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風呂場を守る付喪神様

 まさかな、こんな事になろうとは。

 二度目の人生を与えてくれるって言ってくれた神様――

 いや、うん、何度目か判らないけれども心から叫ぼう。


「神様アリガトウ、そしてもう一度言わせて貰おう、アリガトウ!」


 フフフ、『モテナイ』そう18年間生きてきて『全くもってモテた事の無い』この俺が死んで転生したのは風呂のお湯を入れるあの黄色いプラスティック製の可愛い桶だった。


 なんで俺がこんな結果に感謝してるか分からないのか?

 説明してしんぜようではないか、諸君!

 では、ダイジェストでどうぞ――


 事の始まりは風呂場での溺死だ、ダッセーと思った人も居るだろうが、認識しておいて欲しい死亡案件では上位なんだ。


 モテナイ人生を改善して過ごす為には人よりも頭が良くないと、結婚なんて夢のまた夢だ、憧れのあの子に告白しても「え? 御免なさい良い友達にしか思えないの」なんて言われるだけだ。


 勉強を頑張って一風呂浴びるのがその頃の俺の唯一の楽しみだったと言えるんだ。

 だが、頑張り過ぎたのがいけなかったのか、疲れた俺は気持ちよく失神してそのまま溺死した。

 それを哀れに思ってくれた神様がこう言ってくれた訳。


「次の転生になにか望みはあるか……余りにも不憫だから、聞ける範囲で望みを叶えてやりたい」

「そうかぁ死んだかあ」

「ほれ落ち込むな、こう欲求とか願望とかなかったか?」


 意外と優しくてホロっと来たよ、でも願望かぁ……

 せめて一人ぐらいこう――

 そう願望よりも欲望かもしれないけど、男なら誰もが望む夢。


「願望か……女の子の裸を見るラッキースケベ!」

「ふむ……少々それとは違うが女子のお風呂に常駐できる転生先があったな……」


 なんだと!?


「え! マジですか、それでお願いしますよ!」

「いや、そこまで食いつくか!」

「勿論ジャナイデスカ、ナンデスカ! モシカシテウソトカ!?」


 上げて落とすとかそういうのじゃないよな。


「いやいや、あるよ、あるけども……いいのかのぉ」

「ええ、ハライソに転生だなんて誰が断るんですかっ!」

「いやうーむ、元々は妖専用の転生先だって書いてあるしのぉ」


 アヤカシがどうした、パラダイスは渡さんぞ!


「アッハッハ、そんなパラダイスをアヤカシ? かなにか知りませんが他人に譲るわけが無い!」

「よし分かった、では異世界の風呂場、黄色い湯桶に決定じゃ」


 何て言った、おけー? オケ、風呂場の桶っておい。

「え、桶!?」

「満喫するのじゃぞ!」


 満足ってどうやってだよ!?


「ちょ、ええええ」


 とまあ、こんなやり取りがあった訳だよ、ダイジェストだけどな。

 まあ所謂、世間一般で言うところの付喪神ってのに転生させて貰った。

 成る程確かにアヤカシって妖のことだったんだ。


 でもこんなパラダイスならありでしょ!


 合法的というか付喪神である俺を取り締まれる奴はいないんだぜ?

 そして訪れるのはパラダイスタイム!


 微妙に見えないんだけど、チラチラッってのがイイ!


 ――ガラララララ

 扉を滑らせる音と共に彼女《天使》たちがやってくる。

 いやしかし、そろそろ転生して一年が経つんだが、最初は熱いお湯とか入れられてウギャアとか言うとおもってたが杞憂だったなぁ。


 扱いが違うんだよね、なんでも初代寮長が買った風呂桶で長年使われたけど、何時の頃からかチカン撃退のお守りとして窓際に飾られるようになったんだそうだ。

 それが付喪神になって……

 俺の存在って業が深いなあ。まあでもほら、覗きに来る奴がいても見せないから!


 男子寮生には勇者がいて狙いに来るんだよ、毎回毎回懲りない奴らだ。

 どうやっても俺の能力で彼女たちの見事な肢体を拝ませてやるわけねーだろうが!

 彼女たちの肢体を見る権利は我にあり、100年早いわ小童共がっ。


 湯気を操作して視界を遮断するなどお手の物。

 水面の反射などの操作も可能だからな。

 角度を変えても無駄さ、そして身を乗り出した所で見つかれば、彼女たちからの直接の反撃が始まる。


 そうなれば必殺ドサクサに紛れての熱湯攻撃で撃退だ。

「ックックック、今宵の熱湯は血に飢えている」これで暫くは馬鹿をする奴らもいないだろう。


 まあ、業なのか判らない何かで俺にも謎効果が発動するんですけどね。

 だから、微妙なんだ。まあそれがいいんだけど。

 ほら、全部が見えるより、チラっと見えたほうが素晴らしいっていうアレと一緒ですよ。


 一種の美学かなあ。

 これが湯気と謎光線が採用されててよかったよ。

 ホントにモザイク使用じゃ無かった事に感謝だよね。


 恐らくは初代寮長と言われる人が掛けた効果なんだけど、貴女は分かってらっしゃる。

 うむ、きっとナイスバディで困った末の仕業だったのだろう。

 そしてその芸術を見る道も極めて居た筈。


 ユリユリっすなぁ。

 今もキャッキャウフフしてる女子たちの姿が微妙な湯気と光でカットされつつも肢体の伸びたそのスベスベの肌や部活動で引き締まった足や手などのパーツ毎にみごとな「美」をみせてくれているんだ。


 これは分かる人にしか解らないし、まあ理解も求められないだろう、耳の後ろにかかる濡れた髪とか。

 項のところで雫と纏めた髪が触れ合う瞬間とかな。

 この一年、磨き上げた美を愛でるポイント。


 解るか、女性は胸や尻のみで語るべからず!


 まああの曲線の素晴らしさとチラッとみえる芸術的感性には賛同する。

 ああ、そうだ、勿論。


 大好物だ!


 だけども、それだけじゃない、魅力は其々にあるんだ。

 でかいだけが魅力ではなく。

 そしてそこだけが魅力だなんて浅はかだったと俺はこの呪によって勉強させられたんだ。


 イカン、語りだしたら丸一日でも足りないからな。


 まあ、そういう訳で当然毎日こうして夜になれば順番に色々な子の入浴シーンに立ち会っているんだ。

 どうだ、神様にものすごく感謝して、アリガトウを連呼する気持ちが分かってくれたかな?


 まあ、桶として使ってもらってたらもっと色んなアングルを楽しめたのにとは思わなくもない。

 だが欲望とは際限無きものよ……

 その様な業は捨て去るべきさ!

 今でも十二分なんだもの!





 そう思っていた俺に転機が訪れたのは新入生が入ってきた事から始まる。


「これが大婆様の言っていた呪を施した異界の桶……成る程ね」


 そう言って現れたのはちみっこだった。

 まて、君のいう大婆様とはもしや初代寮長!?

 つうか異界の桶ってやっぱりかぁ可笑しいと思ってたんだよ。


 なんでこの世界でプラスティックなんだよと突っ込みは入れたかった。他の風呂の湯桶は全部木とかだもんな。

 コレあの銭湯の桶だもん、キャラクターの入ったあれだもんな。


 うわー衝撃の事実キタコレだわー。

 でもそのお陰で此処にイマスからねー、文句はないっすよ!

 寧ろハッピーです。


「で、あなた、挨拶ぐらいできる?」


 え? なにこの子誰に話しているのかなぁ……


「可笑しいわね……そろそろなっちゃうかもって聞いたから楽しみにしてたのに」


 おいおい、何に楽しみを求めてるんですかっ、ここは黙秘、黙秘だよーお風呂場には付喪神の神様は居てもヤロウは居ませんよー。

 そもそも貴女の先祖様(死んで無さそうだなオイ)に不思議な呪を掛けられてますからねー、罪はギリギリ犯してないはず。


 でもバレタラ死亡トカヤダー。


「まあ、いいわ、また……ね異界の桶さん」


 見事にトラブルの予感しかしないチミッコもとい成長不良のロリ美少女に目をつけられた風呂桶の付喪神。

 プライバシー保護の為に前世の名前はひた隠すチキンボーイだ。さぁ桶さんの明日はどっち!

 まあ、勢いと会話でその日その場の勢いでやってみたというやつですね。

 責任は私だけにはありません。

 そして第二話が投稿されるかどうかは不明です。

 だって他に更新しないといけないのが……


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