第六十五話 精霊ミリス
「以前と全く変わらない様子だったから油断していた…。まさか幻覚だったとは…。」
「以前はとてもきれいな星だったのね…。」私は人形の体から見えていた星の様子を思い出していた。
「あぁ、モニターのこの辺り…。今もまだ森が残っているね…。
この辺りにある大きな樹に精霊が宿っていてね…。」メモリナは懐かしそうに話しだす。
ミリスというとてもとてもきれいな女性の精霊。
とても優しい精霊だった。
クリスタルを自由に作り出し人形を作ったり、動物を使役したり、精霊を呼び出したり、異世界から召喚したり。
そして、作り出された人形や使役された動物、呼び出された精霊、召喚された生物――すべての存在から好かれていた。
「3000年前の記憶よね…。」
「ん?あぁ。精霊は1万年は生きると言われるぐらい長生きだからな。今もいるだろう。」
「そうなんだ。会ってみたい…。」私はつい気持ちが声に出ていた。
「なら、森がまだ残ってるみたいだし…。行ってみよう。」
「もう動けるの?それに毒ガスあるし、難しいんじゃない?」
「機械モードになれば毒ガスは無効化できる、私は問題ない。」
「私も、人形だから問題ないみたいだし、行ってみようか。」
「ああ、そうしよう。」
「ミカエル、もしよかったら、モニターで見てて。また、何かあるかもしれないし…。」
「ええ。おまかせください。」
私とメモリナは再びルミナスに訪れた。
さっきメモリナが示した、森がまだ残っている場所。
「ここには、毒ガスは漂っていないようだ。」
「ということは、今は幻覚ではなく、実体が見えているってことね?」
メモリナは頷いた。
とても幻想的で神秘的な場所だった。
とても緑が多く恒星からのエネルギーを一生懸命に得ようとしているみたい…。
植物が多く、心なしか空気もきれいな気がする…。
近くに流れている川を上っていくと、大きな樹にたどり着いた。
大きな樹の根元に小さな女の子が眠っている。
「この子がミリス?」
「いや、違う。この子は、どちらかというと、精霊の子供だと思う。」
様子をうかがっていると、どこからともなく声が聞こえる。
心に直接響くように感じる。さわやかな優しい声だった。
-- もしかしてメモリナ?
「あぁ、メモリナだ。ミリスだね?久しぶりだな。」メモリナは答えた。
-- ええ、久しぶりね。3000年ぶりぐらいかしら?
「私は、寝ていたのでわからないが、そのぐらいらしい。」
-- そちらの方は?
「私は、神のホープです。星の観察をしています。」
-- 先ほどは二人ともごめんなさいね。今はこの星、問題があるの。
「聞いた様子だと以前とだいぶ違うみたいですね。何かあったんですか?」
-- 少し長くなるけれど聞いてくれるかしら…。
ミリスの言葉が、森を包む風のように、私の心に響き渡っていくのを感じた。
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