第二十八話 機械文明
私は早速、気まぐれに一つのとても小さい星に立ち寄った。
気温が高すぎて、残念ながら生命は存在しないだろう。
目に見える範囲には、植物はなく水もないため砂はない。むき出しの岩場だらけの星だった。
どんな鉱石があるのか気になって探索していると、建物の存在に気づいた。文明の痕跡だ。
生命は存在しないだろうし、古代の遺跡だろう。
そう思って油断していた。
中に入ってみると動いているものがいる。
いや、“いる”ではなく“ある”と言うべきかもしれない。ロボットが働いていた。
そこそこ広い空間に、いくつかの大きい機械と4体のロボットが見える。
もしかしてロボットを動かしている生命体がいるのかな…、と辺りをきょろきょろしていると、
一体のロボットが飲み物を運んできた。
「くれるの?飲んでいいのね?ありがとう!」
ロボットからの反応はなかった。
ちゃんとした飲み物のようだ、冷たくて甘くてとてもおいしい。
4体のロボットはそれぞれ役割分担し、コップを準備、飲み物を用意、コップに注ぎ、飲み物を一つ運んでくれた。
会話している様子はなかったが、それぞれ意思疎通しているようだ。
その間工場は停止していたようだ。飲み終わりコップを返すと、ロボットはコップをもとに戻し元の作業に戻っていった。
「ありがとう。お邪魔してごめんね。」
やはりロボットからの反応はない。
「しばらく、見学させてもらうわね。」
ロボットからの反応はなく、勝手にあたりを見回すことにした。
「ご主人様はいらっしゃるのかしら。」
「工場で何を作ってるんだろう。」
「他にも工場はあるのかな。」
誰もいないとわかると、私はつい、さびしさを紛らわせるように独り言をこぼしてしまう。その後もたくさんつぶやいた。
夕暮れが近づき、あたりは急に暗くなってきた。今日はこれぐらいにしておこう。
この星、まだ何かある。考えたいことも調べたいこともまだたくさんある。
「今日はありがとう。また明日来るね。」応答のないロボットに、私は挨拶した。
自室の椅子に座って考える。
機械だけで、文明を築くことはできるのだろうか?
生命の進化には、エネルギーの循環、種の記憶、種の成長が必要だろう。
完成されたロボットなら文明を築けるかもしれない。
でも――何もない星から、そんなロボットが“生まれる”ことはあるのだろうか?
過去に戻って調べることは簡単だが、過去にさかのぼることはできるだけやめたいと思っている。
神の力を持たず、なお文明を拡大させていく人類。
その人類への敬意が、私にそうさせるのかもしれない。
また、明日、調査しよう。あの星にはまだ知らないことがたくさんある。
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