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プロローグ ー祝福ー
黒い暗い空間。
その空間に直立する自分。
直立しているのか。地に足を着けている感覚はない。
しかし、恐怖はない。いや、むしろ落ち着いている。安堵を覚える程に。
透き通った意識の中で何かが見えた。
遠くで輝くモノ。
一つ、二つと増えていく。其々、大きさはバラバラだが、ゆっくりとその形、色が見えていく。
百合の花?
花弁一枚一枚が虹色を有し、ぴらぴらと煌めきながらその場で回転を繰り返す。
眼前に現れた一際大きな一房の花を手に取る。
温かい。温度なんて感じるわけはないのに。
その妖艶且つ優しい光は柔らかく強く瞬き始めた。