ほんとに、子供を何だと思っているんだろう。
「お風呂入ってくるよー」
私が言う。私は入浴時間は人並みくらいだ。しかし…
「早く出ろ! こっちだって早く入りたいんだよ」
少し入っているだけで、この起こりようだ。しかも、私が出てもテレビに集中していて風呂に入る気配もない。とにかく怒りたいだけなのだろうか。こんな日々を繰り返していく。
学校に行くと、皆は親にお小遣い貰っただとか、家庭用ゲームの話やら、私には縁のない話ばかりで盛り上がっている。親はすぐに何かを没収したがる。他にも親が厳しい家庭で暮らしている人はいる。学校ではお互い相談を聞いたりしているが、どちらの親も似たものもどうしで何も進展がない。
ある日、勇気を出して友達に話してみた。
友達は簡単そうに
「反発すればいいじゃん。従わなければいいの」と言う。そんなことできるわけが無い。優しい親の家庭に生まれたから分からないのだろう。それでも、どうしようも無かった。反発だってしたことがある訳じゃない。勝手に無理だと決めつけているだけだ。でも、反発してさらに多くのものを失うことになるよりは今のままで…そうやって逃げてしまっている。
強くなろう。
そう決めてから、心はすごい楽になった。
家に帰る。
「ただいまー」
「おかえり」
毎日のやり取りは、いつも素っ気ない。
「進路は決まった?」
まさか、あっちから話を切り出してくるとは…どうしよう、何を言おうか。
「まだ、決まってない」
「出来るだけ早く決めろ。先生になるってのはやめた方がいい…」
ほら、またこれだ。先生になりたいと言うとすごい否定する。
「なんでいつも父さんは否定ばっかするの? 私の夢は私が決めるものでしょ。父さんが口を出す理由はないでしょ!」
言ってしまった…
「ごめんな」
え?
「ごめんな。キツく当たりすぎていたな。俺もそうだったんだ…」
そして続ける。
「俺は親の反対を押しきって、受験に落ちたんだ…」
驚きを隠せなかった。
「大丈夫。私は落ちないよ」
父さんのためにも絶対受かってやる。と決めたのだ。
読んでいただきありがとうございます。
感想などあったらよろしくお願いします。