聖女に美しいものを
考えて居る物語のお試しです。
俺は自分でも言うのもなんだが、歌と踊りとあと作曲には自信が有る。
あとは顔も良い、都じゃ人気者だ。劇場は満員御礼で、楽譜も本も売れて居る。お偉いさんや高貴な貴族の方々にも大好評だ。
だが、それが気に入らない連中も居るらしく、俺の作った作品が品性に欠けるとして教団に目を付けられた。
その教団さんに教団内のものに情緒教育のために音楽を教えて欲しいと命じられた。
でどんな奴なるべく女の子が良いなあ歳が近いと良いなと思って居たら扉を開けたのは子供だった。
「あなたが音楽を教えてくれる人ですか?」
「俺以外に誰が居るかな?もしかして妖精とか音楽の女神様とか見えるか?」と俺は子供に言った。教団の教女見習いの制服を着て居るがちょっと大きいブカブカで袖が手先しか見えて居ない、タイツに包まれた細い足が見えて居る。
黄金の髪がウィンブルと言うのか、からハミ出て光って見える。白い肌に青い宝石が生えて名工の作り物の様だ。
「で君はなんと言われてここに来たんだい?」と俺は子供に言った。
「教母様に言われてきました。『音楽』を習う様にと言われてきました。」
「へえ、・・・君は『音楽』といえば、どんなのを思いつく?」
「・・・教会の聖歌です」
子供は彼女は少し考えた後答えた。普通は「どんな曲、どんな歌が好き?」とか聞くのだろうけど、
教室に入ってきた彼女が、彼女の顔が全くの無表情だったからだ。
俺はどうやら子供もとい彼女の心理療法の一環として雇われたらしい
嫌な予感はして居た。
教団で有る。
魔力を持つ女たちが善き血統とやらを手に入れるために身のふり構わずに高魔力の人間を集めて居る
昔っから厄介ごとでしか無い、前も前もそうだった。
目の前の彼女もそうなんだろう。雑魚魔力しかない俺でも分かるくらい彼女の魔力は圧倒的だ。「霊力」とか言って居たが、教団の奴らの詭弁だ。「魔力」と変わらないと思う。
捻じ曲げる力だからどっちも同じだ。前は研究もして居た。
・・・今はそんなことどうでも良い
今の問題は「なんとお呼びすればよろしいですか?」
「『先生』はやめてくれ!嫌なこと思い出すから!」前にそれで酷い目に遭ったからな
「そういえば名前聞いて居なかったなあ。名前教えてくれ」
「・・・『聖女』と言われて居ました。」
と少し考えたうえで言った。俺は呆れて
「違う、いつも呼ばれて居る名前とか、付けてもらった名前とかだよ」
「おい、とか、これ、とか呼ばれて居ました。」とたんたんと答えた。予想どおり碌な生まれでは無いらしい
「じゃあ聖女様で良いか?」と俺は聞いた
「・・・様はいりません」彼女聖女は言った。
「早速始めようか『聖女』さん」
「あなたのことは何とお呼びすれば?」
「・・・音楽家とでもよんでくれ、」と俺は言った。
まずは楽器を弾かせてみる。ピアノ、フルート、木琴、バイオリン、ギター、太鼓、など俺が奏でてから、やらせてみた。音が出ることに驚いて居たようだが、数分で俺が奏でた通りに奏でた。すげえ
頭を撫でようと手を伸ばしたら、避けられた。
「頭触るのイヤだったか申し訳ない」
「・・・不気味だと言われて居ました。」と聖女ちゃんは少し体を縮めては言った。
どんな技能、武術や数学などもすぐに習得できるそうだ。
だから俺が奏でたのを見て、その通りにやっただけらしい。前でいうコピー能力か?
天才というべきなのだろうか?
「歌を歌ってみようか」
「・・・大きな声を出すのは苦手です」聖女ちゃんは苦しそうに言った。
「俺に合わせて声を出してみてくれ」と俺は声を出した。
発声練習で有る。
それから俺と聖女ちゃんは発声練習で喉がガラガラになるまで声を出した。
彼女はけっこう声出せる。上手くやればステージで歌えるかも。
「のどガラガラになったから、何か飲みに行こう」と食堂で水が飲めるという彼女を教団施設内の喫茶店に誘った。
喫茶店でレモネードを飲みながら、雑談を交えてくわしいプロフィールを聞いてみた。
なんでもスラム生まれで、孤児院に引き取られた時にその頃は掃除ばかりして居たそうだ。「聖女」としての力が判明したらしい、そこから教団に引き取られて訓練を受けて「聖女」としての聖務に勤めたそうだ。
ちなみに歳も近かった。二つ下、栄養状態が良くなかったから発育が悪かったらしい。
だが・・・
「心が無いと言われました。」
聖務で、淀みを浄化したときに必要以上にものを壊したり、巻き込まれた人に不用意なことを言ったりして、怒らせたりとトラブルを起こし、ちなみに傷を治すのは苦手らしい。
他の聖女や教団員たちの顰蹙をかって居るそうだ。
友人とかも居ない様だ。
嫉妬も多いんだろうな。
「心が無い?どんなことで?」と突っ込んでみる。具体例が無いと分かりにくい
「わたしは生えて居る花を見たら、『雑草だから抜かないと』と考え、鳥が囀ったら、『フンを落とさないと良いな』と考えます。」
「・・・可愛いとかキレイだとかが分からないんだな。」
今まで居た環境と本来の体質も関係して居るのだろう。前の前の俺もそうだった。
彼女はだまって飲み物をすする。心痛な顔でレモネードを啜っている。
俺は言った。
「じゃあ、二人でキレイだと思うもの楽しいことを探そう!」
音楽教養はほとんどが歌にした。楽器演奏もさせたが、歌う方が合って居る様だ。
聖女さんの歌はどんどん上手くなっていく。
さん付けにしたのは聖務に励んでいるところを目撃したからだ。
淀みを浄化して居るところだったが、暗い道が一気に明るくなっていくところが凄かった。
レッスンのときに褒めたらすこしはにかんだ。
だんだんと笑う様になった。
誰かに聞かせてみるか、と聖女さんに聞いてみたら、近々教団員でのコンサートがあるとのこと、それにソロで出してもらうこととなった。
もちろん俺の演奏で
練習にも熱が入る。
聖女さんも張り切って居るみたいだ。
しかし・・・
コンサートの日が近づくにつれ聖女さんの元気がないどうしたのか聞いたら、
「養子の話が出て居るんです」
と苦しそうで言った。
「養子って?『聖女』は教団に仕えるんじゃ?」今まで聞いたことはない前も
「わたしのとおい親戚だそうです。わたしが『聖女』としての勤めが果たせて居ないからだそうです。」
「えっこの間淀みを浄化したとか言って居なかったか?見せてもらったときはキレイに浄化出来ていたのに!」
「不充分だそうです」と悲しそうに言った
「うそだあ!あれだけキレイに浄化して居るのに不充分ってことは無いだろう!」
と俺は言った。前の記憶でもあれだけ浄化できるものは居なかった。
「お会いしたんですが、親切なかたでした・・・」だが思い悩んでいる。向こうと合わないのかな?
「なら・・・良いのか・・・」俺は悩む彼女を見て言った
「・・・ってやっぱり納得できていないみたいだな教母に言ってみろよ」
と俺は言ったが、彼女は苦しそうに
「・・・音楽会が終わったら、行かなきゃ行けないんです。」
「それでも言えよ」と俺は言った。教団内の政治的な判断だろうか?
「皆さんは良い話だ良い話だというばかりで、反対しても大丈夫だ大丈夫だと言うばかりで・・・」
わざと追い詰めて居るのか?と思う。人間不信がまだ消えて居ないのにこのまま行ったらどうなるか分からない。
彼女は言った。
「・・・音楽家さんは、・・・転生者ですよね?」
一瞬全てが止まった。
「どうしてそう思った。」と俺は務めて冷静に聞いた。
「音楽家さんは、『淀み』に関してすごい物知りです。それこそ教団員でも知らない様なことを知っています。『淀み』と『霊力』のこととか」
と彼女は俺の目を見て言った。
「教団の教本を読んだだけかもしれないぞ。」
と俺はぶっきらぼうに言い捨てた。
「その割には『淀み』の性質について詳しすぎます。あなたは音楽家なのに、専門外のはずなのに!」
と少し叫ぶ様に言った。
「『淀み』に詳しいだけで『転生者』だとは限らないだろ?」
淡々と言う俺
「『転生者』は魔道に関する知識に貪欲だと聞きました。」
優秀と言われるだけは有る。
「あとは楽器の演奏で使われていない演奏法が使われておりました。」
よく見て居たな
「・・・そこまで分かるのか・・・」
勘弁したという感じに俺は手を上げた
「認めるのですね。あなたが転生者だと」
彼女は俺の目を見て言った少し悲し・・・何かを訴える様な感じだ
「・・・俺を『異端』だと訴えるのか?証拠が薄いぞ?」
今の所状況証拠だけで合って確信がないこれだけで引っ張るのは今の時代これだけでは足りない。
「・・・そこまでは、他の教団員が音楽家さんを疑って居たんで・・・」
目を付けられて居たか
「まあ、この教室もコンサート終るまでの契約だったからなあツラかるか」
すぐに行動したら怪しまれる。コンサートが終わったら契約切れを待たずに立ち去ろう。
「・・・」
・・・もしかしたら、他の教団員がコイツを張って居るかもしれない
「どうした?」
思い悩んでいる様だ。これも言い含められたのだろうか?
「・・・」
・・・今までの養子の話も嘘かもしれない、となると教団員が周囲に居るのか?それとも・・・
俺の疑いは彼女が顔を上げた瞬間に晴れた。
「・・・泣いて居るのか?」
青い宝石が滲んでいる。
「・・・」
「一緒に来るか?」
彼女は俺の手を取った。
そのあと
コンサートは大盛況で終わった俺の演奏よりも彼女の歌声が良かったのだと思う。
観客が立ち上がって大好評だそうだ。
「聖なる歌声」と大盛況だそうだ。
俺はすぐに聖女さんの手を取って歓声を背に教団を飛び出した。
世界の美しいものを彼女に見せるために




