5話 決意
『うわァ〜!死んだぁぁあ!!』
『へへ、参ったか!!』
誰もいない学校で、2人の声が響き渡る。
ションが過去に潜った後、私は1人で待っていたのだけれども、そこにタッキーがやってきた。
あ、滝田奏太くんね。
どうやら、彼なりに勝手に相談を振ってしまったことを反省しているらしく、謝ろうと思ってここに来たらしい。ションなら解決できる力を持っていると知っているから、相談を振ったのだろう。
つまり、タッキーも知っている。ションの能力を。もしかしたら、私以上に知ってるかもしれない。
話は脱線したけど、今は2人で格闘ゲーム中。タッキーはゲームが鬼のように強い。今まで32戦やってきたが、引き分けが1回。あとは全部負け。だから悔しくて何回もリベンジしている。
『なぁ、もういいだろー。あさみん、マジで負けず嫌いだよなぁ。』
『いいじゃん!もう一回!ラスト!ね?』
こんな感じの流れを何度も繰り返している。
そして、46戦目にしてようやく私が勝利。
そのままゲームを消す。
『なぁ、詩音は?まだ戻ってこないの?』
タッキーの言葉でふと時計を見る。
20時38分。ションが『潜って』から4時間以上が経過していた。
『確かに長いかも。なんかあったのかなぁ?』
『ま、まさか…。このまま戻ってこない…とか?』
『ちょっ…やめてよ!怖いこと言わないで!』
一瞬、ゾクッとした。戻ってこないなんて考えたことなかったから、余計怖くなった。
ーション、もう、独りに、しないでー
『だってさ、詩音って納得するまでとことん追求するじゃん?分からないことあったら、ずっと過去に居続けるんじゃないかなぁって。追求バカだな!略してバカでいっか!』
『おい。だれがバカだ?あ?』
『いや、だから詩音が…。あ。』
そこには何故か汗だくのションがいた。理由は分からなかったけど、そんなことどうでもよかった。
気づいたら涙が溢れていた。
『え。おいっ!何で泣いてんだよお前。』
『…戻ってきてくれて…良かった。勝手に…心配してた…うぅ。』
『……あ、あぁ。悪りい。ちょっと遅くなったな、ごめん。だからさ、もう泣くなよ。』
『うん。』
『ったくよぉ。大事な幼なじみ泣かせんなよなぁ。』
『うるせぇなぁ。てかなんでお前ここにいるんだよ。』
『いや、それは…』
タッキーは丁寧に謝罪した。
『いや、別にいいけどよ。あんま簡単に受けんなよ。疲れる。』
『分かった!気をつける!本当すまん!』
『絶対、反省してないでしょタッキー。』
「絶対反省してないな、奏太。』
『してるよ〜信じてくれよぉ〜。』
そんな何でもない会話が15分くらい続いた。
『で?なんか分かった??』
私は、ションに聞いてみた。
『あぁ。全部分かったよ。あの話の真実と、浅野の今の居場所もね。』
『本当に?じゃあ、早速菊池くんに…。』
『いや、その前に亜沙美と奏太に準備して欲しいことがある。頼めるか?』
『いつものことでしょ?任せて!』
『ガッテン!任せろ!何でも言ってくれ!』
『サンキュー。じゃあ、今から手順を説明するぞ…』
そう言って、私達はそこから学校の門が閉まる22時まで話し続けた。
『さてと、そろそろ帰るか。学校閉まるし。』
ションが時計を見ながら私達に言った。
『そうだね!明日から忙しくなるし。』
私も同意する。
『てかさ、来週で夏休み終わるんだな。夏期講習で学校行ってたから、実感湧かないなぁ。』
タッキーの言葉に私達もハッとする。
ーそっか。夏が終わるのかー
でも、私は思う。
このまま終わらせちゃいけない。
真実を伝えて、菊池くんと浅野くんがまた笑顔で話せるまで。この夏は終わらせたくない。
ー待っててね2人ともー
でも、俺は思う。
このまま終わらせてたまるか。
やっと真実を伝えられる。
俺が汗だくになって見つけた真実を。
野球のエースナンバーとかその『意味』とか、
正直全然分からない。だけど、このまま終わらせちゃいけない。
ー浅野と菊池。俺らが最高の夏にしてやるー
『よし!じゃあ準備して、土曜日に!』
そう言って、俺らは解散した。




