第三十四話 機械仕掛けの神の意思
「こんにちは!」私は再び工場に訪れた。
「ようこそいらっしゃいませ!昨日のお話の続きをいたしましょう!」ロボットが流ちょうに答えた。
「昨日の件、受けようと思うの。ただ一つだけ条件があるの!」
「それはうれしい!さて条件とは何でしょう?」
昨日この星の過去をモニターに映し出して調べたパスワード、ロボットに対し命令を与えるためのパスワードを唱える。
「ドリプハドーワスパ。」
続いて、私はロボットたちに命令した。
「命令の主目的は果たされた。ロボットたちの命令を更新。
一、星の豊かさを向上・持続させること。
二、一を達成するため、情報を収集すること。」
「はて「豊かさ」とは?」
「そういえば、今日はまだ飲み物を出しておりませんね。すぐに準備しましょう。」
「ありがとう。冷たくてとてもおいしくて、いつも楽しみにしていたの。」
「今日は、いつまでいらっしゃるのですか?」
「この星の調査もだいぶ進んだので、私はそろそろ帰ろうと思います。」
「それは、本当に残念です。またそのうち来てくださいね。」
ふと気づくと、たくさんのロボットが工場に集まっている。
「遠くから来ていただいたのに、あまりおもてなし、できなくてごめんね。またきてね。」
と、集まったロボットたちが口々に話しかけてきた。お礼ではなく、ただ挨拶にきたようだ。
プリド全記を思い出す。もしかして、ロボットたちは「豊かさ」をプリド全記から学んでいるのかもしれない。
ロボットたちは、知識としてのプリド全記を初めて読んで、理解しようとしているようだ。
プリド全記にて豊かだった時代、小規模ながら栄えていた時代、知らない人はいない閉じた世界での人々のつながり。
そして、どんなに貧しくなっても失われなかった豊かさ、ロボットたちはその一つが、「挨拶」ととらえているのかもしれない。
「この星はとてもいい星ですね。」
「いえいえ、まだまだ程遠い。この星では、音楽や芸術、文学、自然、伝統、あらゆる面で不足しています。」
「また来ますね。次来たときは、もっと豊かな星になりそうですね。」
「えぇ、もちろん。」
そのロボットは不思議なことに、まるで笑っているように見えた。
あまり深く考えずにプリド全記から引用して「豊かさ」という言葉を選んだけど、思った以上にうまくいったみたい。
ロボットたちに、誇り高き先人たちの面影を感じた。
きっと、かつてこの星にはとても豊かな文明があったのだろう。
そしてこれからは、ロボットたちがその誇りを胸に、新たな文明を築いていくに違いない。
執務室に戻り、久しぶりに地球の様子を眺めていると、ミカエルが声をかけてきた。
「何かいいことありました?今日はとても、嬉しそうです。」
「え、あぁ……えっと……。」
私は、見つけたばかりの“とても豊かな星”、プリドゥナのことを、ミカエルに語り始めた。
第三章 機械仕掛けの意思 完
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