第十六話 神はきまぐれ
「やっぱり、これはちょっと違うな。」
ビリッ。ホープ様はまとめていた生物の移動届を破り捨てる。
「どうするんですか?」
「一度困難を乗り越えた今の人類に、一回だけチャンスを与えようと思う。」
「あっ、なるほど。メルトドラゴンを解決した後、人類が滅びる前に戻すのですね。たしかにそういう選択肢もありですね。」
「うん。何度も啓示あたえて、古文書を作って、災厄を回避したこの人類を、なかったことにするのは、少し寂しい。
それに困難を乗り越えた分、機会を与える方が――神っぽいよね。」
「確かに、そうですね!」
そう言って、私もこれまでのこの星の出来事を思い返す。
何度も失敗しそのたびに時を戻し、次の世代のために挑戦し、結果を古文書としてつなぐ、
神様と人類が一体となって生まれた文明、確かにもう二度と生まれることはないだろう。
「だから、250年ほど時間を戻しってっと。」
そう言って、ホープ様は指を鳴らし星の時を戻した。
「ただ戻すだけだと同じ未来をたどるだけよね。何か未来の啓示を与えた方がいいかしら。
でも、すでに文明は充分発展していて啓示の効果は薄いのよね。うーん……。あっ、そうだ。」
そう言うと、最近買いそろえた機械で仮想空間に潜り込み、文字を書き込みはじめた。
『
2025年9月。
タイトル「私の地球がきえちゃった」
宇宙に浮かぶ無数の星々。そのひとつ――地球の物語。
…
…
-----あとがき-----
人類は一度小さないがみ合いから、300年後には滅んでいます。
ですが、忘れないでください。
神ですら切り捨てていた災厄を乗り越えたことを。
恐ろしい苦難に立ち向かった勇気を。
試行錯誤で工夫した人類の知恵を。
今一度、立ち向かう機会を授けましょう。
』
「はい、これで投稿っと。」
神の啓示としてはずいぶん気まぐれで雑なものだった。
こんな投稿では誰にも読まれないだろうし、読まれたところで何かが変わるとも思えなかった。
「これで何か変わりますでしょうか?」
「ん?ああ、いいのよ、ダメでも構わないわ。だって、一度すでに滅んでるですもの。」
「まぁ、ずいぶんきままなんですね」
「いいのよ。なんてったって、私は――」
『神、全知全能なんだから!』
二人で口をそろえて言い放つと、私たちは長い間笑いあった。
第一章 メルトドラゴンという災厄 完
「メルトドラゴンという災厄」、読者の皆さんなら、どのような解決方法を考えるでしょうか?
皆さんの好奇心と想像力を掻き立てる作品となっていたら幸いです。
最後は、せっかく地球と銘打ったんだから、現実とリンクさせたい…、そんな気持ちからこんな形になりました。
地球消滅から始まるストーリーとしては、一旦、完結します。
神、天界、人類、地球の設定で、まだ描きたいことはたくさんあります。物語はさらに続きます。
ぜひ、引き続き読んでいただきたいと思います。
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