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memories dive〜メモリーズダイブ〜  作者: しょーごーる
呪いの救済
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LAST memories dive

あー、怖えなぁ。

警察でも、探偵でもなんでもないただの高校生なのに。ただ、過去に戻れるってだけなのに。

でも、ここまで来たら全部明らかにする。

それが、思いを背負うということだ。


着いた…

日曜の学校は、とても静かで、人の気配が感じられなかった。

明らかにいつもとは違う学校のある部屋に俺は急いだ。


学校の隅にある小さな部屋。資料室。

あの悲しい事件が起きた場所。


資料室は、何事もなかったかのように、綺麗に片付けられていた。

その時。足音が遙か遠くから微かに聞こえる。

来てしまった。

その足音は、徐々に大きくなる。ここに向かっているのは明らかだった。


階段を上っている。そして、このフロアに着く。全てが手に取るように分かる。

汗が出てきた。これが冷や汗というやつか。

たしかに、気持ち悪い。


コツコツコツ…


すぐそこまでやってきた。

俺は覚悟を決めた。


『遅かったですね。貴方を待っていました。』


犯人と対峙する。相手は何も言わない。


『まんまと騙されましたよ。てっきり、あなたは被害者だと思ってました』


返答はない。


『でも、香織さんの言うことが真実なら、犯人像は明らかだった』


沈黙が続く。


『自分を被害者にし、香織さんを容疑者に仕立て上げた。そうですよね?』











『川島…夏実さん』







その瞬間、全身に寒気が走った。

犯人は、川島夏実は、笑った。

悔しがるわけでも、怒りを押し付けるわけでもなく、笑ったのだ。


『…。あなた、笠原詩音くんでしょ?はじめましてと言うべきかしら?』


『まぁ。会うのは初めてですからね…。この一連の事件、あなたが裏で全てを操ってたんですね?』


『ふふふふ。大正解。おめでとう』


『は?…認めるのか?』


『認めて欲しいんでしょ?だから、認めてあげたの。それで?ほかに何か聞きたいことは?』


余裕そうに問いかけられる。


『何故、自分の計画で自分を襲わせたんだ。

自分自信で直接香織さんに仕掛けることも可能だったはずだ』


『詩音くん。殺人はね、アートなの。

完璧な殺人計画を完璧な人間が成し遂げたところで、それはなんの感動もない。でも、完璧な殺人計画を凡人が成し遂げたら、素晴らしいでしょ?計画の美しさが際立つの。私の作品がね』


だめだ。もう、話が通じる相手じゃない。


『自首…するんだな?』


『なんで?』


『は?』


『たしかに私は認めたわ。でも、認めたからなんなの?容疑者は香織。被害者は私。その事実に変わりはないわよね?

しかも、私はあくまでも考えただけ。実行犯は、復讐にまんまと吸い込まれたあの女よ?全部あの女よ?』


この女、イかれてる。人間の感情とかなんとも思ってない。


『ふざけんなよ!てめぇ、何言ってるか…』


『ねぇ、詩音くん?』


その瞬間、彼女の姿が消え、首に、冷たいものが当たる。


『今、私がスーッと右手を引いたらね、あなたは死ぬのよ?分かる?私はね、凶悪殺人者の血を引いた娘なの。ただの高校生のあなたなんか、すぐ殺せるのよ?』


ホントにヤバイ。この女、予想以上にやばい

殺される…

その瞬間、冷たいものの感触が首筋から無くなっていることに気づく。


『でもね?あなたは殺さない。私のタイプだから。詩音くんみたいな頭のいい子、最高に好きなの。その極限状態の顔…ゾクゾクする』


『っはぁ、はぁ、はぁ…なんの…マネだ』


『もしあなたが、探偵まがいなことを続けるのであれば、また会うかもね?その時はまたその顔見せてね。あと…』


『あなたの能力も詳しく教えてね?』


『…え?なんでそのことを…』


俺が顔を上げた時には既に川島夏実は姿を消していた。

その瞬間、視界が揺らぐ。押し込めていた安堵が一気に押し寄せ、俺はそのまま意識を失った。






『ョン…、ショ…ン…ション!!!』


聞き覚えのある声に反応し、目を開ける。


『こ…ここは??』


『良かった、気がついた。ここは、病院よ。

資料室の前で倒れてるところを奏太君が見つけてくれたの』


『奏太が?』


『うん。たまたま忘れ物してたらしくて、校舎に忍び込んだって言ってた』


『あいつ。でも、助かった』


『ねぇ、ション。何があったの?』


亜沙美が顔を覗き込む。


『俺じゃ、手に負えなかった…。近づいちゃいけない。絶対に』


『誰のこと?』


『川島夏実だよ。彼女がこの事件を裏で操っていたんだ』


『え…夏実さんが!?なんで?』


『彼女は、香織さんの自分への殺意に気が付いていた。だから、スタンガンで自分を襲わせ、香織さんが容疑者で自分が被害者という立場を作り上げたんだ』


『でも、なんのために?』


『分からない。いや、分かりたくもない。

クソっ!あんな奴のために、なんでこんな…』


悔しさと不甲斐なさがこみ上げる。


『ション…』


『亜沙美。俺はまたあいつと対峙するかもしれない』


『え…なんで?』


『知ってたんだよ。俺の能力のこと。亜沙美と奏太しか知らない俺の能力を』


『それって…どういうこと?』


『分からない。でも、俺と川島夏実の間には何かあるのかもしれない…』


あれ以来、川島夏実は行方不明のまま。

香織さんは、誘導されたとはいえ、やったことは犯罪だ。罪を償うことになるだろう。

涼子さんは、共犯だったが、結果的に襲われることとなったため釈放になった。

今後は、カウンセリングを続けながら復帰を目指すらしい。


そして、俺も高校生の範疇を超えているということで、警察から大目玉を喰らった。


そして、数日後…


『あのさ、亜沙美』


『なに?』


『俺、過去に戻るのやめないよ』


『うん』


『あいつと決着つけないといけないし、あと…過去のことも…』


『うん』


『でも、高校生のうちはもうやめるかな。あぶねーし。一旦休憩』


『うん』


『卒業したらさ、探偵事務所を立ち上げるよ』


『うん』


『ぶっ飛んでるかもしれないけど、やりたい。やってみたい』


『ション』


『ん?』


『私はずーーーーっとションの味方だよ』


『おぅ!サンキューな!』


『てことで。学園祭の準備再開ね』


『……え?ナンデスカソレ』


『とぼけない!!ただでさえクラスに迷惑かけてるんだから、やるよ!』


『えええぇ。いい感じだったのにいい』



誰にでも、秘密はある。

でも、それを打ち明け、語り合える仲間がいれば、秘密じゃなくなる。

大事なのは、秘密を守ることじゃない。

秘密に立ち向かい、受け止めること。

俺はそう思う。








to be continued...?

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