第三十六話 ミカエルのお買い物事情
いつも通りの星のきれいな日。
「よし、今日はお買い物しよう。」
最近お買い物していないことに気付いて、カタログに目を通す。
「紅茶がいいかしら。それともきれいな家具がいいかなー。ちょっとお高いけどお掃除ロボットもいいなー。」
「そういえば、ミカエルって普段何にお金使っているんだろう?」
この家に天使のお使いとしてきてしばらくたつけど、何かを買っている様子はなかった。
天界の経済は地球とは少し違っている。
神の力ですべて自給自足できてしまうため、労働という概念がかなり希薄。
ただ、どうしてもお金が必要という時があるため、労働する。
労働には二種類あり、全員が何かしらの職に就く必要がある基本労働と、
さらにお金が必要な場合に何か装飾品など作って売ったりする特別労働に分けられる。
そんな事情もあって、購入という行為は、お金が必要な人への寄付的な意味合いが強い。
天界のお金の種類は複数あり、基本労働の種類により支給されるお金の種類が変わる。
たとえば、私の仕事は「星の観察」なので、「アース」という単位でお金が配られるけど、
ミカエルは「神のお使い」なので、「ヘラルド」という単位でお金が配られる。
そういえばコンテスト参加者のマスクルやストラテスは「外敵駆除」担当で、「ヴァニッシュ」という単位だ。
天界の慣例として、職業をお金の単位であらわすときがある。
例えば私は「アースのホープ―星の観察者ホープ」、ミカエルは「ヘラルドのミカエル―神のお使いミカエル」という具合だ。
ちなみに、基本労働につく従事者が増えると、その支給額も減る。
例えば、星の観察者が増えると、私のもらえるアースは減っちゃう。
同じ仕事をする人が増えるのはうれしいけれど、給料が減るのはちょっと悲しい。
私は、ミカエルのお買い物事情の調査のため、カタログを片手に、執務室にいるミカエルのところへ行ってみた。
「ミカエルもうちにきてしばらくたつわね。この家に不足しているもの、欲しいもの何かある?
おいしい紅茶とか、きれいな装飾品、ちょっとお高いけどお掃除ロボットとかもいいよね。」
ミカエルは広げられたカタログを見ながら考える。
「う~ん。お掃除は別に特に困っていないですが、ロボットといえば、この前の豊かな星、プリドゥナのロボットさんにいてもらいたいです。
ロボットさんの欲しいものを提供する代わりに、勉強と称して来ていただけないかな~なんて思います。」
「あっ、確かにそうね。今度立ち寄る機会あったら聞いてみるね。」
なるほどね…。さすがミカエル、やっぱり頭いいな~。
「そういえばミカエルは、お金、何に使っているの?もしよかったら教えて!」
「基本的には貯めてますけど、使う時は本を買うことが多いですね。」
「へぇ~。どんな本?」
ミカエルはカタログの端を指でなぞりながら、少し照れたように笑った。
「最近買ったのは、こういう本ですね……」
『転生したら天使の使いだった件』
『神様の命令がざっくりすぎて困ってます』
『神様が私にだけ甘い』
『神様のくせに生意気だ』
『人類の教育受けてみた 上巻』
『私の神様、残念系男子』
「『転生したら天使の使いだった件』は、要はただの職業体験記なんですけど風刺が効いていて面白いですよ。」
最近、天界でも話題のライトノベルをかたっぱしから読んでいるようだ。
「へぇ~。ライトノベル好きなんだ~。知らなかった!しかも結構たくさん読んでるのね~。」
ミカエルは照れながら、笑っていた。
「あっ、でもわかりにくいところあったら指摘してね…。」
「いえ、ホープ様は性格的にもわかりやすいですよ!」
「性格的?どういう意味だろう?それって誉め言葉なの?」
「はい!とってもほめてます!」
その言葉に、私はつい笑ってしまった。
ミカエルも、つられて笑っていた。
ミカエルってライトノベル読むのね、知らなかった。今度私も読んでみようかしら…。
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