第四十三話 ミカエルの帰宅
星からミカエルが帰ってきた。
「ミカエル、おかえりー!」
「ただいまです。」まだ、“ただいま”という言葉には少し慣れていないみたい。
「ミカエルって本を書くのうまいのね…。それと、アルクへのフォローもありがとう!」
「ちょっと、やっぱり恥ずかしいですね…。」
「自信もっていいと思うよ。それに、文明の発展もすごい…。
たった5年で、人口1.5倍、経済規模も2倍近くになってる…。」
「この時代は、うまく軌道に乗ると拡大しやすいみたいですね。
ただ、ちょっと人口が増えすぎかなと思って、社会の調整に力をいれてみました。
新しい職種を増やして、外貨が自然と流入するようになっていると思います。」
なるほど。確かにその通りかもしれない…。
でも、それだけじゃない…、さらに未来の事も考えられてる。
ギルドでの関与だけでは、どうしてもその場しのぎの対応しかできなかった。
それが、小説を書くことによって未来に対しても影響を与えている。
やっぱり、ミカエルはすごい…。
「それと…。お土産です。アルクにもらっちゃいましたー。」
お土産はとてもきれいなガラス細工だった。
「わー。すごい、きれい…。しかも光の当て方でだいぶ印象変わる…。」
コップの形をしているけれど、使うにはもったいない気がした。よく見える場所に、きれいに飾ることにした。
ミカエルの経済発展のおかげでガラスが大量に生産され、結果ガラス細工もたくさん作られるようになっていた。
「プリドゥナ向けのガラスも大量に集まったし、大成功ね!
あとは…、星の設定でこれ以上は過去に戻せないようにして…と。」
「へぇ、そんな設定があるんですね…。」
「星の外に物を持ち出す際は、その時間より昔に戻せないようにする必要があるの。
それより前に戻しちゃうと、持ち出したものが消えちゃうのよ。」神のマニュアル本はこういう時にも役に立つ。
「なるほど…。」
私は早速、ガラスを届けることにした。
「こんにちは!アイスク、ガラス持ってきたよ!」建物に入り声をかける。
「お久しぶりです!ホープ様!
おっ、中世時代とうかがっていましたが、なかなか純度の高いガラスですね…。
ありがとうございます!これだけあれば十分です!」
さすが、ミカエル…。ガラスの生成についても、指導済みのようね…。
「そういえば、このガラス何に使うんだったっけ…?一度聞いたかもしれないけど…。」
「このガラスは太陽光パネルや宇宙船の窓に使わせていただきます。」
アイスクは太陽光発電用の衛星について説明を始めた。
大きい箱のような衛星で、前面は太陽光パネル、後面は熱放射用のパネルとなっている。
太陽光パネルで発電すると同時に、前面の熱さ、後面の寒さという前後の寒暖差を利用して発電し、蓄電池にためる。
定期的に地上から出向いて、蓄電池を交換するという仕組みらしい。
反重力物質を持ち、比較的容易に地上と衛星を行き来できることがこの仕組みを支えているようだ。
そういえば、星一つしか持たない文明のわりに、反重力物質を持っているなんて少し珍しい気がする……。
「そういえば、ロボットを一体お借りできないかって件はどう?」
「えぇ、よければこのドーナツはいかがですか?」
「はじめまして。ドーナツです。」
かなり人に似た人型ロボットが登場する。ぱっと見ではロボットとは思えない。
どう見ても、16才ぐらいの女の子だ。
「小型でも、力はありますよ。ただ、メインブレインはこの星にあるので、少し離れると知能レベルが落ちてしまうのですが…。」
「ありがとう!大丈夫だと思う!では、ちょっと連れて行くわね。」
挨拶にきたロボットたちと挨拶をかわし、さようならと言って星を去ることにした。
「ミカエル―。ロボット連れてきたよー。ドーナツっていうんだって!」
「ホープ様、お帰りなさい。ドーナツも初めまして。ミカエルと申します。」
「ドーナツです。よろしくお願いします。」
その後、仲良く話し合った。
ミカエルって、本をたくさん読んでいるだけあって、文才があった……。
アルクのことだって、私とミカエルのことを“本の中の記憶”ってことにしちゃうなんて、とても賢くて優しい……。
今回、ミカエルに行ってもらって、大正解だったな。
ミカエルにはもう少し多くの人と接してもらった方がいいと思っていたけれど、
直接的な影響を避けるように、宿屋の娘、そして小説家という役割を選んでいた。
人の体は影響を与えすぎるってことを、無意識に感じ取っていたのかもしれない。
もしかしたら、私ももう少し気を付けた方がいいかもしれない…。
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