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12月のメランコリー
高層のビルを一歩出ると、くしゃみを誘う寒さが全身を包んだ。
薄暗くなってきたのも手伝って、底冷えがする。
いのりは肩をすくめて歩き出した。
急ぎ足で大学の正門を通り過ぎる。
駅前に続く道には、あちこちにクリスマスの飾りつけがされていた。
(もうこんな時期なのか……)
自然とため息が出た。
入学したのが昨日のことのようなのに、
時間は加速度を増して流れ去っていく。
充実しているからだ、と指摘されれば、そうなのだろうと思う。
退屈には程遠い毎日だ。
学校に通い、講義を受け、課題をこなし、好きなひとのところで仕事をする。
こんな幸せなことは、そうそうないだろう。
でも。
いのりの顔つきは、物憂い。
その理由は、いのり自身がよくわかっている。
自分では、どうしようもない領域のことだった。
雨だか雪だかが、いのりの頬の上に、ぽつりと落ちてきた。
(急がなくっちゃ……)
いのりは息をひとつ吸いこみ、駆けだした。




