4話 不安
突然ですが、クイズです。
私、白石亜沙美の父親の職業はなんでしょう。
正解はーー
私とションは、噂の老夫婦の自宅まで来ていた。
場所も分からなかったが、ある方法で住所を知ることが出来た。
『うわっ。ツタだらけだな。マジの幽霊屋敷みたいだ』
ションが見上げながら呟いた。
『本当だね。ちょっと怖いかも。』
家は、完全に廃墟と化していた。でも、至る所に人が住んでいた面影があった。
『おい、お前の父ちゃんまだかよ』
『暇じゃないんだから、そんなすぐ来ないっつーの!』
全く、この男は人の父親を何だと思ってるんだ。自己中過ぎる。
『おーい。亜沙美ぃ!』
遠くから声が聞こえて、振り向くと、お父さんがこっちに向かって走っている。
『あ、お父さーん!』
お父さんは、汗だくで私達の元に来た。髪の毛もボサボサで、ちょっと臭う。
『ったく、俺をなんだと思ってるんだ。今結構忙しいんだからな。おっ!詩音くん久しぶりだな』
『はい。ご無沙汰しています。すいません、無理言ってしまって』
『いや、いいんだけど、君たちこんな家に何の用?ただの廃墟だぞ?』
『殺された老夫婦が住んでいた廃墟…ですよね?』
ションが呟くと、お父さんが急にハッとする。
『まさか…また探偵ごっこみたいな事してるのか。やめてくれよぉ、叱られるのは俺なんだぞ』
『すいません!でも、俺は明らかにしたいんです、真実を。このまま分からないでいるのは嫌なんですよ。だから、お願いします!』
ションが深々と頭を下げた。
『…本当に君は、あいつにそっくりだな…
よし、分かった!好きなだけ調べなさい!ただし…亜沙美に何かあったら許さないからな!』
『はい!亜沙美さんは必ず守ります』
そんなションの言葉に少しドキッとする。
『じゃあ、これがここの鍵な。これで入れるよ』
そう言ってお父さんは鍵をションに差し出した。
『ありがとうございます。用が済んだら返しますね』
『ああ、頼むよ。じゃあ、俺はここで。事件が立て込んでるんでね。亜沙美もあんまり遅くなるんじゃないぞ』
『うん、わかった。ありがとう、お父さん』
と言う前に、お父さんは行ってしまった。
あっ、結局父は何かって?
私のお父さんは、警察官。しかも、わりと偉い人らしい。だから、大抵のことは頼んだら聞いてくれる。
『おい、亜沙美。なにボサッとしてるんだよ!入るぞ』
『あっ、待って!』
そう言って私達は老夫婦の家に入った。
ギシギシ…
天井から音がする。今にも崩れてきそうだ。
中はもう、家としての原型を留めていなかった。
そんな時、私は見てしまった。
壁にへばりついた残酷な血の跡を。そこには、悲劇しかなかった。一気に呼吸ができなくなる。そんな感じがした。
『亜沙美、大丈夫か?辛いなら、外で待ってろよ』
『ううん、大丈夫。ごめんね』
ションは時々優しいし、凄く頼りになる。
お化けに弱いところを除けば本当に素晴らしいのに。
そんなことを思いながら、先に進んでいると、足に何かが当たる。
『痛っ!』
『亜沙美?どうした!』
『うん、ちょっと足に何か当たっただけ』
そう言って、当たったものを確かめると、
『これ…おもちゃ箱…かな?』
そこには、箱いっぱいにおもちゃ箱が入っていた。
『うわぁ、なんか懐かしいのが沢山入ってるな。俺らの小さい頃に流行ったようなおもちゃばっか』
中を見てみるとおもちゃに何か書いてある。
『11K4って書いてある…のかな?文字が消えかけていて、読めないや』
『だけど、大事な物ってことは間違いなさそうだな。…これにするか、「思い出の品」』
ションがおもちゃを手にして呟いた。
確かに、周りを見渡す限り、持っていけそうなのはこれくらいしかなさそうだ。
『じゃあ、明日に備えて準備しないとね』
『あぁ、頼むよ。ここにいるのもちょっと精神的に辛いしな』
そう言って私達は、家を後にした。
日曜日
学校は閉まっていたので、ホテルの一室を借りてそこで準備をした。
『ション、準備できたよ』
部屋の端でずっと何かを考え込んでいるションを呼んだ。
『あ、あぁ。サンキュー。じゃあ、潜ってくるかな』
『うん。今回も気をつけてね』
そう言ってすぐ、ションは過去に潜っていった。
ー眠りについた途端、彼の身体は無くなり、過去にそのまま転送されるー
今回は、殺人事件とか行方不明とか、怖いこと続きでどうなるんだろうって思う。
でも…彼は…ションは、真実から目を逸らさない。しっかりと前を見据えてる。
ション、無事に帰ってきてね…
私は、身体中に広がる不安を押し殺して、彼の帰りを静かに待つことにした。




