第六十四話 メモリナの回復
唐突にメモリナが機械音声でしゃべり始めた。
ピピピッ。
「人体の昏睡を確認。緊急のためセーフティーモードで起動します。」
メモリナがゆっくり起動し始める。
目や口は閉じていたが、顔の左右より、カメラとスピーカー、マイクが現れる。
「わっ、メモリナって、本当に機械だったのね…。」
「セーフティーモード起動中…。
入力信号なし。自動で主目的が入力されます。
主目的:緊急事態のため自己修復モードによる自動回復。」
機械の起動音が微かに鳴り響く。
「セーフティーモード起動完了。緊急項目:現状把握が優先されます。
体内に残存する気体の調査を開始します。
毒ガス成分を検出。成分の詳細を調査します。
主成分として催眠性ガス、幻覚誘発性ガスが検出されました。
その他、致死性毒素(濃度:0.003ppm)が検出されました。」
「続いて人体の状態を調査します。
致死性の毒ガスにより軽度のダメージを受けています。安静が必要です。
催眠効果により即座に睡眠状態になったことがダメージを軽減している可能性があります。
催眠効果のため現在睡眠状態となります。
幻覚効果のため現在幻覚反応が予想されます。」
「現在保有する薬との照合を行います。
最優先:致死性の毒ガスに対応する中和薬を照合中。
保有する薬:A-03中和薬による整合性があります。整合率:98.7%。
最優先につき、即時、投薬を開始します。15分程度の安静が必要です。
現在催眠効果により睡眠中となりますが、健康状態に問題はありません。
現在投薬中のため、睡眠、幻覚の対応は保留。」
機械音声を聞いている限り、一旦は大丈夫のようだ…。少しほっとした。
「だ、大丈夫ですか?」いつの間にか、ミカエルが起きて様子を見守っている。
「えっと、メモリナですよね…。メモリナって機械?人形?」
「機械であり、人形らしいわよ。」
「急にどうしたんですか?」
「えっとね…。」私は、経緯を話した。でも、まだ内心焦っているようだ。片言しか話せない…。
「ルミナスという星へ行った。とってもきれいな星だった。そしたら、急にメモリナが倒れた。それだけ…。」
モニターでルミナスを映す。
「こんなきれいな星で…。あれっ?」
モニターには荒れ果てた星の姿が映っていた…。
植物も動物も人も毒ガスにより荒れ果てている様子だ…。
私自身は、人形を遠隔操作しているだけなので特に問題なかったようだ。
ただ、幻覚を受けたのは事実だ。人形の目で見ているためか、幻覚は無効にはできないらしい…。
「見た時はすごいきれいな星だったんだけど…。私は、幻覚を見ていたみたい…。」
「私もそう思っていた…。」メモリナは起き上がってささやいた。
「起き上がって大丈夫?横になっていたほうがいいんじゃない?まだ幻覚残っているみたいだよ?」
「あぁ、大丈夫。視覚は今、カメラに頼っているから問題ない。今、録画データを確認しているが、こんなに違ったとはびっくりしている。」
メモリナは、取り急ぎ問題ないようだ。私はさらにほっとした。
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