第二十五話 ミカエルの反省会
天界の観覧者の圧倒的な支持により、コンテストはディアノアの優勝で幕を閉じた。
ホープ様はコンテストが終わり戻ってきた。
「優勝できなかったー。天界のニーズのこと考えてなかった…。もし次があったら…う~ん…。」
「惜しかったですね。」
「でも、星から面白いもの持ってきちゃった。紅茶とコーヒーならどっちがいい。」
というと、ティーポットを一つ、取り出した。
「では、紅茶でお願いします。」
「紅茶ね。じゃ、私はコーヒーにする。」
ティーポットからコップに紅茶を注ぎ私に渡すと、同じティーポットでコーヒーを注ぎ飲み始めた。
私のコップにはもちろん紅茶が入っており、向かいからはコーヒーのいい香りがする。
私の不思議そうな顔に、ホープ様はすぐ気づいたようだ。
「不思議でしょ。面白いから買っちゃった。」
「もしかして、レモンティーもできたりしますか?」
一瞬戸惑うも「できるわよ。」と言って、レモンティーをコップに注ぐ。
一瞬の空間のゆがみを見つけた。「あっ、今、神の力使いましたねー。」
ホープ様はくすりと笑う。
「でも、紅茶とコーヒーは実際にこのティーポットの機能で注いだのよ。
このティーポットね、二種類までならこれ一つで注ぐことができるの。
こことここに空気穴が2つあってね……。」
と、ホープ様は楽しそうに構造を説明し始めた。
「実際に生活してみないとわからないことも多いのね。楽しかったー。」
そういって、ホープ様は自室に戻っていった。
私は、置かれたティーポットを見ていた。
地球にも似たようなティーポットがあった事を思い出す。
それは、暗殺に使われたとか、いわくつきだった気がする…。
ホープ様は、芸術的な骨董品よりも、機能的に面白いものを選ぶみたいだ。
ホープ様は芸術より、技術……か。
今回のコンテスト、ホープ様には少し向いていなかったのかもしれない…。
そう思うと、ホープ様の演出は、小手先の演出のようにも思えた。
王道ものの物語が一通り流行した後、さらに満たされた文明では、
本能的なかわいさや子供の成長など、あまりこった演出を必要としない簡単な動画が流行する。
ホープ様の「天界のニーズを考えていなかった。」というのは正しい自己分析なのかもしれない。
もっとも、他の参加者がそこまで計算していたとは到底思えないけれど…。
ただ、ホープ様の文明への貢献はすごい。
事前に鉱石分布を調査、優秀な人材へのギルドの受付による自然な関与。
文明発展の流れも、貴重な資源が眠る場所も、文明発展の順序も正確に把握している者が、社会に関わるとこうも順調に成長する。
みんな自信満々に生活しており、社会全体が活気づいていた。
マスクルの文明と比較しても差は歴然。
医療の普及、食料の安定により人口は2倍、適切な通貨発行により経済規模は4倍、
科学技術としては40年ぐらい、差がついたのではないだろうか。
栄養状態も相当優れていて平均身長もだいぶ大きい。
アルクは18才でこの文明ではまだ小柄にあたるが、マスクル文明の筋肉隆々な成人よりも実は若干大きい。
このコンテストは、文明の発展度を競うコンテストだったはずだ。
コンテストの評価軸や評価方法を見直すべきではないかと、匿名で抗議文を送りつけてやろう。
「私の中ではホープ様が優勝でしたよ。」私は星空につぶやいた。
第二章 文明発展コンテスト 完
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