7話 呪いの救済 1人目
真実を明らかにする日。外は雨が降り、リズム良く響く雨音が聞こえる。
いつもは、過去に悩み、苦しんでいる人を救うために過去に潜っていた。
でも今回は違う。色々な人の悲しみが交錯して、起きてしまった事件。慎重に進めなければ、一気に破裂し兼ねない。
『よし!行くか』
俺は勢い良く布団から出て、出かける準備をした。
朝10時 金澤涼子の病室
まず俺は亜沙美と一緒に、被害者である金澤涼子さんの病室に来た。
彼女は、以前来た時よりもやつれていて、俺たちに気づくと軽く会釈をするだけだった。
『あなたに聞いておかなければならないことがあります』
俺が切り出すと、彼女はゆっくりとこっちを向く。
『あなたの今抱えている隠し事についてです』
その瞬間、彼女は下を向き、震え始めた。
明らかに動揺している。やっぱり…
『あの夜、あなたたちが資料室に忍び込んだ理由が分かったんです。全部話してくれませんか?』
『…いや、私は…その…なにも…』
彼女は、か細い声で震えながら言った。
何かを恐れているんだ。紛れもない恐怖を感じる。
『大丈夫。今ここには俺ら2人しかいないです。それに、警察も病室の外で待機してますから』
そう言って俺は扉を指差す。
すると、外から亜沙美のお父さんが敬礼をするが見えた。
『涼子さん、聞いてください。最近会ったばかりで、急にしゃしゃり出て来た俺が言うのも変ですけど、信じて欲しい…信じてくれませんか?あなたの友達、そしてあなた自身も…助けたいんです。何かあってからじゃ遅いんです。』
『あなたには関係ないでしょ?ただお願いされただけで、なんでそこまで…?』
なんで?…なんでだろう。そう言われると理由がない…。確かに普通に考えればそうだ。最近会ったような人達にこんな大変な思いまでして、助ける必要があるのか。
…でも、それでも、俺は…
『なんか、助けたいんです。理由とか、そういうのは…ないです。これじゃ、ダメですか?』
彼女は、唖然としてこっちを見ている。
やべえ。まずいこと言っちゃったかな…
すかさずフォローをしようとした時、
『あの!彼、昔からこういう奴で。変なんですけど、凄く良い人なんです!私なんか、いつも彼に勇気をもらっちゃってて。だから、涼子さんも話してください。きっと彼がなんとかしてくれます!』
亜沙美…こいつそんなこと思ってたのか…
なんか凄く恥ずかしくなった。
涼子さんは亜沙美の言葉を聞き、しばらく下を向いていたがやがて何かを決意したかのように
こちらを見てゆっくりと口を開いた。
『あなたたち、お似合いね。なんか、気持ちが少し楽になりました。分かりました。急にしゃしゃり出て来た貴方達2人を信じて、全部話します』
そして彼女は全てを語り始めた。この事件の本当の姿を…
『…これが私の知ってることです』
『ありがとうございます。これから俺は、会いに行って来ます。全部終わったらあなたも、自分に嘘をつくのやめてください』
『分かりました。私、もう逃げないわ。本当にごめんなさい…そして、お願いします。彼女を…助けて』
彼女はその後、ずっと泣いていた。全ての音をかき消すかのような大きな声を背中に浴びながら俺は病室を後にした。
『ねぇ?どういうこと?なんで…?』
病室から出て早々、亜沙美が聞いてきた。
『いや、だからさ。結局、俺らは騙されていたんだ。香織さんが相談に来たあの日から。上手く誘導させられたと言うべきか』
『でも、なんでそんなことを』
『そんなの、決まってんだろ。あの人がこの事件の犯人だからだよ』
『え、あの人って…誰?』
亜沙美はしつこく聞いてくる。好奇心旺盛過ぎるのも厄介だな、ったく。
『あとは、この後説明するよ。それより…
…その…さっきは助かった…ありがとう…』
『え?え?なになに。聞こえないなぁ。もう一度大きな声で?』
『うっせーな!早く行くぞ。ここからが正念場だ』
『ちょっとぉ!待ってよーー!』
そんなやりとりをしながら、俺たちは次の目的地に向かって歩き出した。




