第六十七話 人類の英知
「ミカエル―。」
「はい。これですね。」
えっ、まだ私何も言っていない…。優秀すぎる…。
以前確かに見た、毒の中和の広告。メルトドラゴンって書いてあったから二人で気になって読んだ。
人がメルトドラゴンを利用して中和剤を作ったという報告を上げると、天界でもメルトドラゴンの生体調査が行われたらしい。
そんな一度見ただけの広告を、私とミリスの会話で思い出し、この短時間で探しておいてくれた…。
「さすが、ミカエル…。やることが早いわね…。」
「ホープ様はとてもわかりやすいのです!」
どやって言われても…、やっぱり褒められている気がしない…。
大きい星を中和するのにどれくらいかかるのかとか、値段がどれくらいかかるのかとか、
中和剤の作れる毒の種類はとか気になったが、とりあえず、一旦連絡することにした。
値段については、自分のホープって名前を出したら、一度は無料にしてくれるとのことだった。ラッキー!
どんな毒でも、どんな量でも、今のところは問題なく中和できているとのことだ。メルトドラゴンおそるべし…。
ただし、その分、食べ物――子メルトドラゴン用のお菓子を用意する必要があるらしい…。子供のうちはたくさん食べなきゃ。
メルトドラゴンとその保護係の神様と一緒に、ルミナスに向かう。
それにしても、メルトドラゴンの子供、だいぶ飼いならされているみたい…。神懐っこい…。
ルミナスに着くと同時に、さっそく中和を開始してもらった。
といっても、メルトドラゴンを手に、動き回るだけ。
メルトドラゴンは毒を感知すると、一度目をつぶり体内に中和剤を生成、目を白く光らせ中和剤となった息をそこら中に吹きかける。
数時間のうちに、大量のお菓子が消費された代わりに、星の毒ガスが中和された。
メモリナによると、毒ガスはすでに検知されなくなっているようだ。
メルトドラゴンとその保護係の神様にお礼とお別れを言った。
私は再び樹の精霊ミリスのもとへ訪れた。
ミリスと心の中で会話する。
「これで毒ガスは中和されたはずです。」
-- ありがとう。ホープの行いにこの星の代表として感謝します。
「この毒の中和は、人類の英知がもとになっています。
確かに、人は時々滅びもします。
しかし、そんな不完全な人類だからこそ、挑戦し成長するのです。
どうか、そんな人類をもう一度見守ってあげてください…。」
-- ……。中和されたからといってて、-100が0になっただけのこと、元の100の自然は戻っては来ません…。
-- 心の痛みはそんな簡単には消せはしないのです…。
私は、ミリスの――いや、この星の――大きな痛みを、さらに深く感じることになった。
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