表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『猫が焼きもち妬くので結婚できません』  作者: 大輝
第2章 お留守番嫌い
2/23

2

【都内のレストラン】


〈同窓会会場〉


「ああ、宴、久しぶり」


「うーん、何年ぶり?」


「雅の結婚式以来じゃない?」


皆んな結婚したのね…


結婚してないのは、私と美都ぐらいか。


美都は、バツイチだけど…


「宴はしないの?結婚」


「相手が居ないもん」


30までにしたかったんだけどな…


子供好きだし。


「宴先輩、美都先輩」


ここにも居た未婚の子。


「宴先輩、そのパワーストーン」


「あ、これ?うちのお店の近くで作ってもらったの」


「へー、良い事有った?」


「そこのオーナー、ちょっとステキだったわ」


「何てお店ですか?」


「lapis」


「え?もしかして、天空路?」


「そう。何で知ってるの?」


「私、付き合ってたんです」


「えー?」


「素子は、何で別れたのよ?」


「猫が懐かなくて…」


「猫飼ってるんだ…私好きだから大丈夫」


「手強いですよ」


「ねえ、その人いくつ?」


「30です」


「年下なのね」


「宴。どこがステキなのよ?」


「パワーストーンの説明がねー」


「ただの石オタクですよ」


「花オタクと石オタクか、お似合いかもよ」


私は、お花に夢中になってて、気がついたら32よね。


付き合った人は居たわよ。


プロポーズされた事も有ったけど、タイミングって有るじゃない。


あの時はまだ、お花の勉強がしたかったから…


彼…何の花が好きなのかしら?


この前は、スイートピーを買って行ってくれたけど…


また来てくれるかな?


「2人とも、たまには私の店に来なさいよね」


「行きます、行きます」


美都のお店…


ご馳走してもらうの悪くて、何と無く行かなくなっちゃったのよね。



【天空路家】


〈窓の外を見るlapis〉


お留守番嫌だな。


寂しいよ。


あ、ママだ。


〈隣の建物の窓に母猫と父猫が居る〉


あ、パパちゃん。


ママのお家に居る。


早く帰って来て。


〈しばらくすると…〉


あ、帰って来た!


〈玄関に走るlapis〉


早く早く!


〈扉の鍵が開く。ドアが開き遊が入って来る〉


「ニャーニャー」


〈遊の肩に乗るlapis〉


「良い子にちてまちたかー?」


「ンニャー(寂しかった)」


「お腹空いたか?」


「ニャー」


「あ、また食べてない。何でパパちゃんが居ないと食べられないんだよ?」


「ニャー、ニャー(早くご飯)」


カリカリ、時間が経つと美味しくないんだろうな。


ニコロなんて、開けた時しか喜ばないもんな。


缶詰めが欲しいんだろ。


ああ、そのうちこれも食べなくなって、パウチになるんだよな。


ワガママ猫ニコロの娘は、ワガママ姫か?


アクセのデザインしたいんだけど、lapisが寝てくれないと無理だよな。


ビーズみんな転がしちゃう。


ずっと抱っこしてぐずるし、起きてると何も出来ないよ。


可愛いけどね。


「可愛い可愛い赤ちゃん。大事な大事な大事なlapis」


チュッ、チュッ。


「パパちゃんの大事大事」


「ゴロゴロ(パパちゃん大好き)」


「lapisが1番大事だからね」


〈そして…遊の膝の上で眠るlapis〉


あー、やっと寝た。


イヤリングのデザインしよう。


〈lapisを抱いたまま棚に手を伸ばすと…〉


「ニヤッ(びっくりした)」


「あ、ごめんごめん。ねんねちて」


【ベッドルーム】


〈朝、遊の顔を舐めて起こすlapis〉


「おはようlapis」


チュッ。


「ニャー(早く起きて)」


【アクセサリーショップlapis】


「じゃあ、後お願いしますね」


「お疲れ様でした」


【駅前】


lapisが待ってるから、早く帰ろう。


あ、オヤツ買って帰るか。


【ドラッグストア】


クリスピーキッス。


ドリーミーズ。


ニコロこれ好きなんだよな。


うーん、lapisにはまだ早いな。


こんなの食べさせたら、普通のカリカリ食べなくなるもんな。


煮干しと鰹節は、今から食べさせておいた方が長生きするからな。


ゴロちゃんが長生きしたのは、煮干しが好きだったからだと思うんだ。



【フラワーショップ】


〈店の外に置いて有る重そうな鉢植えを中に運ぶ宴〉


「フー…後もう少し」


これが重いのよ。


〈しゃがんでその大きな鉢植えを持とうとした時、誰かの手が重なる。見上げると…〉


「大丈夫?」


「天空路さん」


「中に運べば良いの?」


「そうなのよ」


「了解」


【店の中】


入り口近くの方が良いかな?


また出す時大変だもんな。


「ここで良い?」


「うん。ありがとう」


「じゃあ」


「あっ」


「うん?」


「良かったらお茶、ううん、ご飯でも…手伝ってくれたお礼に」


「そんな、このぐらいで…」


「とっても助かりました」


「嬉しいんだけど、猫が待ってるから、帰ってご飯あげないと」


「あ、そうよね…じゃ、じゃあまた今度」


「それじゃあ」


帰っちゃった…


あーあ、チャンスだったのに。


うーん、もう、呑みに行こう。


【bar】


「いらっしゃいませ、ああ、宴いらっしゃい」


「あら、素子も来てたのね」


「宴先輩、何だか嬉しそう」


「そう?」


「何か良い事有ったな」


「天空路さんが通りかかってね、鉢植えしまうの手伝ってくれたのよ」


「ああ、そういう事はする人だわ」


「素子。あなた、天空路さんとどこまで行ったのよ?」


「どこまでって?」


「つまり、そういう事よ」


「美都、何聞くのよ」


「猫が待ってるからって、すぐ帰っちゃうし、家に行けば猫に威嚇されるし」


「家に行ったの?」


「何度か行ったんだけど、そんな雰囲気になんかなりませんよ」


「猫がね…」


「私は、仲良くなってみせるわ」


「宴、付き合うつもり?」


「そうなったら良いな」


「素子のお古よ」


「だって、何も無かったんでしょう?」


「キスぐらいしたでしょう」


「彼、猫にしてました」


「え?キスも無し?」


「はあい、無しです」


良かった。


お古じゃなくて。



【天空路家】


「こんにちはー」


「はい、お願いします」


「ニャー(嫌、来ないで)」


「lapisちゃーん、掃除機かけるからねー」


「ニャ(掃除機さん嫌い)」


「あ、逃げた」


本当掃除機嫌いだよな。


「滝本さんには、ウーって言わないよね」


「皆んな言われるのよね?」


「うん」


「私、掃除機持ってるから?」


「そうかも」


「はーい、こっち終わったから、今度そっちに行くよー」


「ニヤッ(また来た)」


「どこに居る?」


「向こうの部屋」


居た。


「抱っこ抱っこちて。よちよち」


週に1回掃除に来てもらっているんだけど、最近やっと少し慣れたみたいだね。


相変わらず掃除機は嫌いで逃げ回るけど、他は大丈夫だ。


「早く帰って、って言われなくなったわよね」


「そうだね」


最初の頃は、滝本さんの顔を見て「早く帰って」みたいに「ニャ」って言ってたよな。


今でも帰るまでリラックスして寝る事は出来ないけど、嫌な時の耳しなくなったもんな。


「終わりました」


「ありがとうございました」


「ありがとうございました。また伺いますね」


滝本さんと入れ違いに、春陽ちゃんが来た。


「お掃除の人頼まなくても、私がするのに」


春陽ちゃんはそう言ってくれるけど…


猫じゃらしで遊んでるな。


他の人だと、おもちゃでもダメだよな。


「お兄ちゃん、お店行くんでしょう?私お留守番してようか?」


「せっかくの休みに何言ってるんだよ」


「だって、lapis寂しいわよね?」


「ニャー」


lapisが小さい頃は、1人に出来なくて、お店は店長の石垣さんに任せて時々顔を出してたんだよな。


ついでに買い物に行ったりして、急いで用事を済ませて帰ってたんだ。


その間春陽ちゃんに頼んだりしてたから、春陽ちゃんだけには懐いてるんだよな。


でも猫って、家族でもしばらく会わなかったら、よそよそしくするんだ。


忘れているわけじゃないんだけどね。


親父がしばらく帰らなかった時は「ウー!」って言われてたな。


春陽ちゃんもしばらく来れない時が有って、lapisは少し警戒したりしたけど、今は懐いてる。



他の人だと、僕とその人の間に入って、睨んでる感じだよな。


すぐ「ウー、シャー!」って言うし。


「ほら、鍵。帰る時は、母に渡しといてくれれば良いから」


「行ってらっしゃい」


lapis寝ちゃったのね。


いつもお留守番の時は、どうしてるのかしら?


【駅前】


「こんばんは」


「こんばんは」


「今帰りですか?」


「はい」


「今日は、早いんですね」


やっぱり、猫ちゃんが居るから、まっすぐ帰るんだ。


どうやって誘おうかしら?


お昼?


【天空路家】


〈遊が玄関の鍵を開けて中に入ると〉


「ニャニャニャー(パパちゃんパパちゃん)」


「良い子にちてまちたか?」


「ニャー、ニャー(抱っこ)」


〈遊はlapisを抱っこして、いつものように肩に乗せる〉


あれ?


良い匂いがするぞ。


「お帰りなさい」


「春陽ちゃん、ずっと居たの?」


「ご飯作ってたの」


それは有り難いけど…


「うわ〜美味しそうだ」


「食べよう」


時々こうやって食事を作ってくれるんだよな。


いや、最近はしょっちゅう。


助かるんだけど…


でも、いつまでもこんな事させてて良いのかな?


「どうしたの?美味しくない?」


「凄く美味しい」


「冷めちゃうよ」


本当に美味しい。


始めの頃は、練習台にさせられて、かなり面白い味のも有ったよな。


焦げ焦げなのに、結構美味しかったり…


初めて料理を作ってくれたのは、春陽ちゃんが中学生の頃だもんね。


腕も上がったし、練習台は卒業かな?


「そろそろ恋人の為に作ってあげたら?」


「そんなの居ないもん」


「ボーイフレンドたくさん居るんだろ?」


「居るわよ」


「その中に良さそうな人居ないのか?」


「皆んなお友達だもん」


お友達止まりですか。


「lapisは、ご飯の時は、テーブルに上がらなくて良い子ね」


「ニャー」


人間の物は食べさせないから、自分の食べる物じゃないと思ってるんだよな。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ