実況!魔法少女バトル!! ギリギリ☆打撃系魔法少女☆こころん 前編
--------《魔法少女バトル》--------
実況her(以下h)《『魔法少女こころん』VS『夜魅』のバトル》
《いよいよ大詰めだぁぁぁぁ!!》
《解説のMAXさん》
《今日のフィニッシュは何で来るでしょうか?》
解説MAX(以下M)《そうですねぇ・・・今日の戦いぶりだと・・・》
《チェンソー・・・あると思います。》
突然だが、『進藤こころ(しんどうこころ)』は、天下無敵の魔法少女である。
今日も地上転覆を図る『夜魅』と戦い、ご近所の平和を守っているのだ!!
「今だよ!こころん!『夜魅』を浄化するんだ!!」
マスコットキャラで黒猫の『かのん』の指示の元、浄化魔法を発動する。
「マジ狩るぅぅぅぅぅチェンソぉぉぉぉぉぉぉーーー」
h《キターーー、やはりチェンソーだ!!》
《流石は、MAXさん、この道20年は伊達じゃありませんね。》
M《魔法少女でご飯3杯はいけます。》
h《回転する刃、唸りを上げるエンジン音!》
斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬るッ!!
やみは、ばらばらになった。
h《決ぃぃぃぃまったーーーー!!》
《『夜魅』は、ばらばらになってリタイアだぁぁぁ!!》
M《お子様には、お見せできない光景です。》
《それよりも、今日の勝利のポーズに期待ですね。》
h《と、言いますと?》
M《やはり魔法少女にとって、変身と決めポーズは必須であり、》
《必殺技と並ぶ見せ場です。》
《可愛くて、キュートなポーズをお願いしますよ?》
h《個人的には、この前の荒ぶる鷹のポーズとか好きですけど・・・》
M《それは特殊な趣味です。》
h《おや・・・なかなか、勝利のポーズを取りませんね?》
M《そうですね、何かトラブルがあったのかも知れません。》
「やったね!こころん♪♪」
「・・・」
「ほら、勝利のポーズはどうしたんだい?」
辺りは、『夜魅』だった”モノ”が散乱し殺伐としている。
「か?の?ん?あんたねぇ・・・こんな殺伐とした風景で・・・」
「てへ♪」
小さく舌を出し、自分の頭をげんこつでコンっと叩くポーズを取る。
「っとか、出来るかぁぁぁぁぁぁぁ」
「・・・やってるじゃないか」
h《今日のポーズは『てへペロ』だぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!》
M《成程、先程の間は恥ずかしいって事を表現したかったんですね。》
h《そんなに深い物なんですかねぇ・・・》
《どうやら、お時間の様です。》
《今日は近所の公園より、実況herの人と・・・》
M《解説のMAXでお送りしました。》
--------《魔法少女バトル 終了》--------
バトルは終了するも、こころとかのんは言い争っている。
「大体ね、魔法って言いながらビームの一つも出ないで、チェンソーだのハンマーだの・・・」
「もう、何年も前から改善要求をしているでしょ!!」
「そんなこと言ったって、君に合っている魔法がソレなんだから仕方がないじゃないか。」
「そもそも君は、『マジカル☆ハートビーム』とか出来るのかい?・・・年齢的にも。」
「うっ・・・」
そう、『進藤こころ(しんどうこころ)』こと『魔法少女こころん』は、魔法少女歴10年。年齢は18歳。
・・・少女と呼べるにはギリギリの年齢になりつつあった。
「・・・年齢の事は言わないで頂戴。」
「私も、こんなに長く魔法少女やるとは思ってなかったわよ!」
魔法少女は、世代交代するのである。
大体、小学校を卒業する頃には、魔力が衰えてくる。
その時に、魔力の充実した新しい世代の魔法少女が生まれるのだが、
どういう訳か『こころん』の後となる魔法少女が生まれず、ここまで現役を通す羽目になっている。
素手による格闘でダメージを与え、『魔力を込めた武器』で止めを刺すというスタイルが、
魔力の消耗を抑えている点も関係するのかも知れない。
兎も角『魔法少女こころん』は、今日もご近所の平和を守ったのだった。
--------《翌日》--------
普段のこころは、私立霧華高等学校に通う高校生である。
何時もの様に、長い坂道を登り、校門をくぐり、3階まで階段。
やっと到着した教室で耳にしたのは・・・
「昨日、また魔法少女が出たんだよー」
「それで、敵をばらばらにしたんだって!」
「魔法少女・・・まじグロイです。」
いきなり、頭を抱えたくなる話題である。
話をしているのは、ゴシップ好きな双子のグループだ。
「あ、はよん♪ こころん」
「おはようございます。こころさん」
「おはよう、こころちゃん」
「おはよう、知真、葉和、香奈」
グループのもう一人、香織はまだ来ていないようだ。
「ねぇねぇ、こころん♪ 魔法少女がまた出たんだって!」
「え、ええ・・・そうみたいね。」
「なんでも、チェンソーでばらばらとか・・・」
「成程、チェンソーでばらばらにしたんですね。」
「う・・・」
その時、香織が教室に入ってきた。
「おはよう。」
こころは、挨拶を済ませるとそそくさと、席に着く。
若干挙動不審になり、「あぶなー」と思うこころであった。
そう、こころが『魔法少女こころん』だと言う事は、絶対秘密なのである!!
そして、放課後。
何時も通り、あまり目立たないように一日を過ごしたこころ。
魔法少女をやっていると、身体能力も強化されるので、うっかり世界新記録とか出てしまうのである。
なるべく地味に、目立たず・・・放課後は即帰宅・・・
・・・は、あまりさせてもらえない。
昨日の今日でまた、『夜魅』が現れたからである。
「さあ、変身だよ!こころちゃん!!」
何処からか、黒猫の『かのん』が現れる。
「あんた、ほんんんっと神出鬼没よね。」
「はいはい、変身っと」
こころは恥ずかしいので、変身の呪文を省略した!
ぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽ・・・・
何処からともなく、ハートが集まりこころを包み込む。
やがて、大きなハートになり、ぽんっと可愛らしい音を立てて弾ける。
そう、変身シーンは18禁になりかねないので、おみせできないのだ!!
さて、ピンクのロリータ衣装に身を包んだこころ=こころん。
今回の対戦相手は・・・
『夜魅人面犬』
だっ!!
--------《魔法少女バトル》--------
h《夕暮れの帰り道、今日も『夜魅』はやって来る。》
《魔法少女に休息は無いのか!?》
《本日のカードは、『魔法少女こころん』VS『夜魅人面犬』!!》
《今日も実況は、herの人、解説はMAXさんでお送りします。》
《宜しくお願いします、MAXさん》
M《宜しくお願いします。》
h《今日の対決をどう見ますか?MAXさん》
M《そうですね、実力的にこころんが圧倒していると思いますね。》
《ちなみに人面犬ってのは、一昔前にはやった?妖怪のたぐいで、》
《前世で悪行を重ねた人間が罰を受けた姿であるとも言われているんですよ。》
h《誰得なうんちくありがとうございます。》
《おや・・・こころんのあの構えは?》
M《あれは、マジカル八極拳の構えですね。》
『夜魅人面犬』と対峙するこころん。
人面犬は、こころんの雰囲気に圧倒されているのか、仕掛けてこない。
h《素早い攻撃が特徴的な『夜魅人面犬』が、仕掛けてこないぞ!?》
《これは、珍しい展開になりました!》
M《こころんの構えに一分の隙も無いので、攻めあぐねているんでしょうね。》
h《動いたら殺られるッ! この緊張感がたまらない!!》
「あー魔法少女だー」
h《おおっと、ここでアクシデント発生!!》
《幼女が、今まさにバトル中のこの場に現れたぞ!?》
M《あの子は、近所の幼稚園に通う『るみ』ちゃんですね。》
h《・・・やけに詳しいですね。MAXさん》
M《気のせいです。》
「危ないから、ここから離れなさい!」
こころんは、るみちゃんに向かって叫ぶ。
るみちゃんは人面犬に気が付き、泣きながらその場を離れた。
勿論、この隙を逃す人面犬ではなかった。
人面犬の『かみつく』攻撃だ!!
「はっ」
間一髪!!攻撃を回避したこころん!!
h《ひゃっほぉぉぉぉぉぉ!!》
《間一髪攻撃を回避したこころんですが、》
《胸の辺りが破けてしまったぁぁぁぁ!!》
M《これでは、片手が使えませんね。》
h《ここぞとばかりにラッシュを仕掛ける人面犬ッ!》
人面犬は素早い攻撃を繰り返す。
人面犬の『ひっかく』攻撃だ!!
こころんは、回避やマジカルナックルガードでガードして凌ぐ。
「こころんっフォームチェンジだ!」
マスコットで黒猫のかのんが叫ぶ。
h《ここで、お色直しの様です。》
M《こころんは、数多くのバトルフォームを持っていますからね。》
《それに、フォームチェンジをすれば、服の破れも解決です。》
h《ちょっぴり残念です。》
M 《・・・》
「フォームチェンジッ!!」
「学者フォーム!!」
h《なぜに学者なんでしょう?》
M《学者といっても、舐めてはいけません。》
《必殺の武器がありますよ?》
「マジ狩るぅぅぅぅぅぅ? ファイアの書!!」
h《ファイアの書!? 魔法で燃やすんですね!!MAXさん》
M《いいえ、学者は魔法を使えません。》
《あれは・・・》
どげしっ!!
カドである。
魔法の書のカドで直接打撃である。
ファイアの書を出したからといって、火が出る訳ではない。
こころんの魔法は、『魔力を込めた武器』による直接打撃なのである。
あくまで、直接打撃、撲殺。
h《カドだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!》
《これは、痛いッ!!》
M《綺麗に決まりましたね。》
h《尚も追撃するこころん!!》
殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る・・・16HIT!!
やみは、ふるぼっこにされた。
ばらばらにしなかったのは多分、
「魔法少女・・・まじグロイです。」
と言われたからなのだろう。
h《決まったぁぁぁぁぁ!!》
《そして、勝利のポーズは・・・》
こころんは、何処からか出した眼鏡を掛け、ファイアの書を開き・・・
・・・眼鏡をくいっとあげる。
M《私はこのポーズ好きですね。》
《ケモ耳なら、尚良かった。》
h《この際、MAXさんの趣味はどうでもいいです。》
M 《・・・》
h《なんだかんだで、今日も大勝利のこころん!》
《どうやら、お時間の様です。》
《今日も実況はherの人と・・・》
M《解説はMAXがお送りしました。》
--------《魔法少女バトル 終了》--------
そんな様子を伺う、二つの影があった。
「大スクープだよ!!」
「魔法少女・・・今日はグロじゃない。」
クラスメイトの双子である。
こころんの正体がバレてしまったのか!?
後篇に続くっ!!