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私の地球(ほし)がきえちゃった  作者: よむよみ
第一章

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第三話 神の力

そろそろメルトドラゴンが孵化する時間。

ミカエルと二人、大きなモニターの前に座り、地球にある卵の様子を確認する。


地中深く、静寂に包まれた広大な空洞。

ところどころ、マグマが赤く光り、闇をそっと照らしている。

空洞の中央付近に、ぽつんと置かれた卵。直径はおよそ50センチ。

卵からは根のようなものが伸び、地面にしっかりと絡みついている。


「……あれ、以前と全く同じですね。今回は何もしなかったんですか?」

「あっ。えっと……そんなことないわ。地表を見てみて。」

ミカエルは最近ずっと卵の様子ばかりに注目していたことに気付き、モニターを切り替えて地表を確認する。


通常なら、陸では風に揺れる草木、海では波の動きが見えるはず。

しかし、映し出された地表は一面、白銀の氷に覆われていた。


「えっ……もしかして…星がまるごと凍ってる?……」

「ええ。地軸をずらしてみたの。」


「さすが、全知全能の神様。そんなこともできるのですね。」

「地球自体への力――時間操作や天災、天変地異――そういうのは神の得意分野よ。

まあ、卵に対しては何も効果無かったけど。冷やしても、温めてもダメだった。

でもその代わり、地球の気候を安定させる方法はみつけたわ。」


「えっ、そんなことできるんですか?」

「詳しくはわからないけれど、地軸が通る地帯――人の言葉では北極や南極ね――その片方を海に、もう片方を大陸にすると、気候が安定するみたい。

この地球では、たしか両方とも海となるように地軸を調整していたはずよ。」


「なるほど……。気候が安定するってことは、文明も順調に育つってことですね!」

「そう!その通り!」


さすが、ミカエル。とても優秀。

お使いの天使といえど神様と能力的にはほとんど変わらない。

星を持たず、星に対して大きな影響を与えられないだけで、日常的な力は神様と同等。

その中でもミカエルは、事実からの考察が早く、地頭が抜群に良い。


話し終えると、再び卵の様子にモニターを切り替えた。

卵に効果はなく、無駄だってわかっていても、つい何かを期待してしまう自分がいる…。


やがて、卵の表面に細かなひびが入り、殻が静かに割れはじめる。

中から現れたのは、小さなドラゴン。

その幼い姿にはどこか愛らしさがあり、目はまだ閉じられている。

体を伸ばしたり、ねじったり、ぎこちなく動かしている。

やがて動きが落ち着き、そっと目を開く。紅い瞳が、微かに光る。

目に映るものには興味がない様子で、かわいらしく欠伸をひとつ。

姿勢を正し背筋を伸ばすと、体全体が淡く光を放ち始める。


そして――次の瞬間、地球は消滅した。


「うん。やっぱりこの方法だけでは卵には効果はないわね…。」


でも、次の地球では地軸を調整して、もっと高度な文明が育つはず。

少しだけ期待をいだきながら、私は再び地球の時間を戻すことにした。

補足

地球がまるごと凍る現象を全球凍結と呼ばれます。

物語中だと、両極が海だと全球凍結が起こるかのように描いていますが、実際は、極端な寒冷化と温暖化の両方のリスクが高まるというのが一般的な理解のようです。神の力として面白い事柄かなと思い物語に登場させましたが、諸説あるということはご了承ください。以上、補足でした。


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