表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/11

第0話

【Prologue…?月】


ひらり…はらり……


深夜。

誰もが眠り夢を見ているであろう時間。

そんな真夜中の時間に一人の少年がこの島―【心月島】の中心にある公園、その奥に立っていた。


ひらり…はらり……


少年の目の前に大きな、この島で最も大きく根付いている大樹が聳えていた。


「…いつ見ても、不思議な樹だな―」


少年は白い吐息を吐きながらその樹を見上げる。

今の季節は冬から春に差し掛かる時期なのだ。

まだ寒い時期。

その季節に周囲の樹々はまだ花を付けていなかった。

しかし、少年の目の前に存在する樹には、美しく見る者を魅了する何処か不思議な神秘さがあった。

その神秘さとは美しく咲き誇っている青白い光のような花弁。

まるで雪の宝石の様だなと思う。

他の樹々が咲き散りゆくなか、この樹だけは決して枯れることはなかった。

また、この樹の構造そのものが一般的な、周囲に生えている樹々と異なっていた。

この樹の幹の中心部を覆うように、まるで鳥籠のようであった。

そして、その中には蒼い光の球が存在していた。


この不可思議で神秘性のある樹を、この島に住む者達からは【蒼標樹】と呼ばれていた。


少年は日本人離れした蒼い瞳を閉じるとその右手を【蒼標樹】に充てる。

そして少年の手から【蒼標樹】の光と同じ蒼色の光が溢れ【蒼標樹】の光の中に注ぎ込まれる。

全ての光が【蒼標樹】に入った。

【蒼標樹】の光球部分が若干ではあるがその光が満ちるも、


「……まだ…だめ、か…」


少年は落胆するように、それも仕方ないかと溜息を付き呟く。

閉ざしていた目を開ける少年。

目を開けた少年の瞳は、この樹に手を充てる前は綺麗な海の様な蒼色だったが今は宝石のルビーの様に真紅となっていた。

それはこの樹に触れたことで、少年に流れる魔法使いの血が濃くなったためであった。

この少年は魔法使いと呼ばれる人間だった。

そして…この【蒼標樹】は魔法と言う神秘によって生み出された魔法の樹だったのだ。


「…まだ、足りないか……やっぱり、魔法の種を集めないとダメみたいだな。…俺には、この【蒼標樹】の…―さんの力で叶えないといけない”願い”がある。…俺が忘れてしまって時間(きかん)を取り戻す為に……そして――」


【蒼標樹】には願いを叶える不思議な力がある。

少年にはどうしても叶えたい”願い”があった。

忘却の彼方にある少年にとって最も大切だった”願い”。

その”願い”が何だったのか。

それすらも忘れていた。

しかし心の奥底に確かに感じていた。

大切な人を…彼女を思い出せていないのは遺憾ともし難いと。


そうしていると、次第にノイズが走り始めた。

この空間、少年の夢の世界に終わりが迫った為だった。


「……どうやら、今回はここまでのようだな。…さてっと、夢のあとはまた春の季節を巡るわけか…この世界に、夢の狭間に辿り着くまで忘れてしまうけど……俺は……」


夢が覚めると同時に、この夢の中の出来事を少年は忘れ、再びこの場所に戻る時に思い出す。

春の始まりの季節。

その季節に少年は、過去に自分でも無意識に与えた”魔法の種”を回収する為に、”魔法の種”を与えた少女達と交流を深めていく事になる。


そして全ての”魔法の種”を回収した時、少年の…咲良蓮(さくられん)の望みに”願い”に届く。


『行ってらっしゃい、…いつも見守ってるね……』


夢の終わりの最後にそんな少女の声が、懐かしさのある声が耳に届くのだった。


感想・意見・誤字脱字報告あれば御願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ