第一話 神の決意
私は、全知全能の神、ホープ。
ここは、広大な天界の片隅にある、私の小さな家。
家は、球形に広がり、全面ガラス張り。これが私のこだわり。
最も近い星でさえ程よく遠く、星空が部屋をやさしく照らしてくれる。
ふと見上げた夜空は、やっぱり最高に心地いい。
部屋は三つだけ。
執務室、自室、そしてお使いの天使用の部屋。
ちょっと狭いけれど、まだみならいである私には天使は一人までと決まっているし、今はこれで十分。
家具は最低限。
最近の天界では、それが神様の暮らし方として流行している。
そもそも、光でも椅子でもソファーでも、原始的なものなら何でも自由に扱える神にとって、家具なんてただの飾り。
……でも、本当は欲しい家具はたくさんある。まだみならいで自由に買えないってことは、内緒。
執務室には、大きな白いテーブルが一つ。椅子が四つ。
モニターは大型が一つと、私とミカエル用に一つずつの計三つ。
今日も、最近買った地球を眺めていた――はずだった。
「わっ、私の地球がきえちゃった。」
落ち着け、私。椅子に座り直す。
「なぜ消えたの?」向かいの席に座っている天使に尋ねる。
彼女はミカエル。私を支えてくれる、お使いの天使だ。
「どうやら、メルトドラゴンに寄生されていたようですね。映像をご覧になりますか?」
ミカエルはとても優秀で、早速地球の消滅の瞬間、および原因となる場所を特定し、大きなモニターに映し出していた。
私は椅子を移動し、地球が消える瞬間を確認する。
神になって初めて地球を買ったのに、寄生生物に寄生されていただなんて――。
「どうなさいますか?また、新しく星を購入されますか?」
「いいえ、私はこの地球が気に入っているの。なんとかする。
私は神、全知全能なんだから。」
「ですが、今、天界でも解決策がないと話題になっていますよ。」
神は全知全能といっても、星の時間をもどしたり、災害を起こしたりはできるが、生物への直接的な干渉はできない。
以前は干渉も認められていたらしいが、生物に対しあまりにもひどい扱いをする神がいたため、それ以降生物への干渉は封じられ許可制となっている。
今となってはそんな経緯は忘れ去られ、「生物へは干渉できない」と思っている神がほとんどだ。
結局メルトドラゴンの星消滅に対する解決策はなく、星なんて無限にあるからと放置された結果、今では天界でも大きな問題になっている。
新しい星の感染率は、ついに1%程度まで上昇してしまった。
「とりあえず、時間を戻すことにしよう。」
私は神の力を使い、地球を買ったばかりの頃まで戻すことにした。
指を鳴らすと、地球は静かに、元の美しい姿へと戻っていった。
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