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法術省 特務公安課  作者: 秋山 武々
第0章 法術概論
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法術概論Ⅲ ー法術定礎ー

「ざっと説明しましたが、質問はありますか?」


上手く説明できていただろうか、少し不安になる。


暗い講義室の中で学生たちの表情は見えない。


しかし、講義室内はいくつかの咳払いが聞こえたが質問はないようだ。


先生に視線を送るとどうぞ、どうぞ、続けてと手を差し出している。


「・・・では、2021年に入ると。」


私はパネルに表示した当時の資料を選びながら話始める。


国連は安全保障理事会下に【人類非科学現象研究機関”HrSSO”】を設立し、各国の医療機関、研究施設に特設機関を設置した。


そこでは一度でも意図的にでも無意識でもこれまでの物理現象と科学現象の原理原則を無視した現象を発生した者は国の登録を受けることを義務付けられた。


しかし、発展途上国や内戦もしくは紛争状態の国で混乱が生じ、非科学現象を利用した自然災害による犯罪が増加していく。


「2023年にはHrSSOは調査と研究により人間が発生させる、またはその現象に関連する行為・行動を ―法術— と規定しました。」


HrSSOに登録された人々は強制的に保護観察下に置かれることになるのだが、これまでの生活から隔離され”ガーデン”と呼ばれる保護施設に衣食住を移した人々はそこは最低限の人権のみしか与えられない収容所であり、自らが保護ではなく管理されていることに気付く事になる。


公式の発表ではないが、当時ガーデンに居住していた人間は世界人口の20%と言われていて法術に関連する人々が増加していることも示唆されていた。


ガーデンの運用後、HrSSOは更なる調査研究結果により”法術定礎”を公表する。


法術定礎とは『火・水・風・地』の4つの法術基本要素”エレメント”から成り立っていて、新たな元素として発見されたマナリウム(通称:マナ)が法術の要因というものだった。


マナは多くの登録者の血中成分より発見されていて、人間が意識的に非科学現象を発生させる際にのみ人体内で活性化する原子であった。


この公表により法術が世界で認知されたことが相まってか、HrSSOの非人道的研究が問いただされガーデンで保護されている者たちへの解放活動が活発化していく。


同じ時期にこれまでは能力を持っていることを公にしていなかった者たちが自由と尊厳を求め、テロや破壊活動などを起こし、特に三大法術事件と言われる悲惨な出来事の一つがこの日本でもあったことは広島と長崎に次ぐ悲劇として歴史のテキストに記載されている。


2030年を迎える頃に事態を終息に導けなかった国連はHrSSOを解体される。


しかし、法術に関する画期的な発見と発展がもたらされたのもこの年である。


人間が法術を使うこと、それを


法術施行ほうじゅつしこう


と呼んだ。

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