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島国の冒険者  作者: 御嶽の山と天竜の川
初めての依頼
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第8話 初めての依頼と武器商?

遅くなりました。

すいません

取り合えず次の章まで進めてみたいと思います


「あァ。あんたさん、この状況を見て言ってんのかい?」


 小男が、やって来た男を嘲るようにしてそう言った。


「俺たちはなにもこいつをリンチしているわけではないのさ。ただ少し浮かれていた若者に、世間の大変さを教えてやろうと云うだけの話。それともあんたが、代わりに、教育費を出してくれんのか、ァ?」


 次いで、長身がそう言うと、やって来た人物の前に進み出て、腰の刀に手を添え、威嚇した。

 あいにく、僕はお腹を地面に押さえつけられた状態なので、どれ程頑張ってみても、僕の事はいいから、だとか、危険だから早く逃げろ、だとか、とにかくそう言った気の効いた言葉は、人体の構造上発する事は出来ない。

 僕のできる事は、ただただやって来た人物の無事を祈る事、そして、もし、その人物か僕が殺されそうになった時の覚悟を固める事だけである。

 もしも僕にもっと力が有ったならば、若しくはもっと注意深かったら、こうなる事は無かったのに。

 痛む唇と背中と腰に、意識を向けないようにして、そんなことを考えていた。


 ただ、そのような心配事は、どうやら無用であったようだ。

 男は、はぁ、と一つ、ため息をついて、まるで流れる川の様に、そうなる事が当たり前で在るかのように無造作に前に出て、気が付いた時には長身のやくざ者は中を舞い、背中から地べたに叩きつけられていた。

 何が起こったかわけが分からない。

 男が近づいた所から先は、全く目で追えなかった。

 そこまで速い速度には見えなかったと云うのに、だ。


 そこまで思考してようやく判った。

 この人、やばい人だ。

 僕が心配する必要なぞ微塵も必要ないような、そんな人種だ。

 そうなると一気に緊張が溶けて、体が脱力してしまった。

 どうやら僕は、安心しきってしまった様だ。

 そのような思考が変遷しているうちに、瞬く間に小男の顎に当て身を食らわせた男は、


「そんなだからお前らの様な奴らは何時まで経っても成長しないんだよ」


 と、たった今伸した小男の頭に足をのせてそんな事を言った。

 現在進行形で僕の背中にのし掛かっている大男は、どうやら非常に狼狽えた様子で、


「な、なぁ、もう二度とこんな事はしないから、見逃してくんねぇかい?」


 と、まあ非常に身勝手な事を言った。

 僕としても少々掌返しが酷すぎると思う。

 僕の様な新人冒険者を3人でよって集って追いかけて、金をせびった挙げ句、そこに自分達よりも強い人が現れたら、もう二度とこんな事はしないから見逃してほしいなんて、そんな道理が通っても良い筈がない。

 だけど今ここで彼らを伸したら僕が果てしなく恨まれそうだ。

 目の前に立っている男もそう考えてくれたようで、


「本当にそう思うんだったら、もう一度だけやり直せや。おめえ等の顔は覚えたかんな。もう手ぇ出そうだなんて考えんじゃあねぇぞ」


 そう言って、追い払うようにして手をひらひらと振った。



 ◆◇◆◇◆◇◆



「ありがとうございます。お陰で助かりました」


「あぁ。気にすんな。冒険者は助け合いだからな。まあ、本業は武器商だが、だからと云って助けていけない法もない」


 そう言って、「がははは」と笑う男は、とても先ほどごろつき3人を軽く追い払った人物には見えなかった。

 あの手際からして、何か武術を修めていたのだろうか。

 息一つ乱れていないで豪快に笑う立ち姿は何ともかっこういい。

 学校に通っていた頃の友人の話では、冒険者という人種の中には時に見た目で測ることの出来ないとんでもない人もいると聞いたものだが、実際にまみえてみるととても混乱する。

 大概の物事に於いて大は小を兼ねると云うか、体つきの大きな人と小さな人が闘った場合、それはやっぱり体つきの大きな方が勝つものである。

 生物の進化の過程にしたって狩りをするような肉食獣は、やっぱり大型化する傾向がある。

 それを覆すのが魔物であり魔物を倒して力を得る冒険者だ。

 だからこのジーンズにチェックの服を着た服装は一般的なこの男も、相当の修羅場をくぐり抜けてくた冒険者なのだろう。

 ここまで僕がこの男に対する考察を進めていたところで、当の男から声がかかった。


「今日出会ったのもなにかの縁だ。表通りまで送って行ってやる。だからこれに懲りたら裏通りに来るのはもっと経験積んでからにしな」


 ニッ、とニヒルな笑みを浮かべた三枚目は、「じゃあいくぞ」と言って歩き始めた。

 表通りまで送っていってくれるそうだ。

 ありがたい。

 正直ここで、じゃあまたな、とか言って去られては途方に暮れる所だった。


「すいません。手間をかけさせてしまって。僕の名前は宇野・信一と言います。ちょっと依頼がうまくいって迂闊にも裏通りに入りこんでしまったんです。貴方が助けてくれなければどうなっていたことか」


 そう言ってふぅ、と気を緩める。


「だから気にすんなって。ただまぁ、次からは気いつけな。ああ、自己紹介がまだだったか。俺の名は古村・啓この町、瑞穂弐の武器商だ。できれば顧客になってくれるとうれしい」


これから月に六回ほど投稿することにしましたので、どうぞよろしくお願いします。


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