第七十四話 戦場の様子
私たちは、早速天界と連絡を取る。
簡単なやり取りの後、戦場へ向かうことになった。
聞かれたのは、戦争の経験の有無と「戦場で皆のために動くことができますか?」それだけ。
天界は本当に人手不足のようだった。神々を選別する余裕なんてない。
何ができるかわからないから、一旦戦場へ送って、できることだけでもいいからやってもらう、そんな感じだった。
私たちは、外敵駆除チームより戦えるとは思われているわけもなく、癒しや補給などの後方支援が役目だった。
メモリナは過去若干戦争の経験はあったが、神々の戦いは初めてだった。
私も、ミカエルも、ルミエルも戦った経験なんてなかった。
少し戦いの様子を見て、少しでもサポートできたら、私たち自身の経験にもなるかもしれない…。
そんなあまいことを考えていた。
戦場についた。一つの星だ。
戦争によって星はすでに半壊している。
元の地形がすでに分からない地域や、焼け焦げた地域ばかりだ。
もともと生命体の多くない星を、戦地として選んだみたいではあるが、それにしてもひどいありさまだった。
私たちは戦場というものを、かなり甘く見ていたようだ。
私もミカエルもメモリナもルミエルも、戦争を遠くから見守っていたことはあった。
私やミカエルは地球上の戦争を何度も見てきたし、ルミエルも自身の星で人々が傷つけあう様を見てきた。
ただ、実際に参加すると、もっとずっと悲惨だった。
離れていてもきつく感じる、爆発の熱さ、見ているだけでも目をそむけたくなる傷の深さ、
傷の血なまぐささ、あちこちから聞こえる悲鳴に一瞬で私の思考は奪われた。
全身の感覚が強く刺激され、深く考えることなんてできなかった。
ただ自分に与えられた命令をこなすだけだった。
それでも、傷が自分にない分だけこの戦場の中ではましな方だった。
私はただただ、甘かった。
傷ついた神を見つけ、後方へ運び、癒す。ただ、それの繰り返し。
健常な体を持つ者へ気遣うゆとりなんて、この戦場の中誰も持たない。
どんなに五感が悲鳴を上げていても、私たちに向けられる気遣いなんてない。
それをわかって、ただ無心にそれを繰り返すのだった。
私だけでなく皆も、ただ無心に続けているようだった。
ルミエルは、最初こそ声をかけていたが、次第に言葉を発さなくなった。
メモリナは、無表情のまま傷の処置を続けている。
ミカエルは、運ぶたびに小さく祈っている。
前線で誰かが倒れればすぐに、誰かが動く。
動いている時間だけが、嫌な感覚を忘れさせてくれる唯一の時間だった。
嫌な感覚を忘れるために動く、無心になるために動く。
時間の経過なんて考えている余裕はなかった。
疲れで体が動かなくなるまで繰り返すだけ…。
よかったら、何か足跡、お願いします。




