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眠らずの都の住人  作者: 同田貫
狭まりゆく包囲網
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指導者達の会談

セレス革命政府総理官邸にて、各大臣に関係閣僚、政財界のトップが一堂に会し、ランドールとの聖戦についての会談の場が設けられている。


彼らの最終的な目標は、ランドールの遠征軍をこの大陸より駆逐した後、ランドール本国に攻め入り、大公の首を斬首する事に固執している。

両国の恨み辛みは、この十年戦争で、最早修復が困難な程に凝り固まっている。


どちらかが他方を完全に屈伏し、属国にでもしないと収まらない。


セレス国軍としては、マリーベル線を突破した今、ライナレス線の攻略はさほど重要ではない。

我が国の主要な沿岸地域を牛耳るランドール海軍との、艦隊決戦で打撃を与える事が急務となっている。

沿岸部さえ奪還すれば、ランドール本国にもライナレス線にも攻勢が可能となり、二正面作戦で内外から圧力を加えれば、遠征軍は容易に崩せるというのが、革命政府が描いたシナリオだ。


だが、事はそう簡単ではない。

艦隊決戦を仕掛けた場合、こちらもそれ相応の犠牲がでる。

沿岸部を無視して、ランドール本国に直接上陸も可能だが、その場合はやはり沿岸部の海軍が妨害するだろう。



「やはり懸案事項は沿岸部ですな、奴らの息の根を止めるには、もう一手が必要かと意見しますが」


「軍務大臣はどうお考えで?」


「外務大臣にしては弱腰ではないかな?戦争に犠牲はつきものです、沿岸部攻略が急務なら、海軍は喜び勇んで鉄火場へと参りましょう。これは軍部省の総意と思ってもらって結構です、総理」


「うむ、軍務大臣の意見は理解した。内務大臣、国民感情はどうかな?先のマリーベル線での戦勝を伝えれば、戦意高揚に使えるんじゃないか?」


「はい総理、既に滞りなく。大々的に宣伝し、我が国の国民達は協力的な姿勢を示しております。ランドール遠征軍の駆逐が、いよいよ現実味を帯びてきたのが、後押ししている状況ですね」


各大臣が報告を上げる中、リッケルトは書類を一旦脇に置き、会議室にいる双子の機械人形とその従者に視線を移す。

リッケルトの意図に気付き、各大臣が口を噤んで沈黙している。


「ナル様、イル様本日は御足労いただき誠に感謝します。この議題でなにか、お気づきの点はありますか?」


雪の様に純白な髪をなびかせ、セレスの首脳陣に意見する双子。

リッケルトは朗らかに、他の大臣達は緊張した面持ちでいる。


「リッケルト、艦隊決戦はなにも海軍だけで行なわなくてもいいでしょう。私達もお手伝い出来ると思うわ、それはもう盛大に、痛快に…」


「流石はナル様、その方法をお聞きしてもよろしいでしょうか?」


「えぇリッケルト、まずは…」


ナルが口を開いている途中、会議室の1人が無粋な横槍をいれ、話が中断した事に不快感を露わにする。


「大事な会議の場に、何故かような幼子が混じっているのか⁉︎神聖な会議の場を、子供が穢すでない。遊戯会ではないのだ、即刻立ち去れ!」


「誰の子供か!名乗り出よ!」


口々に言い募る財政界の有力者達、彼らはナルとイルの正体を知らない。

無知ゆえの暴挙、だが大臣達は知っている。その違いが明暗を分けた。


「ねー、リッケルト。彼らの換えは存在するのかい?有象無象の彼らはいらない存在だと僕は思うけど」


「本日中には後任を指名しましょう。所詮は血筋だけの家系の者達です。数人いなくなったところで、現体制になんら影響はありません。お好きにどうぞ」


「ふーん、なるほどー。アンリエッタ、数名黙らせてくれ。旧い者達にはご退場願おうか!永久にね〜」


「拝命しました、イル様…」


今尚言い募る財政界の有力者達を、首元から両断するアンリエッタ。

血の華が会議室に咲きほこる。


嫌な程の静寂と沈黙。

大臣達が口を噤んでいた意味を理解した者達は、言葉を発する危険を察した。

この双子は怪物だ。


見てくれだけで判断した者は、会議室で屍となり、首を切断された。


「もーイルは勝手なんだから、えーと、それで具体的な方法というのを今から講義するわリッケルト」


「お願いしますナル様」


何事もないかの様に、会議は進む。

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