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眠らずの都の住人  作者: 同田貫
本国動乱
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閑話 セレスの中枢に座す者(前編)

セレス人民国防委員会。


セレス人民議会とは趣の異なる場所であり、国防の中心になっている。

彼らの指示で軍が動き、対外的な取り決めが決まる、軍部省の上部組織。


委員会メンバーは毎年9名が人民議会より選出され、任期は3年とされているが、その委員会メンバーの情報は、暗殺防止の為に常に秘匿されている。

だがそれは表向きの理由であり、本質は別にある事を、軍部省も人民議会も知らされていない。


革命政府の一部の要人達と、国のトップ達しか知らない公然の秘密。


それは…。


『国防委員会などは存在せず、この国の誕生からいる機械人形達の掌の中で、セレスという国が動いてきた現実』


革命政府の指導者連中が、頑なに情報を公開しないのには訳がある。前任者である王族達がそんな機械人形達から離脱しようとした際、機械人形達の粛清にあったのだ。そのままの意味で…。


機械人形達は、王族を処理する道具として革命政府を組織し、革命政府の為に必要とされるあらゆる知識を与えた。

革命政府にしては、そんな機械人形達に恩義もあり、義理もあるのだが、機械人形達からしてみれば、馬の手綱を握り直しただけにすぎないのだが。


そんなある日革命政府に、国防委員会からの招待状が届く。紅い封筒に、セレスの国旗が捺印された仰々しいもの。

指導者達は怯える、血のように真っ赤な招待状の中身に手紙があるわけではない。それはただの符号にすぎない。


機械人形達からの呼び出し。


自分達は上手くやっていたはずだ、機械人形に刃向かわず、従順に物事を運び、為政者として責務を果たしていたはずだ。


まさか前任の王族達と同じ様に、今度は自分達が処分される番か?


これには革命政府の内務大臣を始めとした各大臣が慌て、時の革命政府総理大臣リッケルトに全てを委ねるように、視線を集めていた。


「…リ、リッケルトよ!今度は我々が機械人形の餌食になるのか⁉︎儂は嫌だぞ、儂は何ら悪い事はしとらんぞ!」


「あいつらが王族にしたのを憶えているか?俺達に主要な王族の処刑を命じ、裏では王族の血縁者、それに親類縁者の死体を残らず首都の川に流した事を!川が真っ赤になったのがいまだに脳裏に焼きついて離れないでいるんだぞ!奴らはおかしいんだ!」


顔馴染みの財務大臣に外務大臣が、ひっきりなしに騒ぐのを宥め、リッケルトと呼ばれた総理大臣は額をぽりぽりと掻き、皺のある顔を綻ばせている。


「落ち着け同士達、機械人形がなにかするなら、今頃俺達は仲良く墓の下よ。まだ利用価値があるから、俺達は無事だという事だろう。せっかくの御招待だ、運が良ければディナーをご一緒できるかもしれないぞ?」


リッケルトは自ら志願し、他2人程の大臣を引き連れて、機械人形の待つ白亜の離宮を目指していく。





首都サナーテにある白亜の離宮、そこは前任の王族が妻の為に建てた別荘でありながら、巨大な建築物だった。


その離宮にある大広間で、2人の機械人形が革張りの椅子に座りながら、上機嫌に会話を楽しんでいる。


「戦争はまだ続くかな?」


「えぇ続きますとも、人も私達も戦争を必要として求めているもの。私達の存在意義の為、私達の探求する命題の為にも断固継続するべき」


「それじゃあ次はなにをしよう?その為に革命政府のリッケルト達を、この場所に呼んだんでしょう?」


「私達が創った玩具を貸してあげようと考えています。彼らは前任者達より、私達によく尽くしてくれます。そろそろご褒美を与えてもいいかと考えます」


真っ白に雪の様な髪色の、幼い双子が自分の考えを述べている。

その見た目に反して、残忍な性格の双子に躊躇いはない。


「今度は起動するかな?」


「素体なら沢山あるさ、それこそ無尽蔵な数がこの国にね、起動するまで何度でもすればいいだけ!」


「そっか、簡単な事だね」


セレスがこの世界に誕生する以前より活動している双子は、始まりの個体に施されていた厳重な封印を自力で解除し、眠らずの都の識別信号を切り、完全に消えた存在として、今は悠々自適な日々を過ごしている。


双子の命題。

機械人形と人との完全な融合。


イル・イラーとネル・イラーと呼ばれる白髪の双子は、始まりの個体よりこう呼称されている。


曰く、『裏切りの個体』と

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