業が深いな!
ああ、まさにこれぞヘブン!
じゃねえよ、幸せトリップ出来るかよ、おれはそんな性癖は持ってない。俺の幸せはフェチな部位を心から愛する清らかな行動がもたらしているに決まっているだろう。故に却下だ、この現状は許可できない。
俺がこんな風に叫んでいるには勿論理由がある。
本当に困った奴だぜ、なんでロリッ子の奴が俺を踏みつけて悦に浸ってるんだよ。お前業が深すぎるだろ。あれか『ドS属性』も追加かよ!
だがな、俺は踏まれて喜ぶドMじゃねえんだよ。
「ふん! いい加減正体を現したらどうなの、このっ、このっ」
ックックックその手の業界ではご褒美と言われる足蹴だがな。俺には効かないぞ。因みに耐久力も抜群だ。元が永久桶と言われる程の一品なのは伊達じゃない!
その上でこのハライソで鍛え上げた魔力で強化されているからな。そんじょそこらの桶と一緒にしないで頂きたいものだ。まあ、君の見事なその踵から太腿の奥地に続く脚線美を見せてくれているというご褒美と、プニっとした踵は200点あげよう。あれ、認めてどうするよ俺。
じゃなくてだな、何時まで足蹴にしとるんじゃ戯けが!
秘技『石鹸コロリン!』
「きゃぁ!」
フゥッハッハッハッハ!
説明しよう、秘技『石鹸コロリン』とは、お風呂場で石鹸を誤って踏みつける事で尻餅をつくという現象を自在に引き起こす大技である。
これで謎の光が邪魔しなければ『フゥァオ』な三角地帯が現れたのにな!
ックックック恥ずかしかろう、まさに屈辱を味遭わせるのに最適な技だな。バナナと二大ウッカリを二分するだけはある。しかも此方は風呂場限定でありながらも効果は抜群。
「もう、服が濡れたじゃない! アンタのせいよ!」
ロリッコは顔を真っ赤にしながらも、尻餅の状態からヤクザキックを放ってきた。
カッポーンという良い音を響かせて蹴られた俺は今だ普通の桶な奴等に突っ込んでいって良い音を響かせた。クッ、折角掃除のお姐様方(推定40歳)が積み上げた桶の山を破壊するとは……
知らんぞ、おば、いやお姐様方は怖いんだぞ。そんなお姐様の事を考えた時だ、いつもの暢気な声と共に扉が音を立てて開いた。
「今日のおっ風呂! うっひゃあああ~」
ぬぅシマッタ、女神降臨の時間であったわ。まさか女神がドジっ子属性をもっているとは、迂闊なり。
ロリッ子の滑った石鹸でまさかの巻き添えとか。
このままでは、あの素晴らしいお尻が痛む=尾骶骨の危機だ!
あの苦しみは強打した事がないと判らない、え、何で知ってるのって、スキーのモーグルでビンディングが外れてな、その外れた板に尾骶骨から着地した事があるんだ……あれは地獄だった、おのれロリッ子め。
逝くぞ、我が本体よ、その座っても壊れないボディを駆使して女神を救うのだ!
桶山を粉砕した勢いを利用したと見せかけての方向転換、そしてダイビングキャッチならぬ本体での衝撃緩和。その結果として訪れたのはまさにパラダイスだった。
こ、これは、流石の謎の光も湯気も感覚である感触までは阻害できなかったのか!
「ああ、桶様、ごめんなさい、でもなんで桶様が下敷きに?」
「貴女……何者なの」
おう、ロリッ子、年上に態度がでかいぞ、丁寧に接しろよ。相手は女神様だぞ。頭が高いってんだ。
「えーと、2年のウォルフェ・ウル・スプリングスですよ?」
「そうじゃなくて、なんで桶に謝ってるのよ!」
「えーと下敷きにしてしまったので?」
何を仰ってるのという風に首を傾げる女神様マジ女神。この可愛らしさは伝わるかなあ、クテって感じ、こう指が自然と顔に添えられてていいね、まさに女神だよ。そっちでギャースって吼えてるロリっ子にはまだまだ無理な仕草だね。
「だ、駄目ねなんだか聞いても答えが返ってこないもの」
「自分の望みとは違う事は普通ですよぉ、でも駄目ですよ、桶さんは痴漢から私たちを守ってくれる大事な桶さんなんですよ」
「諦めたら答えが返ってくるとか……あんた実は腹黒でしょ!」
「おなか真っ白ですよ? ほら」
プッ。見事すぎて、天然相手に意地になるなんて本当にロリはロリだなあ。新たにドS属性を発動しようが所詮はロリ、精神年齢が足りぬわ!
是非とも女神様を見習って欲しいほどだよな。疑うなど10年早いわ、でもお前のお陰でお腹が見れた。俺はもう悟りを開いたよ。
うん、綺麗なお腹がみれて満足ぅ。
このまま抱きしめられてたら開眼しそうだ、悟りを超えて心が空になって八識を越えて無我の極地へと……
ボーンに包まれる余りの心地よさに昇天するかと思ったよ。
俺は桶になって本当に良かった、アリガトウ神様、俺を桶にしてくれてアリガトウ。
この包まれる感覚は桶じゃなきゃあ味わえなかっただろう。
まあ、ロリも肌はツルツルでもこの感触は無理だからな。
勝負は圧倒的に女神様の勝利!
「クッ、そんな事じゃないわよ。フン、でも私は諦めないからね!」
「濡れたままだと風邪ひいちゃうわよ?」
「大丈夫です、魔術で乾かすもの、フンだ、フンだ!」
ロリっ子は不利を悟ったのか悪態をついて風呂場を去った。女神の完全勝利である。
まあ女神様がその後定位置へ置いてくれてこの日の騒ぎはそれで収まった。
ああ幸福だなぁ。
痴漢の撃退は俺に任せてくれ!
絶対防御間違いなしだ。
俺はその日いつも以上に張り切ったと思う。
ああ、女神効果って凄いよな!
あれですね、娯楽要素以外得る物がお風呂で溺死が多いから気をつけるだけって話ですよね。
自分で書いててテンションを上げるのに……
そして未だに舞台が風呂場を離れないですね、次回辺り野外へ行く予定です。
まったくフェチという業はふかいですね。