第四十五話 ドーナツの充電
星のきれいな日。
ホープ様は眠っている。
一人で寂しかった私も、ドーナツがいてくれるから寂しくない。来てくれてよかった!
ドーナツは星をじっと見ている。
「今日も星がきれいね。」私は、ドーナツに話しかけた。
「きれいかどうかはわかりませんが、空気が澄んでいてとても充電がはかどります。」
「星を見て、充電しているのね。」
「はい、私は、ホープ様のために作られたプリド文明の最新ロボットです。
まだ試作機ではありますが、充電のための帰還が不要となるよう、充電機能が搭載されています。」
ドーナツの瞳をよく見ると、太陽光パネルのようだった。
「こんな弱い光でも発電できるんだ。」
「いえ、少し弱すぎます。なので、本当にエネルギーが必要な時はさらにパネルを展開させることになります。」
どんなふうになるんだろう。ちょっと楽しみ。
「ここの生活慣れた?」
「ちょっと退屈ですね。エネルギー消費が少なく済むため、充電がそこまで必要ないのは助かっていますが…。」
「よかったら、モニターとかあるし、星の観察するといいかも。いろんな生命体がいて楽しいよ!
それに、もしよかったら、天界で今売れている本、たくさんあるから読んでいいよ。」
そう言って私は、ドーナツの前にライトノベルをずらりと並べた。
ふと、ホープ様に目を向けると、ホープ様はいかにも困った顔して眠っている。
きっとこんな夢をみている。
「
「『神様の命令がざっくりすぎて困ってます』とか…、
架空の、それっぽいライトノベル風タイトル並べただけなのに、
そんなすぐにストーリー作れって言われても無理だよぉ~。うぇ~ん。」
」
私は、眠っているホープ様にちょっと意地悪したくなって、夢に追記した。
「「書いたことには責任を持ちなさい。」」
ホープ様は今にも泣きそうだ。
ドーナツは私とホープ様の一連のやり取りを、不思議そうな顔で見ていた。
しばらくたつとドーナツはソファーに横になり、毛布をかぶっていた。
よく見ると、それは毛布ではなかった。太陽光パネルだった。
人は睡眠時体温が低下するため毛布をかぶるが、ロボットは充電のために毛布に似せた太陽光パネルをかぶるようだ。
それによくみると、寝ているわけでもなかった。
早速ライトノベルを読み始めていた。
手持無沙汰になった私は、最近読み進めているプリド全記を読むことにした。
プリドゥナの歴史が記載されている「プリド全記」、いずれ天界に送られる本、
「面白いから読んでみたら。」とホープ様より預かっている。
私は、本の中で妙に気になる記載を見つけ、ドーナツに聞くことにした。
「ドーナツ。プリド全記に遠ざけられている星、というか、忌み嫌われている星の記載があるじゃない。
子供たちはなんだか呼びかけられているみたいって気にしているけど、大人はみんな怖い星だからって話を遠ざけてる。
それも、一度だけじゃない、何回も。ドーナツは、呼びかけられているような感じ受けた?」
「プリドゥナでは、確かに忌み嫌われている星があり、
多くの人はなんか引き寄せられている感覚をうけると言っていましたが、
ロボットはだれもその感覚を理解していません。」
「へぇ~、そうなんだ。不思議な星ね…。ちょっと調べてみようかしら…。」
「…。それはお勧めできません…。やめた方がいい…。あれっ?でもなんでかしら?」
人々は星に呼びかけられているが、ロボットはそれを感じない。
そして、大人もロボットも、その星を遠ざけようとしている。
少なくともドーナツは今、確実に、理由はわからないまま反対していた…。
モニターでプリドゥナとその周囲の星を確認する。
プリドゥナの近くに大きめの惑星がある。
プリド全記に記載されている、季節、時間、星の色や大きさ、方角を考慮すると、どうやらその惑星を指しているようだった。
「不思議ね…。何かあるのかしら、ホープ様に伝えておこうかしら…。」
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