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私の地球(ほし)がきえちゃった  作者: よむよみ
第四章

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第四十二話 ミカエルの調整

経済発展なんて、神の力を使えば簡単なのに…。


ダメダメ。ホープ様は一切、神の力を使わなかった。せいぜい弾丸の精度予測に神の思考力を使ったぐらいだ。

「やっぱり、地道にやるしかないか…。」


私は、宿屋の経営する酒場で聞いた話として小説を書いた。

まずは、次世代技術であったり、外国によく売れる鉱石がよく採れる場所をこっそり小説に紛れ込ませた。

それに、人口増加に伴って不足する物を補う職業についても書いたりした。

さらに、大学の話や、紙幣や経済学についても、適度に取り込んだ。


本当は、子供たちが教育機関で学んでいる間に、紙幣や経済学の知識が自然に広まっていくのが理想なのだけれど……。


小説を書き始めて半年ぐらいから、小説通りやると儲かるぞとささやかれ始めた。

ただ、儲けを独り占めにしたいからと、そこまで大々的に広まることはなかった。

生活に困っていた人たちはみんなそれぞれ、小説の好きなところを参考にしているみたい。

小説にでてくる職業が、実際に現れ始める。例えば、紙職人、印刷業、薬剤師などの分業が進みはじめてる。

急激な人口増加にともなった需要の増加により、専門的に効率よく生産する必要が生まれたことも大きい。

以前地球で必要に応じて作られた職業を参考に、小説を書いているから当然といえば当然。

国全体として経済について考える機会が増え、国も紙幣や大学の必要性を検討し始めた。


そろそろ5年が経過する。小説が売れたお金で、十分な量のガラスも買ったし、私の物語の終わりが近づいてきた。


ただ、アルクは落ちぶれていた。

何をやってもうまくいかない…。何かの面影を探してしまうようだ…。

だらだらと特に何もするわけでもなく、面影のありそうな道や宿屋、山の中腹にふらっと足が向かってしまうみたいだった。


私は追加で本を書くことにした。ホープ様と私のアルクとのやりとりを、細かく正確に本にした。


「あなたが探していた本はこれね。」

『真実の記憶の物語』を冒険から帰ってきたアルクに渡す。

アルクは読み始める。自分が探していた出来事が書かれている。

6才だった女の子、ギルドの受付の女の子、宿屋のおばさん、そして私、ミカエルのこと。


ありがとう、アルク。さようなら、アルク。私も楽しかったよ。元気でね。

私は、本を読んでいるアルクを見ながら、役目を終えた人間の体を存在の記憶ごとこの世界から消した。


アルクは読みながら、「あっ探していた女の子だ。そうだ、この子だ。そっか本の中で読んでいたんだ。僕は本の中と現実をごっちゃにしていたんだ。」とつぶやいた。

自然と泣いていた。「あれっ、僕はなんで泣いているんだろう?」


「そうだ。自分はこの本を読んでたんだ。この本の面影を現実に求めてしまっていたんだ。」

「本を探してくれてありがとう。“おばさん”。」

アルクは、宿屋の“いつものおばさん”にお礼を言った。

「ん?はいよ。どういたしまして。」

おばさんは少し戸惑ったように答えた。


アルクはどこかすっきりとした表情をしていた。

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