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私の地球(ほし)がきえちゃった  作者: よむよみ
第五章

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第五十三話 ミカエルの推察

- コラッツの予想 -

任意の正の整数 n に対して、以下で定められる操作について考える。

・n が偶数の場合、n を 2 で割る

・n が奇数の場合、n に 3 を掛けて 1 を足す

このとき、「どんな初期値から始めても、有限回の操作のうちに必ず 1 に到達する(そして 1→4→2→1 というループに入る)」

これはコラッツ予想だ。少しだけ簡単に言うと…。

まずは、適当な正の整数を用意する。その数が、偶数の時は2で割る、奇数の時は3倍して1を足す。

そしてできた数に対しさらに同様の操作を繰り返す。

どんな数から始めても、必ずいつか 1 になる――それがコラッツ予想の主張だ。


例えば、20から始めると、20→10→5→16→8→4→2→1というふうに1になる。

2025年8月現在、地球上では、1億円の懸賞金がかかっている数学の問題だ。


物語にコラッツ予想がそのまま描かれるなんて珍しいから思わず読んでしまった…。

小説と数学の予想問題ほど相性の悪い、ミスマッチなものはないと思っていた…。

でも、そんなことを考えている場合ではなかった。

思念体が、そんな小説を読む人に近づいているのだ。


「ホープ様、こっちの星にも思念体がきています…。」私は、ホープ様に伝えた。

近くに、すでに思考を乗っ取られた神の姿がある。おそらくあの神から増殖しているのだろう。

その思念体が、物語を読む人の思考を乗っ取ろうとしている!


私たちは、ドーナツが調査に向かった後、思念体の解決方法を探していた。

手持ちの本になにか解決の糸口になるようなもの、何でもいいから見つからないか探していた。

しかし、何も見つからず、途方に暮れて、一旦休憩をとって星の様子をみていたところ、たまたまこの思念体を見つけたのだ。


「えっ。本当?本当だ!ちょうど乗っ取るところじゃない…。まずいわね…。」


しばらく、様子を見ていたが何も起こらなかった。

人にとりついた思念体は、活動を停止したように離れていく。

それどころか、近くにいた神にとりついた思念体も同じように離れていく。


「えっ。何がおきているの?」ホープ様はつぶやいた。


「もしかして…。」私は、ドーナツの向かった星を映すモニターを見る。

「あっ、こっちも…。」この星でも思念体が徐々に離れて行っているようだ…。

社会性が失われる可能性が、現実になろうとしている……。


「わっ。大変だ…。急がなきゃ…。ミカエル、地球の様子適当にまとめて報告しておいてもらえる?

それと、報告書が終わったら、思念体の駆除申請もお願い。

生命体を動かすことは封じられているし、人の体では触れないから…。

私は、星を助けなきゃ…。」

ホープ様の依頼に、私はうなずいた。


小説を読んでいた人を乗っ取ろうとした思念体が、突然、行動を停止した…。

報告を書こうにも事実しか書くことがない…。

通常、所感を書くのだが、何が起きているのかさっぱりわからない…。


う~ん。適当に書くしかないか…。


思念体は、人の読む小説にでてくる数学の予想について考え始め、思考がとまらなくなったものと推測される。

機械であれば、思考しすぎないよう制御される。

人は全知全能でないから考えようとするし、全知全能でないから途中であきらめる。

そんな人の不完全さが、思念体には功を奏したのかもしれない。


ぽちっ。送信っと。「星の観察」としてそれっぽい報告をあげる。

そして、ホープ様に言われた通り思念体の駆除についても申請した。

あまりにも適当な報告だった…。おこられるかな…?


数学は、地球上で0から積み上げららえた学問。

神には実際に観測できてしまう他の学問とは違い、人々と神が対話できる数少ない学問の一つなのかもしれない。


で、私は、コラッツ予想が解けるのかって?

もちろん解けるに決まっているわ。

なんたって、私は天使。全知全能なんですから!


でも残念ね、この余白はそれを書くには狭すぎる。

「数学が物理的に敵を倒す」そんなストーリーがあってもいいかなと思って書いています。

いかがでしたか?


補足:

「この余白はそれを書くには狭すぎる。」最後のこのセリフは、数学界隈では有名なネタです。

もし知りたければ、「フェルマーの最終定理」で調べると出てくると思います。

コラッツ予想も実在します。ちなみに、一億円の懸賞金がかかっていることも本当です。


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