第十五話 神の安堵
「ふぁ~~。」
ホープ様が目を覚ましたようだ。
自室から出てきて、いつもの日課のとおり執務室のモニターで星の観察を始めた。
「えっ、あれ?ミカエル、ミカエル!何が起きたの?もしかしてメルトドラゴンが何か悪さした?」
私は、冷静に事の顛末を説明した。
ホープ様が眠りについてから、星では300年ほど経過したこと、
250年ほど経過した頃、些細な争いから戦争が始まったこと、
徐々に戦争が拡大し世界大戦となり、わずか30年で人類が滅びたこと。
「ことの発端から最期まで、詳細にまとめてあります。ご覧になりますか?」
ホープ様は最初とまどった様子だったが、徐々に理解が追いつくと――急に笑い始めた。
「ふ、ふっ、ふぁー、はっはっはっ。
あ、ごめん、詳細はいいや。そういえば忘れてた。
人類は共通の目的を失うとこうなるんだった。
文明が発達しすぎて、自らを滅ぼしちゃったのねー。
どうせどうしようもないことから争いが始まってるんでしょう。
ふ、ふっ、ふぁー、はっはっはっ」
こんなに笑っているホープ様を見るのは初めて。
凶悪なメルトドラゴンを残していたことが気がかりだったのか、メルトドラゴンは無関係と知って、ちょっと安心したみたい。
もしかしたら、自滅の道を選んでしまった人類を見て、今まで何度も地球を消滅させてきた罪悪感が、少し和らいだのかもしれない。
ホープ様はしきりに「メルトドラゴン関係なくてよかったー。」「今まで結構神経使ったのになー。」と、つぶやいてた。
一時間程たって笑いつかれたのか少し落ち着くと、
「次はどうしよっかなー?
このまままた新しい文明が誕生するのを待っているのもいいけど、ちょっと退屈かしら。
メルトドラゴンは対処したうえで、はじめるのもいいかも。
いっそのこと、試練を増やしてはじめるのもスリリングかな!?」
「どれも楽しそうですね。」
「どれがいいと思う?次はどんな文明が生まれるかな~。」
ホープ様は少し吹っ切れたのかな。優しくてまじめなホープ様のイメージが少々くずれてきた気がする。
まあ、多少すべてに寛容で、そして、鈍感なほうが、神様にはちょうどいいのかもしれない。
「もし新しい試練を増やすとしたら、どんな試練があるかなー?
天変地異とかだと文明の発展が遅れるだけでちょっと地味かな?
今回のメルトドラゴンは、なかなか試練として難易度高くてドキドキしたよねー。
でもメルトドラゴンはちょっと人類には対応が難しすぎるのよねー。何回も時を戻すのも、ちょっと大変だし。」
「次は、メルトドラゴンは対処したうえで、ゆっくり文明の観察をしよう。
不確定要素の試練なんて何かしらたびたび起こるし、それでも十分観察になるよね。」
そう言って、ホープ様は一番マイルドな案を採用し、生物の移動届に記載し始める。
お話しているうちに、私も次の文明が楽しみになってきた。
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