第三十一話 機械仕掛けの意思
「こんにちは。」ちょっとかしこまって挨拶をした。
「ようこそ!いらっしゃいませ。」ロボットの話し方もだいぶ自然になっている。もう何年も会話してきたような流ちょうさだ。
「まずは飲み物でもどうぞ。」いつもの冷たい飲み物をくれると、ゆっくりと話し始めた。
「この星にはもともと私たちを作った創造主がいました。」
ゆっくりと聞き取りやすくどこか威厳のある口調で、ロボットは話を続ける。
初めて私の言葉に翻訳された言葉であるにもかかわらず、
それは何度も推敲を重ねたかのように、わかりやすくそして順序良く語られた。
ロボットたちにはもともと創造主がいた。
この星を「プリドゥナ」と呼んでいたそうだ。
とても植物が豊富で豊かな星だった。
文明も順調に発展し、ロボットを作り出した。
しかし噴火の影響で、作物が全く取れなくなってしまった。
この星はとても小さい星だ。一つの大きな噴火が命取りとなってしまった。
どうしても食料不足が深刻で、皆が絶望した中、醜い争いが始まる前に皆で自決することにした。
もともと小さい星で、知らない人がいないような星だ。
自決という選択を選ぶことは、悲しいほど自然に受け入れられた。
自らの文明に対して誇りを持っていた創造主たちは、ロボットたちに命令した。
ロボットは一冊の本を取り出した。
本のタイトルは星の名前、プリドゥナの名をとって「プリド全記」。
「これが私たちの創造主の証です。
あなたの言語で作成しています。
どうかこの本を継承してください。」
そう言ってロボットは、私に「プリド全記」を手渡した。
「わ……。」わかりましたと言いかけたが、ふと胸騒ぎがして言葉を飲み込んだ。
「先に少しだけ読ませてもらってもいい?」
創造主たちの歴史、ロボットとのやりとり、創造主たちの自慢の文学、音楽、芸術が、確かに私の言語で記載されている。
「それと…、あなたたちロボットに命令されている内容を、教えてもらってもいい?」
「ええ。私たちは下記命令を受けています。
1.創造主のもつ情報を他者へ継承する。
2.星をできるだけ維持する。
3.上記1、2を追行するため情報を収集する。
」
「やっぱり、一晩、考えさせてもらってもいいかしら?返事は、読んでからにしたい。」
「ええ、大丈夫ですよ。ぜひ、いいお返事をお待ちしております。明日またお会いしましょう。」
とても難しい、とても大切な判断になる気がした。
家に帰ってゆっくり読んでから考えた方がいい、そう思った。
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