第二十四話 癒し枠のディアノア
「おんぎゃーーーーーー」
大型モニターから天界の大広場にディアノアの泣き声が鳴り響く。
赤ちゃんの泣き声は、絶対の注目を意味する。これはどの世界どの文明でも共通。
知ってか知らずか、多くの観覧者の視線が自然と集まっていた。
主催者側も参加するべきだろうとの声があった。
主催者として負けないといけないが、負けず嫌いな大人の代わりに、
天界の未来を司るオルディアの赤ちゃんが、癒し枠として選ばれることになった。
オルディア自身も自慢の子供を皆に見せることができて、悪い気はしなかったみたいだ。
もともと癒し枠としての出場だ。戦わせる必要はないと考えていたが、
一部の観覧者がせっかくだから戦わせてみればいいと野次った。
すでに動き出したゴーレムの前に、ディアノアが置かれることになった。
当然、神の力で守護している。危険は一切ない。
ディアノアの泣き声に気付きゴーレムが動き出す。
泣いている赤ちゃんに手を振りかざすも、神の力で守られていて当たらない。
突然の地響きに、ディアノアは泣き止み、目を開ける。
目の前の大きなゴーレムに驚いたようだ。
手を振り上げ振り下ろす。無意識に神の力が解放されていく。
ディアノアの手の動きに合わせ、ゴーレムも浮き上がっては落とされる。
自分の手に合わせて、大きなゴーレムが動くことに興味を持ったようだ。
きゃっきゃ、きゃっきゃと右手を動かし左手を動かし、
そのたびに手の動きに合わせて、ゴーレムの体も踊り地面にたたきつけられる。
実際に触ってみたくなったようだ。右手でゴーレムの左足を握る。
大きいゴーレムと小さい赤ちゃん、いつの間にか赤ちゃんの方が大きくなっている。目覚めた神の力は、やはり恐ろしい。
右手で左足を握ったまま、手を上下に振り始めた。重いゴーレムがおもちゃのように振り回される。
何度も地面に激突させられたゴーレムは、体にこそダメージはないものの、意識が追いつかず動きを止めた。
振り回すうちにたまたま手から放たれ、大きなゴーレムがきれいな放物線を描き飛んで行った。
ディアノアは、とても満足した様子でしばらく動き回った後、疲れたのか眠ってしまった。
ゴーレムは起き上がり、また戻ってくると、ディアノアを見つけた。
すでにディアノアは元の大きさ戻っている。
ゴーレムはじっとディアノアを見つめた後、眠っているディアノアを肩に乗せ、
自身も岩に背をつけ眠るように動かなくなった。
この結果に、天界の会場は大盛り上がりだ。
ある者は、圧倒的な神の力に絶叫し、ある者は激しい決闘後の友情だと感心し、
ある者は子供の成長に涙し、そして、ある者は赤ちゃんの可愛さに魅了された。
全員総立ちで拍手を送る。
ディアノアの父、オルディアは立ち上がり、天界の広場を見渡しながら叫んだ。
「見たか、我が子の無垢なる力を!そして誰よりもかわいいだろう!」
その声に、周囲の神々は苦笑しながらも、さらに拍手を送った。
「しまった、これが天界のニーズだ…。といっても、これに勝てる演出は、無いなぁ……。」
ホープはつぶやいていた。
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